ドル円見通し 日足の終値ベースでは年初安値を割り込んだ(週報6月第4週)

米連銀の利下げ観測、その背景にあるのは米中対立と世界経済の逆流懸念だ。

ドル円見通し 日足の終値ベースでは年初安値を割り込んだ(週報6月第4週)

ドル円見通し 日足の終値ベースでは年初安値を割り込んだ

【米連銀の利下げ姿勢】

6月20日未明に米連銀(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)において政策金利を現状維持としたが、声明では経済情勢を「忍耐強く」見極めるとしてきた1月以降の文言を削除し「景気拡大を持続させるために適切に行動するだろう」として利下げ姿勢を示した。景気判断は従来の「底堅く拡大」から「緩やかに拡大」へ下方修正した。会合参加者17人の金利見通し中央値は「年内据え置き」だったが、年内利下げ予想がほぼ半数の8人となり、このうち7人は2回の利下げを予想した。2019年と2020年のインフレ率の見通しも下方修正され、FRBの物価安定目標の2%に到達するのは2021年と想定された。

声明発表後の会見でパウエル議長は「利下げする根拠が強まった」「貿易摩擦が前回会合に比べて重要な要素となった」「多くの参加者が利下げの環境と判断」「利下げ幅を0.25%にするか0.5%にするかについては議論していない」等と述べている。議長発言は今回は利下げ決定には及ばなかったが、状況的には利下げすべきタイミングを計る状況にあるとの認識を示したもののであり、次回会合までに経済指標の大幅な改善や米中通商摩擦問題の解決等が見られなければ次回の7月会合で利下げを決定するということを宣言したようなものだろう。また次回会合で状況が悪化していれば9月や10月の会合での連続利下げの可能性もあるということだろう。年内の会合予定は7月30日-1日、9月17−18日、10月29−30日、12月10−11日。

6月20日に日銀は金融政策を現状維持として異次元の金融緩和状況を継続する姿勢を示した。ECBは量的金融緩和の再開を決定しているがさらに緩和策を追求する可能性についてもドラギ総裁等の講演発言で示されている。豪中銀の理事会議事録でも次回会合での利下げ姿勢が示され、NZ中銀はすでに5月に利下げを行っている。これらはリーマンショック対策としての世界的な金融緩和政策の終了から引き締め化してきた流れを再び緩和的なものに変更してゆくプロセスに入っていることを示しているのだろうと思われる。
リーマンショック対策による金融緩和政策に一番過剰反応して大上昇したのが「金利のつかない安全資産としてのゴールド」だったが、今回のFOMC後にも急騰して2013年9月以来凡そ6年ぶりに1400ドル台へ到達している。

【6月4日以降の持ち合いを下放れ】

6月4日安値107.82円の後は6月11日高値108.79円までややジリ高の持ち合いで推移し、6月11日以降は戻り高値が切り下がり安値も若干切り下がり気味で持ち合いを継続してきた。持ち合いは13日間に及んだがその間の値幅は1円に満たなかった。
6月20日未明のFOMCによる年内利下げ姿勢を受けてドルは全面安となり、ドル円は6月4日以降の持ち合いから転落した。6月21日昼には107.04円まで続落し、21日夜高値107.73円までいったん戻したものの深夜以降は反落して戻利幅の過半を削って107円台序盤で週を終えた。

6月4日以降の持ち合いから転落したことにより、4月24日高値からの下落波動は5月13日へ一段目、6月4日までを二段目とすれば三段下げの三段目に入ったと思われる。また1月3日の暴落時につけた日足の長い下ヒゲ=たくり足の下ヒゲを潰しに入っているが、これはたくり足の底打ち効果を否定するものとして下ヒゲの安値=104.82円を目指す可能性が高まった印象を与えた。日足を終値ベースで見れば、1月3日の107.51円を割り込んだためにすでに底割れ状況に入っているという見方もできる。

