ドル円見通し FOMC待ち、欧米長期債利回り低下の円高圧力と米中協議期待の円安にやや揺れる(6/19)

米中首脳会談実現への報道をきっかけに株高となり、ドル円は株高によるリスクオン心理から反発した。

ドル円見通し FOMC待ち、欧米長期債利回り低下の円高圧力と米中協議期待の円安にやや揺れる(6/19)

FOMC待ち、欧米長期債利回り低下の円高圧力と米中協議期待の円安にやや揺れる

【概況】

6月18日夕刻に欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が講演で追加金融緩和の可能性を示唆したためにユーロが急落した。ユーロ安ドル高はドル円にとってはドル高円安要因となりうるものだが、併せてユーロ安円高が進んだことと、ドイツとフランスの10年債利回りが急落し、米10年債利回りも2017年9月以来の低水準へ低下、米30年債利回りは2016年10月下旬以来の低水準となったため、ドル円としては欧米長期債利回り低下による円高圧力が勝ることとなり、22時台の108.07円への下落という結果となった。
その後の深夜反騰は米中首脳会談実現報道による株高とリスクオン心理により反騰した。23時台には108.67円をつけたが6月17日高値108.72円及び6月11日高値108.79円には届かずに、6月4日以降の持ち合いの範囲内に止まっている。

ドラギ総裁は18日の講演で「物価の伸びが低迷し目標を達成できない状況が続いた場合にECBは利下げや資産買い入れなどの金融緩和を再度行う」と述べた。ドイツ10年債利回りは過去最低を更新、フランス10年債利回りは初めてマイナスとなった。
18日には豪中銀の理事会議事録要旨の発表があり、前回の利下げからさらに追加利下げへ向かう可能性が高まったが、米連銀の年内利下げ姿勢も踏まえると世界的な金融緩和再開期待が高まり始めている状況とも考えられる。

ドラギ総裁発言をきっかけとした上昇一巡後は、米中首脳会談実現への報道をきっかけに株高となり、ドル円は株高によるリスクオン心理から反発した。
トランプ米大統領は18日に中国の習近平国家主席と電話会談し、「とても良い会話をした」とツイートした。大阪のG20首脳会議に合わせて米中首脳会談を予定し、会談に先立って双方のチームが話し合いを始めるとも述べた。中国国営中央テレビも米中首脳会談を開くことで双方が合意したと報道した。米中対立解消への期待と利下げによる押し上げ効果期待でNYダウは前日比353.01ドル高と上昇した。一方で利下げ期待やECBの緩和姿勢で債券も買われて長期債利回りが低下する状況が併存している。

6月20日未明のFOMCでは利下げ決定には至らないと予想されているが、次の7月会合での利下げ確率が高まる場合や年内の複数回利下げの可能性が高まるなら米長期債利回りが一段と低下してドル円も金利差から売られやすく、6月4日以降の持ち合いから下放れる可能性が警戒される。しかし、利下げに慎重な場合及び利上げにも利下げにも中立的姿勢の場合は失望感から米長期債利回り上昇、ドル高円安へ流れが変わる可能性もある。またその際に米中協議進展期待がさらに高まるなら、株高とリスクオン心理でドル円が大幅上昇する可能性もあり得るところだ。

米商務省が発表した5月の住宅着工件数は季節調整後の年率換算で126万9000戸となり前月比0.9%減少した。マイナスは3か月振りだが市場予想の123万9000戸は上回った。先行指標の住宅着工許可件数は129万4000戸で前月比0.3%増となり市場予想の129万6000戸をわずかに下回った。

