ドルの下値リスク再燃、米経済指標を注視(19/7/3)

3日の東京市場は、小幅にドル安・円高。一時107円半ばまで値を下げ、今週のドル安値を更新する局面も観測されていた。

ドルの下値リスク再燃、米経済指標を注視(19/7/3)

<< 東京市場の動き >>

3日の東京市場は、小幅にドル安・円高。一時107円半ばまで値を下げ、今週のドル安値を更新する局面も観測されていた。

ドル/円は107.85円前後で寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。107.80-90円といった極めて狭いレンジ取引で明確な方向性はほぼうかがえなかった。しかし、日経平均株価のほかNYダウが先物取引で軟調に推移したこと、米金利の低下などが嫌気されたことで、為替市場でもリスク回避の動きが優勢に。ドル/円は底割れすると、そのまま107円半ばへと下落している。目先ボトムをつけたのちは、やや持ち直すも上値はすでに重い。16時時点では107.60-65円で推移、欧米時間を迎えていた。
なお、値幅そのものはさほどでもなかったが、ポンドが弱含み。対円では135.20円レベルまで一時下落し、1月3日以来の安値を記録している。

一方、材料的に注視されていたものは、久しぶりの「欧州情勢」について。
会議が3日目に突入するなど、難航していた次期欧州委員長ならびに同ECB総裁人事だったが、結果はともに初の女性トップが誕生する見込みとなった。前者にはドイツ国防相のフォンデアライエン氏が指名されたほか、後者は国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事が選出されている。また、この件と絡めロイターでは「リプトン筆頭副専務理事がIMFの専務理事代行を務める」と報じていた。
そのほか単発モノとして、共同通信「政府、対韓輸出規制の拡大を検討」、英中銀総裁「市場が利下げを予想しても驚きはない」、「トランプ氏、シェルトン氏とウォラー氏をFRB理事に指名へ」、布野日銀委員「産業構造は近年、為替に対する耐性が高まっている」−−とする発言や報道が観測されている。

<< 欧米市場の見通し >>

週後半から週末に向けて、「米独立記念日」そして「米雇用統計の発表」を控えていることで、今週は週半ばまでは動きにくそうとの見方が少なくなかったが、結果的にドルは107円半ばまで弱含むなど、レンジの下放れが再び視界内に捉えられてきた。テクニカルに見ても、週初に空けて埋め切れていなかった107.90-108.10円のギャップをしっかりと埋め切ったあとドルは続落するなどイメージが良くない。本日東京時間に下げ止まった107円半ばを下回れば107円割れ、106.78円の6月安値が視界内に。
材料的に見た場合、「北朝鮮情勢」や「イラン情勢」のほか「米貿易問題」、「米利下げ観測」など継続案件は依然として多いが、目先はやや決め手に欠ける感。しかし、本日は週末に発表される米雇用統計の先行指標とも言われるADP雇用統計が発表されるうえ、先でも取り上げたように、トランプ氏が自身に近いシェルトン氏と、ハト派と言われるウォラー氏をFRB理事に指名する方針を示しており、「米利下げ観測」が再びクローズアップされているようだ。いずれにしても、本日発表のADP雇用統計、米経済指標の内容如何では前後の相場が荒っぽい変動をたどる可能性も否定出来ない。

テクニカルに見た場合、昨日レポートで懸念したように、「108.30-40円は移動平均の25日線や一目均衡表の基準線などが位置するレベル。5月初旬以降、それらラインはドルの抵抗として寄与していた」−−が、今回も同レベルで上値は阻まれた格好にある。また、目先のサポートとみられた下方向のギャップ、107.90-108.10円を埋め切ったのち続落するなど、リスクは再びドル安方向にバイアスか。次のサポートである107円の攻防が注視されている。

一方、材料的に見た場合、6月のADP雇用統計や同ISM非製造業総合指数など重要な米経済指標の発表が相次ぐ。そのなか、ADPについては単に米雇用統計の先行指標と言われていることだけでなく、先月は実にプラス2.7万人という、予想外のネガティブサプライズとなったことで、今回も市場の警戒感が強い。果たして2ヵ月連続のサプライズの可能性も。
また、明日の米独立記念日の前日ということで米株や債券市場は短縮取引となることの影響についても、懸念を抱く向きは少なくないようだ。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、107.20-108.20円。ドル高・円安方向は、移動平均の25日線が切り下がり、本日位置する108.10-15円が最初の抵抗。超えると今週高値の108円半ばがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日安値にもあたる107円半ばの攻防にまずは注視。いまだ底堅いイメージが残っているものの、しっかり割り込めば107円割れが視界内に捉えられそうだ。(了)

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