ドル円見通し 米中貿易戦争休戦を好感してのリスク選好で戻すが108.50円前後に抵抗感(7/2)

ひとまずリスクオンで反応したが、この流れが継続的になるかどうか、今後の米中双方からの要人発言、特にトランプ大統領発言によってまだまだ右往左往してゆくのではないか

ドル円見通し 米中貿易戦争休戦を好感してのリスク選好で戻すが108.50円前後に抵抗感(7/2)

【概況】

6月29日の米中首脳会談で両国間の貿易戦争を再び「休戦」することで合意、米国は中国からの輸入品ほぼすべてに追加関税を拡大する制裁措置を見送り通商協議を再開するとした。また中国IT大手ファーウェイに対する取引制限の緩和を検討するとした。6月27日昼前に香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが米中貿易戦争の休戦と米国による中国への追加関税拡大第4弾の発動延期を決めたと報じたことから期待されていたことだが、当面は両国関係が現状より悪化することはないだろうとしてこれまでのリスク回避的な動きが逆流した。
7月1日の株式市場は総じて上昇、日経平均が454.05円高、上海総合株価指数が2.2%高、NYダウは117.47ドル高となった。ダウは高値で26890.64ドルをつけて10月3日の史上最高値26951.81ドルに迫る場面もあったが最高値更新には至らず。ナスダック総合指数も84.92ポイント高と上昇したが4月29日につけた史上最高値には一歩届かず、ダウとともに日足は陰線で終わっている。

【米中の動き】

米中がひとまず休戦と協議再開に入るとしても、これまで何度も協議と決裂を繰り返してきたこと、既に実施済の第3弾までの追加制裁関税適用は継続するため再び協議決裂となりかねない。今回はG20を一つのイベントとして米中協議再開と38度線での米朝首脳会談急遽実現というサプライズで政治的効果を狙ったのだろうが、次世代技術の覇権を巡る抗争でもあり、既に90%を合意していてもあと10%の対立問題が解消しないことには先に行けない。市場もひとまずリスクオンで反応したが、この流れが継続的になるかどうか、今後の米中双方からの要人発言、特にトランプ大統領発言によってまだまだ市場も右往左往してゆくのではないかと思われる。

【米国状況】

米10年債利回りは6月20日の1.974%からは新たな安値更新に至っていないが、2.0%を挟んだ低空飛行が続いており、下げ渋りで止まっている。6月25日夜のセントルイス連銀ブラード総裁発言や26日未明のパウエル議長発言から7月30-31日の次回FOMCにおける0.5%の利下げという可能性はかなりトーンダウンしたが、市場はまだ7月会合での0.25%利下げの可能性ありとみている。
7月1日にはクラリダ米連銀副議長が「景気拡大の持続、強い雇用と物価安定を実現する政策へ適切な行動を取る」と述べ、米中貿易戦争の休戦でも不透明感が依然として強いとして利下げは妥当との姿勢を示した。ただリッチモンド連銀のバーキン総裁は米ウォール・ストリート・ジャーナル紙上で「景気の現状に関するデータよりも感情が行き過ぎている」と述べて市場の早期利下げ期待をややけん制した。
7月5日の米雇用統計が弱いようだと利下げ論が強まり、予想以上にしっかりした数字なら利下げ先送りの可能性も出てくるかもしれない。

米10年債利回りは6月20日の1.974%からは新たな安値更新に至っていないが、2.0%を挟んだ低空飛行が続いており、下げ渋りで止まっている。6月25日夜のセントルイス連銀ブラード総裁発言や26日未明のパウエル議長発言から7月30-31日の次回FOMCにおける0.5%の利下げという可能性はかなりトーンダウンしたが、市場はまだ7月会合での0.25%利下げの可能性ありとみている。
7月1日にはクラリダ米連銀副議長が「景気拡大の持続、強い雇用と物価安定を実現する政策へ適切な行動を取る」と述べ、米中貿易戦争の休戦でも不透明感が依然として強いとして利下げは妥当との姿勢を示した。ただリッチモンド連銀のバーキン総裁は米ウォール・ストリート・ジャーナル紙上で「景気の現状に関するデータよりも感情が行き過ぎている」と述べて市場の早期利下げ期待をややけん制した。
7月5日の米雇用統計が弱いようだと利下げ論が強まり、予想以上にしっかりした数字なら利下げ先送りの可能性も出てくるかもしれない。

【3か月サイクルでの反発局面】

ドル円は概ね10か月から1年周期の底打ちサイクルで推移しており、今年1月3日の暴落時にサイクルの底をつけて戻したが、4月24日高値で戻りを一巡させて下落期に入っている印象だ。このため次の底形成期となる11月から来年1月にかけての間までは安値形成へ進みやすい中勢にある。しかし、1年サイクルを構成する3か月前後のサイクル(2か月から4か月)では、前回のサイクルボトムである3月25日安値から3か月目となる6月25日安値で底を付けた可能性がある。既に6月25日からの戻り幅も1.78円へ拡大しているので、現状は3か月サイクルレベルで戻りを試している状況と思われる。

