ドル円見通し FOMC利下げ姿勢から下落、6月4日以降の持ち合いから転落開始(6/20)

FOMC声明及びその後の議長会見内容は市場の期待に添ったものであり、年内2回の利下げ予想が7人だったことは市場の期待をやや上回る利下げ姿勢という印象だった。

ドル円見通し FOMC利下げ姿勢から下落、6月4日以降の持ち合いから転落開始(6/20)

【概況】

FOMC声明及びその後の議長会見内容は市場の期待に添ったものであり、年内2回の利下げ予想が7人だったことは市場の期待をやや上回る利下げ姿勢という印象だった。結果発表後はドル全面安、米長期債利回りはさらに低下し、ドル円は107.90円まで下げ、いったん108円台まで戻したが、午前の下落で6月4日と5日付けた安値107.82円を割り込んだ。
米連銀の利下げ姿勢を好感してNYダウも上昇したが、利下げ根拠が景気下振れリスクであることや債券買いが進んだために前日比38.46ドル(0.2%)高にとどまり、ナスダック総合指数も0.4%の上昇だった。
米10年債利回りは 2.0%を割り込み2016年11月以来の低水準となった。また3カ月物TB利回りが10年債利回りを上回る長短金利の逆イールドは19日連続となった。

【FOMC結果】

6月20日未明に米連銀(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)において政策金利を現状維持としたが、声明では経済情勢を「忍耐強く」見極めるとしてきた1月以降の文言を削除し「景気拡大を持続させるために適切に行動するだろう」として利下げ姿勢を示した。景気判断は従来の「底堅く拡大」から「緩やかに拡大」へ下方修正した。
会合参加者17人の金利見通し中央値は「年内据え置き」だったが、年内利下げ予想がほぼ半数の8人となり、このうち7人は2回の利下げを予想した。
政策金利の現状維持決定については賛成9人、反対1人で、セントルイス連銀のブラード総裁が0.25%の利下げを主張したため、これまで続いてきた全会一致が崩れた。
2019年と2020年のインフレ率の見通しも下方修正され、FRBの物価安定目標の2%に到達するのは2021年と想定された。

【欧米の金融緩和への回帰】

6月18日にはECBのドラギ総裁が講演で追加金融緩和姿勢を示したことでユーロが急落する場面があったが、19日もデギンドス副総裁が景気下振れリスクに対しては「幅広い措置が使用可能だ」「フォワード ・ガイダンスや条件付き資金供給オペ、国債償還分再投資がある」と述べて金融緩和姿勢を示している。
米連銀の利下げ姿勢への傾斜も米中対立を中心問題とした景気鈍化への懸念とその予防的政策な市場へのアピールだが、欧米の経済指標等が徐々に米中対立の影響を反映して鈍化ないしは悪化してきていることが米連銀とECBの金融緩和姿勢への回帰を進めている印象だ。
6月18日の豪中銀の理事会議事録でも利下げ姿勢が示されているが、NZ中銀は既に5月に利下げに踏み切っている。米欧とオセアニアの金融緩和への傾斜が世界全体での緩和化期待となり、米長期債利回りの低下のみならずドイツ、フランス等欧州各国、オセアニアの長期債利回り低下へ波及しているため、FOMCからドル安にはなったものの、先行きはユーロ安や豪ドル安等の状況によっては、かならずしもドルが全面安で推移するとは限らないと思われる。