【6月4日からの持ち合い、やや右肩上がりに】

6月4日以降は6月11日高値までの範囲内での持ち合いを続けている。
NYダウが反騰したことによる円安効果と米連銀の年内利下げ観測による米長期債利回り低下の円高効果が相殺となっているため、5月21日の戻り高値からの一段安は下げ一服状態にあるが、安値を出し切っての反騰入りという状況へ進めずに下げ渋り持ち合いに止まって下放れのリスクも抱えた状況にある。
この持合いは6月18日夜の安値が108.07円に止まって反発したことにより、6月5日安値107.82円、6月7日安値107.88円、18日安値108.07円がほぼ1直線で安値ラインがやや切り上がり型となっている。このため6月17日高値108.72円を超える場合は安値ラインとの平行チャンネルにより、6月11日高値108.79円を超えて109円手前へ迫るところまで戻り高値ラインが切り上がる可能性がある。しかし、現状の持合いから上下いずれへ放れるのかはFOMCの結果反応次第とすれば、FOMC結果前はレンジ上限では戻り売りにつかまりやすいと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月6月7日夜安値から5日目となる14日夕安値で直近のサイクルボトムをつけていったん上昇期に入ったが、11日高値から4日目となる17日夜高値から下落し、18日夜には14日安値を割り込んだため、17日夜高値が直近のサイクルトップとなった。18日夜安値からは反騰しているが、14日夕安値からは2日強と日柄が短いものの14日安値とダブル底型だった13日午前安値からは3日半を経過しているので、18日夜安値で既にサイクルボトムをつけて反騰期に入ったとみるべきだろう。
新たなトップ形成期は20日夜から24日夜にかけての間だが、FOMC後の反応によってはトップ形成の短縮による弱気転換の可能性もある。FOMC後も上昇なら20日夜から24日夜にかけての間への続伸と想定し、FOMCから崩れる場合及び18日夜安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとして21日夜から25日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では持ち合い続きのため遅行スパンも先行スパンも実線との交錯を繰り返しているので方向感に乏しい。遅行スパン好転中は高値試し、悪化中は安値試しが基本だが、FOMCから次の流れに入るとみて、FOMC後に上昇基調に入る場合は遅行スパン好転中の高値試し優先とし、下落基調に入る場合は遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)FOMC前は108.20円から108.00円までを支持帯、108.70円から108.90円までを抵抗帯とみておく。
(2)FOMC後に上昇反応でも短期的な上昇に止まって108.20円以下へ下落の場合は一段安へ向かいやすくなるとみるが、109円超えへ上昇している場合は持ち合い上放れによる反騰入りとして109.50円から5月30日高値109.92円手前にかけてのゾーンを目指す上昇期に入ると考える。
(3)FOMC後に下落しても108円割れを切り返す場合は持ち合いの継続として持ち合い上限を再び試す可能性ありとするが、6月5日安値107.82円割れから続落に入る場合は持合い下放れとして107円台序盤、さらに106円台を目指す流れへ向かうとみる。またその場合は先行きで1月3日安値試しへ下値目処も切り下がってゆくと考える。(了)<9:45>

【当面の主な予定】

6/19(水)
未 定 (日) 日銀・金融政策決定会合(1日目)
17:00 (欧) 4月 経常収支 季調済 (3月 247億ユーロ)
17:00 (欧) 4月 経常収支 季調前 (3月 350億ユーロ)
17:30 (英) 5月 消費者物価指数 前月比 (4月 0.6%、予想 0.3%)
17:30 (英) 5月 消費者物価指数 前年同月比 (4月 2.1%、予想 2.0%)
17:30 (英) 5月 消費者物価コア指数 前年同月比 (4月 1.8%、予想 1.7%)
17:30 (英) 5月 小売物価指数 前月比 (4月 1.1%、予想 0.2%)
17:30 (英) 5月 小売物価指数 前年同月比 (4月 3.0%、予想 2.9%)
17:30 (英) 5月 生産者物価コア指数 前年同月比 (4月 2.2%、予想 2.0%)
18:00 (欧) 4月 建設支出 前月比 (3月 -0.3%)
18:00 (欧) 4月 建設支出 前年同月比 (3月 6.3%)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、2日目、政策金利発表 (現行 2.25-2.50%、予想 2.25-2.50%)
27:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見

6/20(木)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利発表 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
EU首脳会議(6月21日まで)
07:45 (NZ) 1-3月期GDP 前期比 (前期 0.6%、予想 0.6%)
07:45 (NZ) 1-3月期GDP 前年同期比 (前期 2.3%、予想 2.4%)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
17:30 (英) 5月 小売売上高・除自動車 前月比 (4月 -0.2%、予想 -0.5%)
17:30 (英) 5月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (4月 4.9%、予想 2.4%)
17:30 (英) 5月 小売売上高 前月比 (4月 0.0%、予想 -0.5%)
17:30 (英) 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 5.2%、予想 2.7%)

20:00 (英) イングランド銀行(BOE)政策金利発表 (現行 0.75%、予想 0.75%)
20:00 (英) 英中銀資産買取プログラム規模 (現行 4350億ポンド、予想 4350億ポンド)
20:00 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
21:30 (米) 1-3月期 四半期経常収支 (前期 -1344億ドル、予想 -1250億ドル)
21:30 (米) 6月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (5月 16.6、予想 10.5)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.2万件、予想 22.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 169.5万人、予想 168.0万人)
23:00 (米) 5月 景気先行指数 前月比 (4月 0.2%、予想 0.1%)
23:00 (欧) 6月 消費者信頼感 速報 (5月 -6.5、予想 -6.5)

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