来週の為替相場見通し 『世界的な貿易戦争勃発でドル円は来週も下落基調継続か』(6/1朝)

5/27週のドル円相場は、リスク回避ムードの高まりを背景に週後半にかけて急落しました。

来週の為替相場見通し 『世界的な貿易戦争勃発でドル円は来週も下落基調継続か』(6/1朝)

5/27−5/31の振り返り

5/27週のドル円相場は、リスク回避ムードの高まりを背景に週後半にかけて急落しました。週初109.31で寄り付いたドル円相場は、@G20(大阪サミット)で米中首脳会談が開催されるとの報道や、A米5月コンファレンスボード消費者信頼感指数(結果134.1、予想130.0)の予想比上振れ、Bロシア疑惑の捜査を担当するモラー特別検察官による「トランプ米大統領の訴追は選択肢になかった」との発言、C低調な米7年債入札を受けた米債利回りの上昇を好感する形で、5/30には一時109.93まで反発しました。しかし、D米1-3月期コアPCE(結果+1.0%、予想+1.3%)が市場予想を下回ると、Eトランプ米大統領による「メキシコが米国への不法移民流入を止めるまで同国からの輸入品に関税を課す」「関税率は当初の5%から最高25%まで引き上げる可能性がある」との発言や、F中国商務省による「国益を損なう外国企業リストを近日中に発表する」「対米レアアースの輸出規制を検討している」等の報道が重石となり、ドル円は週末にかけて急反落に転じました。

「世界的な貿易戦争勃発リスク→世界的な景気減速懸念→グローバルな株安・債券高」への連想から、心理的節目109.00を割り込むと、米国時間引けにかけて108.28まで下げ幅を広げるなど、約4ヶ月半ぶり安値を更新するに至っております。

5/27週のユーロドル相場は、週初1.1197で寄り付いた後、一時1.1218まで上昇するも、@欧州議会選挙におけるEU懐疑派の台頭や、A英国情勢の不安定化、B欧州経済を巡る先行き不透明感、C欧州委員会による35億ユーロの対イタリア課徴金制裁報道などが重石となると、週後半にかけて急落し、5/30には、週間安値となる1.1116まで下げ幅を広げました。もっとも、年初来安値1.1106を前に下げ渋ると、その後は、米長期金利の低下を受けたドル売りが支援材料となり、週末にかけてユーロドルは急反発。結局1.1180近辺まで戻しての越週となっております。

6/3−6/7の展望

ドル円は、@ダブルトップからの下放れ(添付チャートの青線)、A強い売りシグナルを表す一目均衡表・三役逆転、B26営業日連続でのボリンジャー・ミッドバンド割れなど、「下落リスク」が強く意識されます。通貨オプション市場でも、ボラティリティの急騰+リスクリバーサルの急拡大(円コールオーバー)が見られるなど、「リスク回避的な円買い」を織り込む動きが足元で一段と加速しております。オシレータ系インジケータのRSIに一部過熱感(売られ過ぎ感)が見られるものの、トレンドが明確に出ている現状下、安易な逆張り(ロングでのエントリー)は危険と考えられます。ファンダメンタルズ面でも同様に、米中貿易摩擦に端を発した世界的な貿易戦争リスクの高まりや、朝鮮半島・中東を巡る地政学的リスク、英国情勢の不安定化、欧州経済・政治を巡る先行き不透明感、イタリアの財政悪化問題など、ドル円の上値を抑制する材料が着々と増えつつあります。これらを踏まえると、ドル円はテクニカル的にもファンダメンタルズ的にも下落リスクに警戒が必要と言えるでしょう。

こうした中、来週は米中貿易摩擦を巡るヘッドラインに加えて、パウエルFRB議長講演(6/4)や、米5月ISM製造業景況指数(6/3)、米5月ISM非製造業景況指数(6/5)、米5月雇用統計(6/7)に注目が集まります。米経済指標が冴えない結果となった場合、「米景気減速懸念→米株下落→米長期金利低下→長短金利の逆転→リスク回避の円買い」の流れを通じて、ドル円が更に押し下げられるリスクも警戒されます。ヘッドライン次第では1/10に付けた安値107.77を試す展開も視野に入ります。米国債利回りの低下に伴うドル売りと、リスク回避の円買いを背景に、「ドル安・円高地合い」は当面続くと予測いたします。

来週のユーロドル相場は、欧米の主要株価指数や独米長期金利の動きを睨みながらも、反落リスクが警戒されます。@米中貿易摩擦の激化が欧米貿易摩擦へ波及するリスクや、Aユーロ圏経済の下振れ懸念、Bイタリアの財政悪化問題、CECBによる金融緩和長期化観測に加えて、足元では、D英国情勢の不安定化や、E欧州議会選挙でのEU懐疑派台頭など、潜在的なユーロ売り材料が増えつつあるからです。来週発表されるユーロ圏5月製造業PMIやユーロ圏5月HICPが市場予想を下回ったり、6/6に開催されるECB理事会後のドラギ総裁会見でハト派的なスタンスが見られれば、「欧州経済の先行き懸念→ECBによる金融緩和長期化観測→欧州金利の更なる低下」の波及経路でユーロドルが一段と押し下げられるシナリオも想定されます。当方では引き続き、「ユーロ安・ドル高」をメインシナリオとし、年初来安値1.1106を割り込む展開を予想いたします。

ドル円の予想レンジ:107.25−109.75
ユーロドルの予想レンジ:1.1025−1.1275

5/27−5/31の振り返り

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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