ドル円FX予想と振り返り「ドル安トレンド継続、106円台半ばがターゲット」(週報6月第4週)

FOMCまでは前週のレンジを中心としたもみあいが続きましたが、FOMCの声明文では、明確に引き締めから緩和へとスタンスが変わったことが示され、

ドル円FX予想と振り返り「ドル安トレンド継続、106円台半ばがターゲット」(週報6月第4週)

今週の週間見通し

先週のドル円はFOMCまでは前週のレンジを中心としたもみあいが続きましたが、FOMCの声明文では、明確に引き締めから緩和へとスタンスが変わったことが示され、年後半に利下げを見込むメンバーも約半数と3月の金利見通しから市場参加者の思惑ほどではないにせよ、利下げのタイミングを伺う展開になってきたと言えます。

FOMCを経て、CMEのFF(政策金利)先物の取引分布から計算される利下げ織り込み度は、7月末のFOMC時点で67%と先週のFOMC前よりは低下したものの、依然としてコンセンサスとなっていますし、9月のFOMCでは今よりも50bp低い1.75〜2.00%がコンセンサスとなっています。市場参加者の思惑はFOMCメンバーに比べて過剰反応しやすく振れやすいとはいうものの、9月FOMCまでに利下げが行われる可能性は相当に高いと考えることが妥当です。今後の経済指標や海外の景気等を見ながらではありますが、クラリダ副議長も指摘している予防的利下げが7月に行われる可能性もかなり高いと言えるでしょう。

そして、トランプ大統領発言としては、中国との協議再開とG20サミットにおける何らかの進展思惑がリスクオン材料、一方でイランに対する制裁や軍事行動にも含みを持たせた発言は中東における地政学リスクの高まりをもたらしリスクオフ材料となります。前者はこれまで何度も期待を裏切られてきたことを考えると今週末のG20サミットがおわるまでは積極的には材料としにくいでしょう。後者は原油価格の上昇を見ても分かる通りで、かなり緊張が高まっています。場合によってはG20サミット前にも何か起きる可能性もありますので注視すべき状況です。

注視といえば、金曜に107円台目前まで円高が進んだことから浅川財務官が為替市場を注視しているとの発言をしたことが、週末前のドル買い戻しのきっかけとなりました。しかし、G20サミットを前にこれ以上の発言が出てくるとは思えませんし、ましてや来月の参院選後には日米通商協議が再開し、為替条項の話が無くなったという確信は持てません。5月に公表された米国財務省の為替報告書においても日本は監視リスト入りしているため、ましては介入という選択肢は皆無と見てよいでしょう。あくまでも、記者がヘッドラインを狙った記事に過ぎません。今後も年初のフラッシュクラッシュ程度の水準や動きでは何か発言する可能性があるだろうという程度で見ておけば十分です。

さて、ドル円を取り囲む材料自体は上記の通りで、これまでと大きな変化があったのは米国の金融政策の方向性、そしてそれに微妙に反応する米国長期金利ということになります。長期金利は安全資産として国債が買われることの裏返しでもあり、株式市場は利下げ思惑に反応し高値追い、いっぽうで債券市場や為替市場はさらにリスクオフヘッジも加わってのドル安と、トランプ大統領にとっては最も望ましい展開を辿っていると考えられます。

テクニカルには今後どうなのか、日足チャートを見てみましょう。

今週の週間見通し

ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

チャートに示されている要素は変化ありません。前週までは年初来安値と高値の61.8%押し107.76がサポートとなっていましたが、同水準を下抜けたこと、また4月高値からの下降チャンネル内での動きを続けていることから、次のターゲットとしては78.6%(61.8%の平方根)押しとなる106.50がターゲットとなります。先週から材料自体には変化はありませんので早ければ週内にもトライする可能性が高いと言えます。そして、中長期的には年初来安値の104.90レベルをいつトライしてもおかしくない地合いと言えます。

上値は、若干スピードが速い感じはあるものの、既に108円台では水準を下げてきたドル売りオーダーが見受けられますし、先週後半の動きを見ている限り107円台後半でも売りたい向きが増えてきている様子です。下降チャンネルのレジスタンスラインも今週末には108円水準まで下がってきますので、上値は108円を大きく超えることはないでしょう。
今週はドル安トレンド継続を考え106.50レベルをサポートに108.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2019年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

