ドル円、リスク回避ムード後退で反発するもパウエルFRB議長発言で戻りは鈍い
海外時間の為替概況
4日の海外市場でドル円は反発。欧州時間序盤にかけて一時107.85まで下落するも、1/10安値107.77を前に下げ渋ると、その後は、@中国商務省による「米国との貿易摩擦は対話および交渉を通じて解決されるべき」との発言や、Aオブラドール・メキシコ大統領による「米国との協議はうまくいっている」「6/10までに合意できると確信」等の発言を材料にドル円は反発。世界的な貿易戦争を巡る警戒感が幾分和らいだことで、米長期金利の急上昇(2.08%→2.14%)や、米主要株価指数の急伸(NYダウ平均は500ドル超の上昇)が見られ、ドル円は米長期金利の上昇に伴うドル買いと、米ダウ平均株価の反発を受けた円売りにサポートされる形で、米国時間には一時108.36まで上値を伸ばしました。
もっとも、同水準では戻り売り意欲も根強く、伸び悩むと、米パウエルFRB議長による「貿易動向による影響について米当局は注意深く観察している」との発言や、米クラリダFRB副議長による「もし、成長の減速が確認できれば、米当局は適切な行動を取るだろう」との発言が、貿易戦争の進展次第では「年内利下げもあり得る」と市場は受け止め、ドル円は結局、108.15付近まで押し戻されてのクローズとなりました。
一方、ユーロドル相場は上値の重い展開。欧州勢参入後に一時1.1278まで上値を伸ばすも、ユーロ圏5月消費者物価指数(結果1.2%、予想1.3%)の予想比下振れが重石となると、その後は、米長期金利の上昇に伴うドル買いも重なる中で、米国時間には一時1.1228まで下げ幅を広げました。もっとも、パウエルFRB議長や、クラリダFRB副議長によるややハト派的な発言を受けて米長期金利が伸び悩むと、ユーロドルも下げ渋り、その後は、6/6に控えるECB理事会を前に様子見ムードが強まる中、1.1250付近まで戻してのクローズとなりました。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、@ダブルトップからの下放れ、A強い売りシグナルを表す一目均衡表・三役逆転、B28営業日連続でのボリンジャー・ミッドバンド割れ、C強い下落トレンド入りを示唆するバンドウォークの発生など、テクニカル的に見て「下落リスク」が強く意識されます。オシレータ系インジケータのRSI(28.8%)に引き続き過熱感(売られ過ぎ感)が見られるものの、トレンドが明確に出ている状況下、安易な逆張り(ロングでのエントリー)は危険と考えられます。事実、昨日も反発した局面では、「戻り売り」が強まるなど、上値余地は限られました。
一方、ファンダメンタルズ的には、「米中貿易摩擦の激化→世界的な貿易戦争への波及→世界的な景気減速懸念→グローバルな株安・債券高→リスク回避の円買い」への連想から、ドル円・クロス円には引き続き下落圧力が加わり易い地合いが続くと予想されます。本日21:15に発表される米5月ADP雇用統計や、同23:00に発表される米5月ISM非製造業景気指数が予想を下回る冴えない結果となれば、米景気減速懸念→米年内利下げ観測の高進→米長期金利低下の経路で、ドル円が、1/10安値107.77を試す展開も十分想定されます。同水準を下抜けると、年初のフラッシュクラッシュ時の水準(105円割れ)が視野に入ることから、ドル円は引き続き下落リスクを意識した神経質な値動きが見込まれすです。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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