ドル円見通し 米中問題も米利下げ問題も強弱感交錯で継続中(7/4)

3日夜はNYダウが昨年10月3日につけた史上最高値を更新して株高感が強まったことでドル円は反発、4日未明には107.88円まで戻したが108円には届いていない。

ドル円見通し 米中問題も米利下げ問題も強弱感交錯で継続中(7/4)

【概況】

米連銀の早期利下げ観測を背景とした6月20日未明の下落で6月4日以降の持ち合いを下放れ、さらに25日にはトランプ大統領の日米安保破棄言及で106.75円まで続落したが、25日深夜のパウエル議長発言等で早期の大幅利下げ期待がややトーンダウンしたこと、G20における米中首脳会談への期待で反発に転じ、6月29日の米中首脳会談にて当面の貿易戦争休戦と協議再開で合意されたことから7月1日には108.53円まで戻し、20日に下放れする前の持ち合いレベルまで切り返した。

しかし米連銀による利下げ観測は継続、貿易戦争休戦についてもこれまで何度か休戦と再協議を繰り返しては決裂してきたこともあり上値は限定的で108.50円前後が抵抗となって続伸できなかった。7月2日にはトランプ大統領発言が対中強硬姿勢の継続と受け止められたこと、現在空席となっている米連銀理事ポストに利下げ派のエコノミー2名が指名されるとの報道、ECBの次期総裁についてもハト派とみられるラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事が就任すると発表されたことで欧米の金融緩和感が拡大、米10年債利回りが再び2%を割り込む低下となった。利回りが低下したことからドル円は売られて3日昼には107.53円まで失速した。
3日夜はNYダウが昨年10月3日につけた史上最高値を更新して株高感が強まったことでドル円は反発、4日未明には107.88円まで戻したが108円には届いていない。

7月3日夜に発表された米経済指標は総じて弱かった。
米民間雇用サービス会社オートマティック・データ・プロセッシング(ADP)が発表した6月の全米雇用報告では非農業部門民間就業者数(季節調整済み)は前月比10万2000人増となり市場予想の14万人増を下回った。米商務省が発表した5月の米製造業受注は前月比0.7%減で2カ月連続のマイナスとなり、市場予想の0.5%減を下回った。米サプライ管理協会(ISM)が発表した6月の米非製造業景況指数は55.1となり前月の56.9から低下し市場予想の55.9も下回った。米労働省が発表した新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比8000件減の22万1000件で市場予想の22万3000件を下回った。
5月の米貿易赤字は555億2000万ドルで市場予想の540億ドルを上回った。物品の対日貿易赤字は前年同月比3.4%減の53億4800 万ドル、対中赤字は前年同月比10%減の301億9500万ドルだった。

【7月1日高値から二段下げ型へ発展するか、リスクオン拡大で高値を更新するか】

7月3日安値で107.53円まで下げてからやや戻している。7月1日高値へ上昇する起点が6月28日安値107.58円であり7月3日安値は6月28日安値とほぼ面合わせとなっている。
7月3日を割り込まずに108円台回復、108.25円超え進めば7月1日高値試し、さらに高値更新へと進み、6月25日安値からのリバウンドの継続感が強まる可能性がある。その場合は概ね3か月前後の底打ちサイクルにおける上昇期として109円超えを目指す可能性も出てくると思われる。その際は4月24日からの下げ幅に対する半値戻し109.57円も意識されてゆくと思われる。
しかし、現状近辺ないしは108円台序盤までの戻りに留まって7月3日安値を割り込む場合、7月1日高値を頭、6月27日高値と現状を両肩とする60分足レベルの三尊天井型が形成されるため、3か月サイクルによるリバンドは短命に終わり、新たな3か月サイクルによる下落期入りとなる可能性が高まる。その際は6月25日安値も割り込んで8月以降まで円高基調が継続しやすくなる。

