ドル円、米中協議再開への期待から急伸するも伸び悩む展開。
海外時間の為替概況
18日の海外市場でドル円は下落後に急反発。新潟県下越で震度6強の地震が発生したことで、ドル円は一時108.07まで売り込まれるも、その直後に、トランプ米大統領より「G20で習近平中国国家首席と会談する」との発言が報じられると、「米中貿易摩擦が和らぐとの期待感→米主要株価指数の上昇→リスク選好のドル高・円安」への連想から、ドル円は一時108.68まで急伸しました。もっとも、米FOMCを前に手控えムードも根強く、伸び悩むと、引けにかけて再び反落。結局108.40台まで押し返されてのクローズとなっております。
一方、ユーロドル相場は、欧州時間序盤にかけて日通し高値1.1243まで上昇するも、90日移動平均線(1.1254)や、一目均衡表転換線(1.1265)を前に続伸が阻まれると、その後は、@ドラギECB総裁による「物価上昇率がインフレ目標に戻らなければ、利下げや資産購入など追加金融緩和を実施する可能性がある」とのハト派的な発言や、Aユーロ圏5月消費者物価指数(結果0.1%、予想0.2%)の予想比下振れ、Bドイツ6月ZEW景況感指数(結果▲21.1、予想▲5.6)の急低下、CドイツIFO経済研究所による2020年のドイツ経済成長率見通しの下方修正(1.8%→1.7%)などを材料に急反落。チャートポイントとして意識されていた一目均衡表雲下限(1.1210)を割り込むと、約2週間ぶり安値となる1.1181まで急落しました。
トランプ米大統領による「ECBの緩和策は米国との競争をアンフェアにする」とのユーロ安牽制発言を受けて一時1.12台を回復する場面も見られましたが、一目均衡表雲下限付近では戻り売り意欲も根強く、結局1.1190台へと押し返されてのクローズとなっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、@ダブルトップからの下放れ(添付チャートの青線)、A強い売りシグナルを表す一目均衡表・三役逆転、B38営業日連続でのボリンジャーバンドのミッドバンド割れなど、テクニカル的に見て、「下落リスク」が意識されます。G20での米中協議再開への期待感などから、リスク回避ムードは幾分後退しましたが、中東を巡る地政学的リスクや、世界経済の減速懸念、英国情勢の不安定化、イタリア財政問題、米独関係悪化懸念など、ファンダメンタルズ面での不安要素を考慮すれば、ドル円の上値余地は乏しいと考えられます。ボリンジャーバンドのミッドバンド(108.81)や、一目均衡表基準線(109.25)付近では戻り売りが強まると見られ、事実昨日も108.68をトップに伸び悩む動きとなりました。
尚、本日の米・FOMCを巡っては、一部でサプライズ利下げを期待する向きが根強いものの、当方では政策金利は据え置かれる(予防的利下げは実施されない)と予想いたします。しかし、@インフレ低下についての言及(一過性では無いとの見解を滲ませるか否か)や、Aバランスシート縮小の終了時期(9月より更に前倒しにするか否か)、Bドット・プロットの修正(大幅な下方修正が見られるか否か)に、何かしらのサプライズが見られれば、利下げへの地均しと受け止められ、「米年内利下げ観測高進→米長期金利低下→ドル売り」への連想から、ドル円が108円台を割り込み、直近安値(107.77)を試す展開も想定されます(※但し、FRBのハト派的なスタンスが、米主要株価指数の急騰を誘った場合には、米長期金利の低下を受けたドル売りと、リスク選好の円売りの綱引き状態となることから、乱高下しつつも、方向感を見出せなくなる可能性もあります)。当方では、ポジションサイズを落としつつも、今晩の米FOMCを経て、「ドル安・円高」が進行する展開をメインシナリオとして予想いたします。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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