来週の為替相場見通し 『米FOMC vs 日銀金融政策決定会合』(6/15朝)

リスク回避ムードは幾分後退しましたが、それでも尚109円台を回復できなかったことに鑑みれば、ドル円の上値は相当重たいと考えられます。

来週の為替相場見通し 『米FOMC vs 日銀金融政策決定会合』(6/15朝)

来週の為替相場見通し 『米FOMC vs 日銀金融政策決定会合』

6/10−6/14の振り返り

6/10週のドル円相場は、米FOMCを翌週に控えた様子見ムードから、週を通して方向感を見出しづらい時間帯が継続しました。トランプ米大統領による「メキシコへの関税発動を無期限で延期する」とのツイートを背景に、週明けのドル円相場は窓を開けて上昇オープン(6/7終値108.19に対し、6/10始値が108.56)。米墨貿易摩擦の緩和を好感する形で、翌6/11には一時108.81まで続伸するなど、5/31以来、約2週間ぶり高値を記録しました。

しかし、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、その後は、@トランプ米大統領による「もし習近平中国国家主席がG20に参加しなければ、中国への追加関税は直ちに発動される」「もしメキシコが合意事項を破った場合、制裁関税は復活する」等の発言や、A同氏による「米国の政策金利は高過ぎる」「ユーロ及びその他通貨は対ドルで下落するよう誘導されており、米国はとても不利な立場にある」などドル安誘導を示唆する発言、Bポンペオ米国務長官による「(中東ホルムズ海峡に近い)オマーン沖で発生した石油タンカー2隻に対する攻撃について、米政府はイランが攻撃の背後にいたと判断している」との発言が重石となり、週後半にかけては、一時108.17まで下げ幅を広げる展開となりました。もっとも、米FOMCを翌週に控え、様子見ムードも根強く、下げ渋ると、引けにかけて再び反発。米5月小売売上高(コア)や米5月鉱工業生産が市場予想を上回ったことなども材料視される中、結局108.56まで値を戻しての越週となっております。

6/10週のユーロドル相場は、上昇後に急反落する展開となりました。週初1.1324で寄り付いたユーロドルは、@トランプ米大統領による「ユーロ及びその他通貨は対ドルで下落するよう誘導されており、米国はとても不利な立場にある」とのツイートを背景に、週央にかけて週間高値となる1.1345まで上昇する展開となりました。しかし、200日移動平均線(1.1361)を前に戻り売りが強まると、その後は、Aドイツとロシアを結ぶガスパイプライン「ノルドストリーム2」の建設阻止を目的に、米国がドイツに制裁を加えることを検討していると報じられたことや、B英国の野党・労働党が提出したEUからの合意なき離脱を阻止するための動議を、英下院が反対多数(賛成298、反対309)で否決したこと、

C国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事が「ユーロ圏は低インフレ状態が続く恐れがある」と発言したこと、D米経済指標(米5月コア小売売上高や、米5月鉱工業生産)の良好な結果を受けてドル買い圧力が強まったことなどが重石となり、週末には約2週間ぶり安値となる1.1203まで急落し、結局1.1212での越週となりました。

6/17−6/21の展望

ドル円は、@ダブルトップからの下放れ(チャートの青線)、A強い売りシグナルを表す一目均衡表・三役逆転、B36営業日連続でのボリンジャーバンドのミッドバンド割れなど、テクニカル的に見て、「下落リスク」が意識されます。メキシコへの関税賦課見送り報道を背景に、リスク回避ムードは幾分後退しましたが、それでも尚109円台を回復できなかったことに鑑みれば、ドル円の上値は相当重たいと考えられます。

米中貿易摩擦や中東を巡る地政学的リスク、貿易戦争に端を発した世界経済の減速懸念、英国情勢の不安定化、イタリア財政問題、米独関係悪化懸念など、ファンダメンタルズ面での不安要素が、ドル円の上値を抑制する展開が今後も続きそうです。米国のインフレ指標を確認すると、先週末金曜日に発表された平均時給の伸び率鈍化に加えて、今週は生産者物価指数や消費者物価指数、輸入物価指数の冴えない結果も明らかとなりました。これらを踏まえて、来週(18日−19日)の米FOMC(含むドットチャート及びパウエルFRB議長記者会見)でハト派的な見解が示されれば、「米インフレ鈍化→年内利下げ観測再燃→米長期金利低下→ドル売り」の流れが強まり、ドル円が108円割れを再トライする展開も想定されます。

また、19−20日に予定されている日銀金融政策決定会合では、追加緩和の可能性を滲ませつつも、副作用を警戒して、市場にサプライズを与えるような具体的な手段には踏み込めないと予想されます。事実上のゼロ回答と見なされれば、「追加緩和期待の剥落→日銀の政策手詰まり感→日本とその他各国との金融政策格差の縮小」との連想を通じて、円高圧力が強まる可能性もありそうです。来週は、米FOMCや日銀金融政策決定会合の結果に振らされながらも、ドル安・円高をメインシナリオとして予想いたします。

来週の為替相場見通し 『米FOMC vs 日銀金融政策決定会合』

ドル円日足

ユーロドル相場は、200日移動平均線(1.1361)に続伸を阻まれる形で、週末にかけて1.1203まで急反落しました。この間、一目均衡表雲上限割れ(1.1280)、一目均衡表転換線割れ(1.1276)、90日移動平均線割れ(1.1256)、一目均衡表基準線割れ(1.1227)、ボリンジャーバンドのミッドバンド割れ(1.1220)を軒並み達成するなど、「上値トライ失敗→ユーロショート再造成」の動きが活発化しました。一目均衡表雲下限(1.1210)付近では、ひとまず下げ渋る動きとなりましたが、上値は相応に重たい印象です。ファンダメンタルズ的に見ても、@ECBによる追加緩和観測、A米欧貿易摩擦を巡る警戒感、B米独関係悪化懸念、C欧州経済を巡る先行き不透明感、Dイタリアの財政問題、E英国のハードブレグジット懸念など、ユーロ売りに繋がり易い不安材料が増えつつあります。テクニカル的に見ても、ファンダメンタルズ的に見ても、ユーロドルの上値余地は乏しく、来週は、米FOMCの結果(含むドットチャート及びパウエルFRB議長記者会見)を睨みながらも、下落リスクに警戒が必要でしょう。

ドル円の予想レンジ:107.00−109.50
ユーロドルの予想レンジ:1.1050−1.1350

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