ドル円見通し 6月4日以降の持ち合い続く(6/13)

5月の消費者物価では、全体の前月比は0.1%上昇で市場予想と一致したが、エネルギーと食料品を除いたコア指数は前月比0.1%上昇で市場予想の0.2%を下回った。

ドル円見通し 6月4日以降の持ち合い続く(6/13)

ドル円見通し 6月4日以降の持ち合い続く

【概況】

ドル円は6月11日夜に108.79円をつけて6月4日以降の戻り高値を若干切り上げたが、12日夜への反落で108.20円まで下げた。6月4日以降は「やや戻り高値を切り上げ、108円を割り込むところは買い戻されるものの大きくは動けない持ち合い」という様相だ。12日夜安値からはやや戻しているので13日は高値切り上げパターンを継続できるかどうかを試すところだが、高値切り上げに失敗してくるようだと上昇しきれない現状に痺れを切らして安値を試す流れへと向かいかねないところと思う。

6月12日夕刻からはユーロが下落してドル高感がややぶり返したためにドル円もやや上昇した。トランプ大統領がロシア産ガスをバルト海経由で欧州に輸送するパイプライン「ノルドストリーム2」に対して制裁措置を検討していると述べたことが影響したようだ。ユーロは5月末から戻しているものの長期的には2018年2月からの下落基調の範囲にあるため、戻り一巡から下げ再開となる可能性も警戒されるところだ。

6月12日に米労働省が発表した5月の消費者物価では、全体の前月比は0.1%上昇で市場予想と一致したが、エネルギーと食料品を除いたコア指数は前月比0.1%上昇で市場予想の0.2%を下回った。コア指数の前年同月比は2.0%上昇で市場予想の2.1%を下回った。これらは米連銀の利下げ判断に寄与するとしてドル安要因とされたが、市場の反応は限定的だった。6月18−19日のFOMCまではまだ時間があるが、そこで利下げへ傾斜する姿勢が強まるかどうかを見定めるまではドル円も動きづらいとも言える。

トランプ米大統領は6月10日にG20首脳会合での会談に中国の習主席が応じない場合は中国への制裁関税について「25%よりはるかに高い」税率とする可能性があると述べたが、中国外務省は首脳会談の有無についてコメントせず、11日には「米国が貿易摩擦を激化させたいのであれば中国政府は断固たる決意で対応する」と表明して対決姿勢を示した。12日にトランプ米大統領は米中協議への楽観見通しを示しつつも、「中国製品に対する追加関税の拡大実施には期限を設けない」と語って中国への圧力を強めている。米国とメキシコの不法移民問題を巡る対立はひとまず収束したが、米中問題の解決見通しがまだ見えないため、ダウの反騰もやや頭打ち感が出ており、ドル円も株高からのリスクオン的円安へ進み切れない状況と思われる。

6月12日のNYダウは前日比43.68ドル安、米10年債利回りは前日比0.02%低下の2.12%、3か月物TB利回りは0.0488%低下の2.2174%で3か月物TB利回りが10年債利回りを上回る「長短金利逆転(逆イールド)」は14営業日連続となった。