6月24日(月)
17:00 ドイツ6月IFO企業景況感

6月25日(火)
07:45 NZ5月貿易収支
08:50 日銀金融政策決定会合議事要旨公表
15:45 フランス6月企業景況感
22:00 米国4月住宅価格指数
22:00 米国4月ケースシラー住宅価格指数
23:00 米国6月消費者信頼感
23:00 米国6月リッチモンド連銀製造業景況指数
23:00 米国5月新築住宅販売件数
26:00 パウエルFRB議長講演

6月26日(水)
11:00 NZ中銀政策金利発表
15:00 ドイツ7月GFK消費者信頼感
15:45 フランス6月消費者信頼感
18:15 英中銀総裁講演
21:30 米国5月耐久財受注
23:30 週間原油在庫統計


6月27日(木)
10:30 NZ6月企業信頼感
18:00 ユーロ圏6月消費者信頼感
18:30 南ア5月PPI
21:00 ドイツ6月CPI速報値
21:30 米国1〜3月期GDP確報値
21:30 米国新規失業保険申請件数
23:00 米国5月住宅販売保留件数

6月28日(金)
**:** 大阪G20サミット(〜29日)
08:30 本邦6月東京区部CPI
15:00 ドイツ5月輸入物価指数
15:45 フランス5月CPI速報値・PPI
16:00 トルコ5月貿易収支
17:30 英国1〜3月期GDP改定値
18:00 ユーロ圏6月CPI速報値
21:00 南ア5月貿易収支
21:30 米国5月個人所得・消費支出
22:45 米国6月シカゴ購買部協会景気指数
23:00 米国6月ミシガン大消費者信頼感確報値

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

6月17日(月)
ドル円は早朝に株価指数先物上昇の動きに沿って買いが先行しましたが、その後は全く動かず、終日108.60を挟んでもみあいのまま引けました。

6月18日(火)
前日の膠着相場の反動もあり荒っぽい動きとなりました。ドル円は東京市場では株価が下げる動きに反応して売りが先行、108円台前半に水準を下げた後もじりじりと水準を切り下げる動きが続きました。NY市場の朝方には新潟北部の地震に反応し、一時108.06レベルの安値をつけましたが、直後にトランプ大統領が習主席と電話会談を行いG20でも協議継続と発言、これを受けてNYダウが急騰、ドル円も108.68レベルまで反騰しました。しかし、相変わらず108円台後半の売りが強くいつもの見慣れた水準に押して引けました。

6月19日(水)
ドル円は米中通商協議再開を好材料とし早朝相場は円安の動きが先行したものの前日高値は超えられず反落。欧州市場序盤には108.24レベルまで下押し後に、ここ2週間の中央値とも言える108.45レベルまで戻してのFOMC待ちとなりました。FOMCでは結果こそ現状維持であったものの、これまでの利上げを想定した文言が削除され、利下げを想定したものへと方向転換したこと、また金利見通しではメンバーの約半数が年内の利下げを想定していることがわかり、株式市場は上昇、為替市場はドル売りと想定通りの動きとなりました。

6月20日(木)
ドル円は前日のFOMC以降の株高とドル安の流れを継続しました。東京市場が始まると米国10年債の利回りが2%を割り込む動きとともにドル全面安の流れとなって、108円割れ。その後もドル売りの動きが続き日銀会合も黒田総裁会見にも目立った影響は見られませんでした。後場には107円台半ばまで水準を切り下げた後に買い戻しも入りましたが、NY市場では米国とイランとの緊張の高まりもあって株価とともにリスクオフの円買いとなり、引け間際には107.21レベルの安値をつけそのまま安値圏での引けとなりました。


6月21日(金)
ドル円は前日NY市場で10年債利回りが2%を割り込む動きとなったことから東京市場ではドル売りが先行し、昼過ぎには107.05レベルの安値をつけました。しかし、後場以降は週末前のポジション調整が見られ、財務官も為替市場を注視しているとの発言が重なり買い戻しの動きが目立ちました。NY市場では長期債利回りも上昇に転じ、株式市場ではダウが週間高値を更新しドル買い戻しが107円台後半まで進みましたが、引けにかけては再び前半に押しての引けとなりました。

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