ドル円、一時上昇するも伸び悩む展開。中東を巡る地政学的リスクが重石に
海外時間の為替概況
13日の海外市場でドル円は上昇後に反落。アジア時間に付けた日通し安値108.17をボトムに切り返すと、欧州勢参入後も、ドル円は底堅く推移しました。米5月輸入物価指数(結果▲0.3%、予想▲0.2%)や、米新規失業保険申請件数(結果22.2万件、予想21.5万件)は共に冴えない結果となりましたが、ドル円の反応は限定的となり、NY時間午後に入ると、原油高や米株高を背景に一時108.54まで上値を伸ばす展開となりました。もっとも、同水準で伸び悩むと、ポンペオ米国務長官による「(中東ホルムズ海峡に近い)オマーン沖で発生した石油タンカー2隻に対する攻撃について、米政府はイランが攻撃の背後にいたと判断している」との発言が重石となり、ドル円は地政学的リスクの再燃を嫌気する形でNY時間午後にかけて反落。一時108.25まで下げ幅を広げるなど、上値の重い展開が継続しました。
一方、ユーロドル相場は続落。前日報じられた「ドイツとロシアを結ぶガスパイプライン(ノルドストリーム2)の建設阻止を目的に、米国はドイツに制裁を加えることを検討している」との発言がユーロ売りを促す展開。@米独関係悪化懸念や、AECBによる追加緩和期待、B英国情勢の不安定化に加えて、C国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事による「低インフレ状態が続く恐れがある」との発言が重石となり、NY時間には、約1週間ぶり安値となる1.1269まで下げ幅を広げました。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、@ダブルトップからの下放れ(添付チャートの青線)、A強い売りシグナルを表す一目均衡表・三役逆転、B35営業日連続でのボリンジャーバンドのミッドバンド割れなど、テクニカル的に見て、「下落リスク」が意識されます。先週末に報じられたメキシコへの関税賦課見送りを背景に、リスク回避ムードは幾分後退しましたが、米中貿易摩擦や中東を巡る地政学的リスク、世界経済の減速懸念、英国情勢の不安定化、イタリア財政問題に加えて、足元では米独関係悪化懸念も浮上するなど、ファンダメンタルズ面での不安要素がドル円の上値を抑制する展開が続いております。一目均衡表転換線(108.31)や、10日移動平均線(108.34)付近では「戻り売り」が強まると見られ、事実昨日も108.54をトップに108.25まで下落する展開となりました。最近の米物価指標を確認すると、先週末金曜日に発表された平均時給の伸び率鈍化に加えて、今週は生産者物価指数や消費者物価指数、米輸入物価指数も冴えない結果となりました。
米FOMCを来週に控える中で、「米インフレ鈍化→年内利下げ観測再燃→米長期金利低下→ドル売り」への連想は根強く、ドル円の上値余地は限られそうです。また、ドル円は日に日に値幅が小さくなるなど、次のトレンド発生に向けてエネルギーを溜めている状況です。何かの拍子で突如相場が動意付く可能性もあるため、本日発表される米中の主要経済指標(※本日は中国の小売売上高や鉱工業生産に加えて、米国の小売売上高や鉱工業生産、ミシガン大消費者信頼感指数など主要経済指標が目白押し)や、トランプ米大統領のツイート、各国要人発言に引き続き注意が必要です。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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