【週足レベルでの中長期観】

今年1月3日の暴落でつけた日足と週足のたくり足については2015年8月24日への急落時につけたたくり足と類似した状況を示しているということをこれまでも指摘してきたが、週足のたくり足による下ヒゲをつぶし始めた状況は20161月の下落=2015年11月の戻り天井から2016年6月24日底へ下落した時の序盤に近い印象だ。
週足レベルの中長期観を整理しておくと、 概ね10か月から1年周期の天井・底打ちサイクルにおける上昇期が4月24日で一巡して下落期に入ったところと思われる。このサイクルの次の安値形成期は1月3日底を基準として2019年10月から2020年1月にかけての間と想定されるので、短期的な反発を入れながらも秋から年末にかけて下落基調を続けやすくなったと思われる。
また下落規模も2018年10月4日から2019年1月3日への下落時よりも大きくなる可能性がある。1年サイクルによる下落規模は、2018年10月からの下落幅は9.72円だったが、2017年11月から2018年3月への下落幅は10.09円、2016年12月から2017年4月までが10.54円と10円を超えている。2015年11月の戻り天井から2016年6月底までの下げ幅は24.69円だった。

米連銀の利下げ観測、その背景にあるのは米中対立と世界経済の逆流懸念だ。6月末のG20大阪サミットで米中首脳会談が実現する予定であり、そこから米中協議が最終合意へ向けた楽観的なプロセスに入り、株高がさらに続き、米連銀やトランプ政権が利下げ不要とするような状況改善があれば、ドル円も大きな反騰に入る可能性はあるだろう。しかし米連銀の懸念が現実化し、トランプ政権が催促しなくても利下げを余儀なくされる状況に入る場合は4月24日の戻り天井からの下落規模が10円を超えるレベルに発展する可能性、あるいは2016年6月への下落時並みに発展する可能性も否定できないのではないかと思う。

【当面のポイント】

【当面のポイント】

6月4日以降の持ち合いから転落して6月21日昼安値107.04円まで下げ、21日深夜に107.73円まで戻したがその後は107.50円以下まで失速して週を終えた。持ち合い下放れによる下落が一服しての戻りだったが、安値を出し切っての反騰入りという印象には欠ける。
(1)当初、6月21日昼安値107.04円を下値支持線、21日深夜高値107.73円を上値抵抗線とする。
(2)107.73円を超えないうちは107.04円割れからの一段安を警戒する。107.04円割れの場合、概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは26日から28日にかけての間へ下落継続しやすくなるとみる。その際の下値目途は、まず6月21日深夜高値までの戻り幅の倍返しで106.35円試し、さらに6月11日から21日への下落幅を21日深夜高値から差し引いた105.98円と想定する。106円前後は反騰警戒圏とみるが、先行きは1月3日安値104.82円及び2018年3月26日安値104.63円を目指す可能性が高まるとみる。
(3)107.73円超えの場合は108円前後への反発を想定するが、6月4日からの持ち合い転落を解消するような情勢変化がなければ108円前後は戻り売りにつかまりやすいとみる。(了)<23日19:30>

【当面の主な予定】

6/24(月)
米国務長官がアジア諸国歴訪(30日まで)
14:00 (日) 4月 景気先行指数(CI)・改定値 (速報 95.5)
14:00 (日) 4月 景気一致指数(CI)・改定値 (速報 101.9)
17:00 (独) 6月 IFO企業景況指数 (5月 97.9、予想 97.2)

6/25(火)
07:45 (NZ) 5月 貿易収支 (4月 4.33億NZドル、予想 2.00NZ億ドル)
08:50 (日) 日銀・金融政策決定会合議事要旨
08:50 (日) 5月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (4月 0.9%、予想 1.0%)
21:45 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、挨拶
22:00 (米) 4月 住宅価格指数 前月比 (3月 0.1%、予想 0.2%)
22:00 (米) 4月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (3月 2.7%。予想 2.5%)
23:00 (米) 6月 リッチモンド連銀製造業指数 (5月 5、予想 2)
23:00 (米) 5月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (4月 67.3万件、予想 68.5万件)
23:00 (米) 6月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (5月 134.1、予想 131.0)
25:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
26:00 (米) パウエルFRB議長、講演
28:30 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、オタワの討論会に参加