【6月4日からのやや右肩上がりの持ち合いから下放れ始めるか】

6月4日以降は6月11日高値までの範囲内での持ち合いを続けてきた。
この持合いは6月18日夜の安値が108.07円に止まって反発したことにより、6月5日安値107.82円、6月7日安値107.88円、18日安値108.07円がほぼ1直線で安値ラインがやや切り上がり型となっていた。しかしFOMC後の下落により18日夜安値を割り込んだためにやや右肩上がりの安値ラインから転落している。いったん108円台を回復したが午前の下げで安値を更新し始めているので持ち合いを下放れし始めた印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月17日夜高値から下落して18日夜には14日安値を割り込んだために17日夜高値で前回のサイクルトップをつけた。しかし18日夜安値からは反騰して17日夜高値に迫ったため、19日朝時点では18日夜安値を直近のサイクルボトムとし、底割れ回避の内は上昇余地ありとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
20日未明に底割れしたため、現状は18日深夜高値を直近のサイクルトップとした新たな弱気サイクル入りと考えられる。ボトム形成期は21日夜から25日夜にかけての間と想定されるので20日夜から21日にかけてはまだ一段安の余地ありとみる。

60分足の一目均衡表では20日未明への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落しているので、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。強気転換には両スパン揃っての好転が必要と思われる。

60分足の相対力指数は20日未明に30ポイントを割り込んできたが、18日夜からの安値更新に対して強気逆行=相場の下落に対して指数のボトムが切り上がる=は発生していないので20ポイント前後へさらに下降しやすいとみる。強気転換は50ポイントを超える反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.50円を下値支持線、108.25円を上値抵抗線とする。
(2)108.25円以下での推移中は一段安警戒とし、まず107.50円前後を目指すとみる。107.50円前後では買い戻しも入りやすいとみるが、107.50円をスルーして続落の場合は107.00円試しまで下値目処を引き下げる。また先行きは1月3日安値試しへ向かう可能性も高まるとみる。
(3)108.00円から108.25円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみる。108.25円超えから続伸の場合は強気転換の可能性を疑うが、108.50円手前からの反落警戒とする。

【当面の主な予定】

6/20(木)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利発表 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
EU首脳会議(6月21日まで)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
17:30 (英) 5月 小売売上高・除自動車 前月比 (4月 -0.2%、予想 -0.4%)
17:30 (英) 5月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (4月 4.9%、予想 2.5%)
17:30 (英) 5月 小売売上高 前月比 (4月 0.0%、予想 -0.5%)
17:30 (英) 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 5.2%、予想 2.7%)

20:00 (英) イングランド銀行(BOE)政策金利発表 (現行 0.75%、予想 0.75%)
20:00 (英) 英中銀資産買取プログラム規模 (現行 4350億ポンド、予想 4350億ポンド)
20:00 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
21:30 (米) 1-3月期 四半期経常収支 (前期 -1344億ドル、予想 -1250億ドル)
21:30 (米) 6月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (5月 16.6、予想 11.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.2万件、予想 22.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 169.5万人、予想 168.8万人)
23:00 (米) 5月 景気先行指数 前月比 (4月 0.2%、予想 0.1%)
23:00 (欧) 6月 消費者信頼感 速報 (5月 -6.5、予想 -6.5)

6/21(金)
08:30 (日) 5月 全国消費者物価指数 前年同月比 (4月 0.9%、予想 0.7%)
08:30 (日) 5月 全国消費者物価指数・生鮮食料品除く前年同月比(4月 0.9%、予想 0.7%)
08:30 (日) 5月 全国消費者物価指数・生鮮食料品・エネルギー除く前年同月比(4月 0.6%、予想 0.5%)
16:30 (独) 6月 製造業PMI 速報値 (5月 44.3、予想 44.6)
16:30 (独) 6月 サービス業PMI 速報値 (5月 55.4、予想 55.3)
17:00 (欧) 6月 製造業PMI 速報値 (5月 47.7、予想 48.0)
17:00 (欧) 6月 サービス業PMI 速報値 (5月 52.9、予想 53.0)

22:45 (米) 6月 製造業PMI 速報値 (5月 50.5、予想 50.5)
22:45 (米) 6月 サービス業PMI 速報値 (5月 50.9、予想 51.0)
23:00 (米) 5月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (4月 519万件、予想 525万件)
25:00 (米)ブレイナードFRB理事、メスター・クリーブランド連銀総裁、イベント参加
28:00 (米) デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、ポッドキャスト主催

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