【6月4日以降のややジリ高の持ち合いから抜け出せるか?】

6月4日安値107.82円の後は5日夜に同値をつけたもののその後は新たな安値更新を回避し、6月4日夜、6日未明、7日夜と戻り高値を若干切り上げ、今週も10日、11日と高値切り上げを続けている。12日夜安値から戻しているので、もう一度高値切り上げへ進めば、「やや高値を切り上げる持ち合い」というよりも6月4日と5日夜の安値を当面の底としたリバウンド入りとなる可能性が出てくると思う。しかし、11日高値を超えずにその後の下落で12日夜安値を割り込むようだと、戻り高値切り下がりからの安値更新という弱気パターンに傾斜してくる。
6月18−19日の米連銀FOMCまで、108円割れを切り返しつつの持ち合いを継続するか、もう一段高へ戻りを試すか、戻り高値切り下がり型へと弱気に変貌するのか、週末から週明けの展開で見えてくるのではないかと思う。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月4日午後と5日夜の両安値をダブル底とした強気サイクル入りとして10日から12日にかけての間への上昇を想定してきたが、持ち合いによる往来が続いたために11日朝時点では直近のサイクルボトムを7日夜安値として底割れ回避の内は12日から14日にかけての間への上昇を想定するとした。11日夜の上昇で10日高値をわずかに超えたために12日朝時点では11日午前安値108.32円割れ回避のうちは上昇余地ありとし、11日午前安値割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先するとした。
6月12日夕刻への下落で108.20円まで下げたため、11日夜高値を直近のサイクルトップとし、新たな高値更新へ進めない内は13日の日中から14日夜にかけての間への下落を想定する。ただし、6月7日夜安値から3日目となる12日夕安値で既にボトムをつけた可能性もあるので、108.50円以上での推移が続く場合は強気転換注意とし、11日高値108.79円超えからは新たな強気サイクル入りとして14日夜から18日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では持ち合い中のために方向感に乏しい。12日夜の下落では先行スパンから転落したがその後の反発で上抜き返しつつある。当面は持ち合い放れ待ちとして、12日夜安値割れからは一段安入りと仮定して遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、11日夜高値超えからは一段高入りにより遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12日夜の下落時に30ポイントを割り込んだが50ポイント超えまで切り返している。40ポイント台後半以上を維持する内は上昇余地ありとし、60ポイント超えからは上昇が加速しやすいとみる。40ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月12日夕安値108.20円を下値支持線、11日夜高値108.79円を上値抵抗線とみておく。
(2)108.50円を上抜いても維持できない内は108.35円割れから下向きとし、108.20円割れからは107.80円前後への下落を想定する。108円割れはもう一度買い戻されやすいとみるが、リスク回避型の急落となる場合は107.50円前後へ下値目処を引き下げ、14日の日中への続落を想定する。
(3)108.50円以上での推移が続く場合は上向きとし、108.79円超えからは一段高入りとなるので109円前後試しを想定する。5月22日からの下げ幅に対する3分の1戻しが108.77円、5月30日夜からの下げ幅に対する半値戻しが108.87円にあるので、109円手前は抵抗感が出やすい水準だが、逆に言えば109円超えへ進むと上昇に弾みが付きやすくなると思う。(了)<9:45執筆>

【当面の主な予定】

6/13(木)
10:30 (豪) 5月 新規雇用者数 (4月 2.84万人、予想 1.75万人)
10:30 (豪) 5月 失業率 (4月 5.2%、予想 5.1%)
13:30 (日) 4月 第三次産業活動指数 前月比 (3月 -0.4%、予想 0.4%)
15:00 (独) 5月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.2%、予想 0.2%)
15:00 (独) 5月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 1.4%、予想 1.4%)
16:30 (ス) スイス国立銀行 3か月物銀行間金利誘導目標 (現行 -0.75%、予想 -0.75%)
18:00 (欧) 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 -0.3%、予想 -0.5%)
18:00 (欧) 4月 鉱工業生産 前年同月比 (3月 -0.6%、予想 -0.5%)
21:30 (米) 5月 輸入物価指数 前月比 (4月 0.2%、予想 -0.2%)
21:30 (米) 5月 輸出物価指数 前月比 (4月 0.2%、予想 -0.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.8万件、予想 21.6万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 168.2万人、予想 168.0万人)

6/14(金)
11:00 (中) 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 7.2%、予想 8.0%)
11:00 (中) 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 5.4%、予想 5.4%)
13:30 (日) 4月 鉱工業生産・確報 前月比 (速報 0.6%)
13:30 (日) 4月 鉱工業生産・確報 前年同月比 (速報 -1.1%)
13:30 (日) 4月 設備稼働率 前月比 (3月 -0.4%)
21:30 (米) 5月 小売売上高 前月比 (4月 -0.2%、予想 0.7%)
21:30 (米) 5月 小売売上高・除自動車 前月比 (4月 0.1%、予想 0.4%)
21:55 (英) カーニー英中銀(BOE)総裁、昼食会で発言予定
22:15 (米) 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 -0.5%、予想 0.2%)
22:15 (米) 5月 設備稼働率 (4月 77.9%、予想 78.0%)
23:00 (米) 6月 ミシガン大学消費者信頼感指数 (5月 100.0、予想 98.0)
23:00 (米) 4月 企業在庫 前月比 (3月 0.0%、予想 0.4%)

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