6/26(水)
米民主党の大統領選候補者討論会(フロリダ州マイアミ、27日まで)

07:30 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁裁、開会挨拶
11:00 (NZ) ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利 (現行 1.50%、予想 1.50%)
15:00 (独) 7月 GFK消費者信頼感 (6月 10.1、予想 10.0))
18:15 (英) カーニー英中銀(BOE)総裁、議会証言
21:30 (米) 5月 耐久財受注 前月比 (4月 -2.1%、予想 -0.1%)
21:30 (米) 5月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (4月 0.0%、予想 0.1%)

6/27(木)
08:50 (日) 5月 小売業販売額 前年同月比 (4月 0.5%、予想 1.2%)
10:00 (NZ) 6月 NBNZ企業信頼感 (5月 -32.0)
10:30 (日) 若田部昌澄日銀副総裁が金融経済懇談会に出席・会見
18:00 (欧) 6月 経済信頼感 (5月 105.1、予想 104.7)
18:00 (欧) 6月 消費者信頼感 確定値 (速報 −7.2、予想 7.2) 

21:00 (独) 6月 消費者物価指数速報値 前月比 (5月 0.2%、予想 0.2%)
21:00 (独) 6月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (5月 1.4%、予想 1.4%)
21:30 (米) 1-3月期GDP確定値 前期比年率 (前回 3.1%、予想 3.2%)
21:30 (米) 1-3月期GDP個人消費確定値 前期比 (前回 1.3%、予想 1.3%)
21:30 (米) 1-3月期コアPCE確定値 前期比 (前回 1.0%、予想 1.0%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.6万件、予想 21.9万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 166.2万人)
23:00 (米) 5月 住宅販売保留指数 前月比 (4月 -1.5%、予想 1.0%)
23:00 (米) 5月 住宅販売保留指数 前年同月比 (4月 0.4%)
27:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 8.25%、予想 8.25%)

6/28(金)
G20大阪サミット2019(6月28日~6月29日)
英仏独中ロとイラン、EUが核合意存続に向け協議(ウィーン)

08:01 (英) 6月 GFK消費者信頼感 (5月 -10、予想 -11)
08:30 (日) 5月 失業率 (4月 2.4%、予想 2.4%)
08:30 (日) 5月 有効求人倍率 (4月 1.63、予想 1.63)
08:30 (日) 6月 東京都区部消費者物価指数・生鮮食料品除く 前年同月比 (5月 1.1%、予想 1.0%)
08:50 (日) 6月19・20日の日銀金融政策決定会合の「主な意見」
08:50 (日) 5月 鉱工業生産速報値 前月比 (4月 0.6%、予想 0.7%)
08:50 (日) 5月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (4月 -1.1%、予想 -3.0%)
14:00 (日) 5月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (4月 -5.7%、予想 -4.2%)
17:30 (英) 1-3月期GDP改定値 前期比 (前回 0.5%、予想 0.5%)
17:30 (英) 1-3月期GDP改定値 前年同期比 (前回 1.8%、予想 1.8%)
17:30 (英) 1-3月期経常収支 (前期 -237億ポンド、予想 -320億ポンド)

18:00 (欧) 6月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (5月 1.2%、予想 1.2%)
18:00 (欧) 6月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (5月 0.8%、予想 0.9%)
21:30 (米) 5月 個人所得 前月比 (4月 0.5%、予想 0.3%)
21:30 (米) 5月 個人消費 前月比 (4月 0.3%、予想 0.5%)
21:30 (米) 5月 PCEデフレーター 前年同月比 (4月 1.5%)
21:30 (米) 5月 PCEコア・デフレーター 前月比 (4月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 5月 PCEコア・デフレーター、前年同月比 (4月 1.6%、予想 1.6%)
22:45 (米) 6月 シカゴ購買部協会景況指数 (5月 54.2、予想 54.0)
23:00 (米) 6月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報 (速報 97.9)




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