来週の為替相場見通し 『ドル円は続伸の可能性が濃厚。ユーロドルは年初来安値更新が射程圏内に』(7/6朝)

週末に発表された米雇用統計(非農業部門雇用者数)が力強い結果を示すと、米長期金利の急上昇(1.941%→2.068%)に連れてドル円も反発。

来週の為替相場見通し 『ドル円は続伸の可能性が濃厚。ユーロドルは年初来安値更新が射程圏内に』(7/6朝)

ドル円は続伸の可能性が濃厚。ユーロドルは年初来安値更新が射程圏内に』

今週の為替市場のレビュー(7/1−7/5)

今週のドル円相場は、米中首脳会談での合意(@米中通商協議の再開、A中国製品への追加関税先送り、Bファーウェイへの部品販売を認める方向性)を好感する形で、窓を開けて上昇オープン(6/28終値107.89、7/1始値108.38)。リスク回避ムードの後退を背景に株高が進行する中、ドル円は週明け早々に108.54まで急伸する展開となりました。しかし、日銀短観が2期連続で悪化したことや、ナバロ米大統領補佐官が「米中通商協議が妥当な合意に達するには時間を要する」と発言したことが重石となると、米10年債利回りの急低下(2.048%→1.939%)を背景にドル円も反落。週央にかけては、週間安値となる107.53まで下げ幅を広げるなど、わずか2営業日で米中合意後の「窓埋め」に成功しました。もっとも、週末に発表された米雇用統計(非農業部門雇用者数)が力強い結果を示すと、米長期金利の急上昇(1.941%→2.068%)に連れてドル円も反発。週間高値となる108.64を記録した後、108.50近辺での越週となっております。

今週のユーロドル相場は、週間高値となる1.1375で寄り付いた後、@米中合意を背景とした「ドル高」に上値を抑制される形で急落に転じました。その後も、Aユーロ圏6月製造業PMI(結果47.6、予想47.8)の予想比下振れ、Bユーロ圏5月生産者物価指数(結果▲0.1%、予想0.1%)の伸び率鈍化、Cユーロ圏5月小売売上高(結果▲0.3%、予想0.3%)のマイナス転化、Dドイツ5月鉱工業受注指数(結果▲2.2%、予想▲0.2%)のサプライズ的な急低下、E米通商代表部(USTR)による「EU製品40億ドル相当への追加関税」を巡る報道、FデギンドスECB副総裁やレーンECB専務理事による「追加緩和」を示唆する発言、GドラギECB総裁の後任としてハト派寄りと目されるラガルド氏(IMF専務理事)が指名されたこと、H力強い米雇用統計を受けた「ドル買い」などが重石となり、週末にかけては、約2週間ぶり安値となる1.1207まで急落しました。この間、ドイツ10年債利回り(ブンズ)が歴史上初めてECBの中銀預金金利(マイナス0.4%)を下回るなど、「ECBによる追加緩和観測→欧州債利回り低下→ユーロ売り」の波及経路が一段と強まりつつあります。

来週の見通し(7/8−7/12)

ドル円は、@ダブルトップからの下放れ、A強い売りシグナルを表す一目均衡表・三役逆転を背景に、「下落トレンド」が続いておりますが、力強い米雇用統計を受けたドル高・円安を経て、ボリンジャー・ミッドバンドや、一目均衡表基準線の突破に成功しました。テクニカル的に見て、「下落」から「中立」へのトレンド転換が意識されます。来週は遅行線のローソク足接触を通じて「三役逆転の終焉」も見込まれることから、やや上昇リスクに警戒が必要でしょう。もっとも、世界的な貿易戦争リスクや、世界経済の先行き不透明感、英国情勢の不安定化、イタリア財政悪化問題、米独関係悪化懸念、イランを巡る地政学的リスク、日本とその他各国との金融政策格差の縮小(欧米をはじめ主要中銀がハト派化に方針転換する一方、副作用を警戒して日銀は次の一手に踏み込めない状況)などファンダメンタルズ的な弱さを考慮すれば、ドル円の上値余地は乏しく、心理的節目109円手前では伸び悩む動きとなりそうです。

尚、来週は7/10から7/11にかけて開催されるパウエルFRB議長の議会証言(HH)に注目が集まります。7月の利下げは概ね100%織り込まれていることから、市場の関心はその幅(25bpか50bpか)に移っております。パウエルFRB議長より何かしらのヒントが示される可能性もあり、ヘッドラインに注意が必要でしょう。米雇用統計が力強い結果を示したことで、50bpの予防的利下げの線は薄くなったと考えられます。米長期金利には上昇圧力が加わり易い地合いが続くと見られ、当方では、「米7月50bpの利下げ観測の後退→米長期金利上昇→ドル買い」の経路で、来週はややドル円が底堅く推移する展開をメインシナリオとして予想いたします。(予想レンジ:107.00ー109.50 )

ユーロドル相場を巡っては、一目均衡表転換線(1.1310)や、ボリンジャー・ミッドバンド(1.1298)、一目均衡表雲上限(1.1278)、一目均衡表基準線(1.1269)、90日移動平均線(1.1251)を軒並み割り込むなど、テクニカル的にみて「下落リスク」が強く意識されます。一目均衡表雲下限(1.1174)割れこそ免れましたが、上値は相当重たい印象です。トランプ米大統領による「ユーロ安」批判が、ユーロ高要因として引き続き残るものの、@ECBによる根強い追加緩和観測や、A欧米貿易摩擦を巡る警戒感の高まり、B米独関係の悪化懸念、Cユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感、Dイタリアの財政問題、E英国を巡るハードブレグジット懸念など、ファンダメンタルズ面での不安要素を考慮すれば、ユーロドルの上値余地は乏しいでしょう。

7/8に予定されているドイツ5月鉱工業生産や、7/12のユーロ圏・鉱工業生産が不冴えな結果となったり、7/11に公表されるECB理事会議事録にてハト派寄りの内容が示されれば、「ECBによる追加緩和観測高進→欧州債利回りの更なる低下→ユーロ売り」の波及経路で、ユーロドルが一目均衡表雲下限(1.1174)割れをトライするシナリオも十分想定されます。
6月最終週のユーロ急伸を経て、過去最高水準まで溜まっていたユーロショートポジションが急縮小したことも(ショートカバーで投資家のユーロショートがロスカットされたたことも)、ユーロショートの再構築に最適な環境が生まれつつあります。状況次第では5/23に付けた直近安値1.1106を試す動きも視野に入ることから、来週はユーロドルの下落リスクに警戒が必要でしょう。(ユーロドルの予想レンジ:1.1075−1.1325)

ドル円は続伸の可能性が濃厚。ユーロドルは年初来安値更新が射程圏内に』

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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