この3か月サイクルの高値形成期は現状を含めて7月後半までの間と想定されるので、7月5日の米雇用統計、7月10-11日のパウエル議長議会証言や米中協議の進展状況によっては7月後半ないしは7月30-31日のFOMCまで円安ドル高で推移する可能性も考えられるが、それらをドル安円高反応で通過してゆく場合は早々に下げ再開に入る可能性があるので、戻り幅の半値を削るところからは下げ再開を疑う。
3か月サイクルレベルでの上値抵抗線は、まず4月24日からの下げ幅に対する3分の1戻し108.63円から6月11日高値108.79円、次に半値戻しとなる109.57円前後と想定される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月1日朝の上昇で6月27日午後高値を上抜いたため、6月28日昼安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクルに入っている。トップ形成期は27日午後高値を基準として7月2日の日中から4日にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地ありとするが、サイクルトップは短縮される可能性もあるので108円割れから続落の場合は弱気サイクル入りの可能性を優先して7月3日から5日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1日朝の上昇により遅行スパンが好転、先行スパンも突破している。1日朝高値の後は108.50円前後を抵抗として揉み合っているため遅行スパンは実線と交錯しやすい位置だが、先行スパンを上回る内は上昇余地ありとし、1日高値108.53円超えからは一段高入りのため遅行スパン好転中の高値試し優先とする。ただし両スパン揃って悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は1日朝の高値形成時に80ポイントまで上昇したがその後は60ポイントを挟んでの推移となっている。50ポイントを上回る内は上昇余地ありとし、70ポイント超えからは上昇が加速しやすいとみるが、50ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.20円を下値支持線、7月1日高値108.53円を上値抵抗線とする。
(2)108.20円以上での推移中は一段高余地ありとし、108.53円超えからは6月11日高値108.79円前後への上昇を想定する。108.70円以上派反落注意だが、リスクオン心理を増長する材料を伴っての上昇なら109円試しまで上値目処を引き上げる。
(3)108.20円割れからは下げ再開注意とし、108円割れからは下げ再開と仮定して6月28日安値107.58円試しへ向かうとみる。107.50円台では押し目買いも入りやすいとみるが、リスクオフ的な材料を伴っての下落で28日安値を割り込む場合は週末にかけて安値試しを続けやすくなるとみる。

【当面の主な予定】

7/2(火)
米国による対中関税に関する公聴会後の意見公募期間終了
13:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)政策金利 (現行 1.25%、予想 1.00%)
15:00 (独) 5月小売閖上高 前月比 (4月 -2.0%、予想 0.5%)
15:00 (独) 5月小売閖上高 前年同月比 (4月 4.0%、予想 2.7%)
18:00 (欧) 5月 生産者物価指数 前月比 (4月 -0.3%、予想 -0.1%)
18:00 (欧) 5月 生産者物価指数 前年同月比 (4月 2.6%、予想 1.7%)
19:35 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演(チューリヒ)
24:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演(ロンドン)

7/3(水)
10:30 (豪) 5月 住宅建設許可件数 前月比 (4月 -4.7%、予想 0.0%)
10:30 (豪) 5月 住宅建設許可件数 前年同月比 (4月 -24.2%、予想 -21.5%)
10:30 (豪) 5月 貿易収支 (4月 48.71億豪ドル、予想 52.50億豪ドル)
10:45 (中) 6月 財新サービス業PMI (5月 52.7、予想 52.6)
16:55 (独) 6月 サービス業PMI改定値 (速報 55.6、予想 55.6)
17:00 (欧) 6月 サービス業PMI改定値 (速報 53.4、予想 53.4)
17:30 (英) 6月 サービス業PMI (5月 51.0、予想 51.0)
19:00 (英) カンリフ英中銀副総裁、講演

21:15 (英) ブロードベント英中銀副総裁、講演
21:15 (米) 6月 ADP非農業部門就業者数 前月比 (5月 2.7万人、予想 14.0万人)
21:30 (米) 5月 貿易収支 (4月 -508億ドル、予想 -503億ドル、予想 -534億ドル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.7万件、予想 22.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 168.8万人、予想 168.1万人)
22:45 (米) 6月 サービス業PMI改定値 (速報 50.7、予想 50.7)
22:45 (米) 6月 総合PMI改定値 (速報 50.6)
23:00 (米) 5月 製造業新規受注 前月比 (4月 -0.8%、予想 -0.5%)
23:00 (米) 6月 ISM非製造業景況指数 (5月 56.9、予想 56.0)


7/4(木)
休場 米国(独立記念日)

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