一転ドル安、米雇用統計発表前後の水準に(7/11夕)

11日の東京市場は、ドル安・円高。昨日示現した直近高値から1円を超える下げ幅を記録、一時107円台まで下落している。

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一転ドル安、米雇用統計発表前後の水準に(7/11夕)

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ドル/円は108.40円前後で寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。今週初めに記録した週間安値の108.30円レベルでは下げ止まっていたが、割り込むと、そのまま緩やかな右肩下がり。目先サポートの108円も割り込み、107.85円レベルまで一時値を下げた。日経平均をはじめとする株価は堅調だったが、米金利の低下が嫌気されており、ドルの弱材料に。
108円割れを達成後もドルは冴えず、その戻りも鈍い。16時時点では107.95-00円で推移、欧米時間を迎えていた。

一方、材料的に注視されていたものは、「米金融政策」をめぐる動きについて。
注目されていた半期に一度の議会証言で、パウエルFRB議長は「6月FOMC以降の不透明感、引き続き見通し曇らす」と発言。予想よりも弱気との見方から、ドル高の流れが一変する格好となった。その後も、FOMC議事録要旨「景気の重しが継続すれば近いうちの利下げが正当化される」、セントルイス連銀総裁「FOMCは12月に利上げすべきではなかった」などといった追い打ちをかけるようなコメントが聞かれ、ハシゴを外されたドル売りがさらにかさむ結果に。
そのほか単発モノとして、「メルケル独首相、公務中に3度目の全身を震わせる症状をみせる。健康懸念が再燃」、次期欧州委員長候補「英のEU離脱は3度目延期も」、トランプ米大統領「対イラン制裁を間もなく強化」、CNN「イラン、英タンカー拿捕未遂か」、「韓国外相が米国務長官と電話会談、日本の輸出規制で懸念を伝達」−−とする発言や報道が観測されている。

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昨日のドル高値は108.99円で、もう一歩のところで109円にはとどかず。その後、本日の東京時間には一時108円割れまで1円以上も値を下げてきた。これを持ち、ドルの上値トライ機運が仕切り直しになった感を否めないが、逆に下値期待が再燃しているとも言えないようだ。何故なら、チャートを見ると先週末に米雇用統計が発表されたレベル、つまり109円に向けたドル高がスタートしたレベルまで現在は戻っている。先週末からの上げ幅をチャラにしたことで、しばらくは落ち着きどころを探す展開を予想する声も聞かれていた。
材料的に見た場合、「北朝鮮情勢」や「イラン情勢」のほか「米貿易問題」、「米金融政策」など継続案件は依然として多いなか、「米金融政策」については取り敢えず決着がついたのかもしれない。本日も米通貨当局者の発言機会は多く予断は許さないものの、複数実力者から新味のあるコメントが聞かれないかぎり、「7月の利下げ実施」説を覆すのは難しそうだ。なお、目先的には、それよりも「イラン情勢」をめぐる動きの方が気掛かりとの指摘も少なくない。

テクニカル的に見た場合、期待されていた109円乗せに失敗したのち、一転して下値を試すと108円割れまで。その過程で、移動平均の25日線(108.05円レベル)などを再び下回ってきた。
前段で指摘したとおり、ここから先のドルの下値リスクがさほど高いとは思わないのだが、仮に本日東京安値を更新、さらに下落するようだと、そのターゲットは107.60-65円。あるいは3日安値の107.53円などとなりそうだ。

一方、材料的に見た場合、6月の消費者物価指数などの米経済指標が発表されるほか、米財務省による30年債の入札が実施される見込みとなっている。
また、昨日に続き米通貨当局者の発言機会は多く、一例を挙げると「パウエルFRB議長の議会証言」、「バーキン・リッチモンド連銀総裁講演」、「ウィリアムズNY連銀総裁講演」などとなる。昨日パウエル発言ほどのインパクトはないと思われるが、それでも発言内容には一応の注意を払いたい。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、107.60-108.60円。ドル高・円安方向は、一目均衡表の転換線が位置する108.25-30円が最初の抵抗。上抜ければ108.50-60円や昨日記録した108.99円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値の107.85円レベルの攻防にまずは注視。割り込むと、フィボナッチの観点でサポートに当たる107.60-65円などが意識されそうだが、それほど大きく崩れるとは予想していない。(了)

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ドル円30分足

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