7月5日の米雇用統計が弱く、米連銀の7月末FOMCでの利下げ、さらに年内の追加利下げの可能性が高まりながら米10年債利回り低下が続けば、金利面から円高が進みやすくなる。また米中協議については来週から再開の見込みだが、改めて対立が根深いことを印象付けるようだと先行き不安も増す。7月4日の日経朝刊ではHPやデルが中国でのPC生産から撤退すると報じられているが、米中対立の長期化や仮に米中合意に至ったとしても中国に不利益な内容になるなら欧米企業の中国からの撤退や中国景気の鈍化がさらに進む懸念等も増すと思われる。
7月1日の日経平均は大幅上昇したものの、やや期待先行と思われる。またダウの史上最高値更新も利下げ期待の先取りという点では筋が悪い印象もある。まだ円高加速への懸念は継続してゆくのだろう。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月1日朝の上昇で6月27日午後高値を上抜いたために6月28日昼安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしたが、トップ形成期を7月2日の日中から4日にかけての間とし、7月2日朝時点では108円割れから続落の場合は弱気サイクル入りの可能性を優先して7月3日から5日にかけての間への下落を想定するとした。2日深夜の下落で108円を割り込んだため3日朝時点では1日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして3日の日中から5日にかけての間への下落を想定した。3日昼安値からはやや戻しているので、28日安値から3日目となる3日安値でボトムをつけた可能性がある。
108円を超えない内はボトム形成の継続として一段安警戒とするが、108円超えへ戻す場合はいったん強気サイクル入りとして5日から9日にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では2日深夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。4日未明への反発で遅行スパンは好転しやすい位置にあるが、先行スパンが分厚い抵抗帯となっている。先行スパンを超えない内は一段安警戒として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパン突破からは強気サイクル入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、その後に両スパン揃って悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は3日の下落で20ポイントまで下げ、その後の反発で50ポイント台をいったん超えた。60ポイント以上へ上昇なら相場も高値試しへ進みやすくなるが、40ポイント割れからさらに低下し始める場合は下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月3日安値107.53円を下値支持線、7月4日未明高値107.88円を上値抵抗線とする。
(2)107.88円以下での推移中は一段安警戒とし、107.53円割れからは107円台序盤試しへ向かうとみる。リスク回避的材料がさらに加わる場合は107円試しまで下値目処を引き下げる。また107.50円以下での推移中は先行きで6月25日安値106.75円を試す可能性も継続するとみる。
(3)107.88円超えからは108円試しとし、108円超えからは108.25円前後への上昇を想定するが、108円台を維持できず失速するところからは下げ再開を疑う。

【当面の主な予定】

7/4(木)
休場 米国(独立記念日)
10:30 (豪) 5月 小売売上高 前月比 (4月 -0.1%、予想 0.2%)
18:00 (欧) 5月 小売売上高 前月比 (4月 -0.4%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 1.5%、予想 1.6%)
18:10 (欧) デギンドスECB副総裁、講演

7/5(金)
08:30 (日) 5月 全世帯消費支出 前年同月比 (4月 1.3%、予想 1.4%)
14:00 (日) 5月 景気先行指数(CI)速報値 (4月 95.9、予想 95.3)
14:00 (日) 5月 景気一致指数(CI)速報値 (4月 102.1、予想 103.2)
15:00 (独) 5月 製造業新規受注 前月比 (4月 0.3%、予想 -0.1%)
15:00 (独) 5月 製造業新規受注 前年同月比 (4月 -5.3%、予想 -6.3%)
21:30 (米) 6月 雇用統計・非農業部門就業者数 前月比 (5月 7.5万人、予想 16.3万人)
21:30 (米) 6月 失業率 (5月 3.6%、予想 3.6%)
21:30 (米) 6月 平均時給 前月比 (5月 0.2%、予想 0.3%)
21:30 (米) 6月 平均時給 前年同月比 (5月 3.1%、予想 3.2%)

オーダー/ポジション状況

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