ドル円、米墨合意で窓開けオープンも海外時間は「戻り売り」に押される展開
海外時間の為替概況
10日の海外市場でドル円は急伸後に伸び悩む展開。トランプ米大統領による「メキシコへの関税発動を無期限で延期する」とのツイートを背景に、週明けのドル円相場は窓を開けての上昇オープン。米墨貿易摩擦を巡る警戒感が幾分和らいだ事に加えて、黒田日銀総裁による「必要なら更に大規模な緩和を行うことが可能」との発言も加わり、ドル円は欧州時間序盤にかけて、一時108.72まで急伸しました。もっとも、一目均衡表転換線(108.88)をバックに戻り売りが強まると、ドル円は伸び悩む展開に。トランプ米大統領による「もし習近平中国国家主席がG20に参加しなければ、中国への追加関税は直ちに発動される」「もしメキシコが合意事項を破った場合、制裁関税は復活する」等の発言や、ニューヨーク市マンハッタンの高層ビル屋上にヘリコプターが衝突したとのヘッドラインが重石となる中、NY時間午後にかけて、108.32まで下げ幅を広げ、結局108.44前後でのクローズとなりました。
一方、ユーロドル相場は終始方向感に欠ける値動き。アジア時間朝方に高値となる1.1331を記録するも、米墨貿易摩擦の緩和を受けて、世界的に株高、債券安(金利上昇)の動き広がると、米長期金利上昇→ドル買いの流れが強まり、欧州時間朝方には、一時1.1290まで下げ幅を広げました。もっとも、1.13割れでは「押し目買い意欲」も根強く、下げ渋ると、NY時間午後にかけて小反発。結局、1.1314前後でのクローズとなっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、@ダブルトップからの下放れ(下チャートの青線)、A強い売りシグナルを表す一目均衡表・三役逆転、B32営業日連続でのボリンジャーバンドのミッドバンド割れなど、テクニカル的に見て、「下落リスク」が意識されます。米国とメキシコの貿易摩擦を巡る「警戒感」が幾分和らいだことで、ボリンジャーバンド下限に沿って下落を続けるバンドウォークは終了となりましたが、米中貿易摩擦や中東を巡る地政学的リスク、世界経済の減速懸念、英国情勢の不安定化、イタリア財政問題など、ファンダメンタルズ面での不安要素を考慮すれば、ドル円の上値余地は限られると予想されます。一目均衡表転換線が走る108.88付近では「戻り売り」が強まると見られ、事実昨日も108.72をトップに伸び悩む動きとなりました。
トランプ米大統領は「もしメキシコが合意事項を破った場合、制裁関税は復活する」と発言しており、米墨貿易摩擦を巡る警戒感も依然燻っている状況です。「リスク回避ムード→リスク選好ムード」へのセンチメント転換を見越したドル買い・円売りは時期尚早と考えられます。本日発表される米5月生産者物価指数が伸び悩む結果となった場合、再び、米早期利下げ観測が浮上し、米長期金利低下→ドル売りの流れが強まる可能性もあります。米国の経済指標や、米中及び米墨貿易摩擦を巡るヘッドラインを睨みながらも、ドル円の下落リスクに注意が必要です。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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