クラリダFRB副議長NY講演会要旨
30日NYにて、クラリダFRB副議長が講演を行いました。現行の経済見通し中心に要旨を記載します。尚、先行きの経済状況によっては利下げも示唆しています。
(講演要旨)
この7月に米経済の拡大は史上最長になることとなる。少なくとも1850年代以降では最長である。この時は米経済調査統計局がビジネスサイクルの調査を開始した時である。
FRBは議会により義務付けられて特別な任務がある。それは雇用の最大化と物価安定である。同僚と私は、それらを達成するに適切な金融政策を採るのみではなく、一度達成したら、それをできるだけ長く維持するために、適切に、迅速に対応していく。
2019年第2四半期の中間まで来て、経済は良い位置にいる。これは2009年夏以降に始まった回復以降のGDP平均2.3%と比較すると、過去4・四半期(1年)ではGDPが平均3.2%になった。財政政策は2018年の成長上げに重要な役割を担った。そして財政政策は2019年の成長を支えている。同じこの4・四半期を振り返って、失業率は平均3.8%、最近では3.6%まで下がった。これは過去50年で最低である。平均的な雇用拡大は継続し、賃金も生産性に準じて幅広く上昇している。そして、現在はコストプッシュインフレの兆しがない。強い成長と低い失業率にも関わらず、米国のインフレは沈静している。我々の目標であるPCE2%以下にある。
先々を見ると、我々の3月経済見通し内で、FOMCの中期見通しはGDP成長が約2%、おそらく3年間はそうなるだろう。そしてPCEインフレは2%まで上昇し、失業率は3.9%になるだろう。
もし中立金融政策が下がるとしたら、幾つかの要因を反映している。それは高齢化を含めて、高貯蓄率、安全資産への過度な需要増、世界的に生産性の伸びが鈍化することである。こうなると中立金利を下げるとの含みが重要になる。より低い中立金利になるということは、中銀の金融政策は将来の経済が下がることに準じて下方に向かうことになろう。言い換えれば、その様になる(経済が下がっている)間、雇用やインフレを急速に回復するための十分な緩和政策を用意することが難しくもなる。
もう1つの重要な米経済の潜在的変化は、一貫して「最大の雇用」を維持するために、失業率の構造的な推計値を下げる必要がある。失業率の低下はより高度な教育や、過去10年以上に亘る労働力に関連して、増加していく高齢労働力の問題がある。今日の歴史的に低い失業率であるが、歴史的に推計される失業率よりも低い数値の失業率になるならば、恐らく労働市場はタイトではなく、インフレ圧力も強くないだろう。そうなると失業率は4%かそれ以下になるかもしれない。最近の失業率改善は労働参加率上昇を伴ってきている。労働分配が参加率上昇になっている。本来なら雇用が強まればより高い賃金を要求する筈である。
ここ数年間、米国の生産性の伸びが上昇している。実際今年の第1四半期は生産性の伸びが前四半期比2.4%となった。これは201年以降最も早い数値である。過去2001年〜2007年、1982年〜90年の経済拡大期には生産性の伸びは相対的に緩やかだった。
(以下中略)
さて今日の米国はどの辺りにいるのか?私は米国が非常に良い位置にいると思っている。失業率は50年来の低い数値、インフレ圧力はない、期待インフレは安定、GDPの伸びは底固い、更にFFレートは今、長期でみて中立の水準にいる。現行の2.25〜2.50%レンジの維持を1月会合以来確認した。5月のFOMCでもこれが適切だと確認した。しかしながら、もしこれから入ってくるデータが我々目標のインフレ2%以下になるようであれば、あるいは世界経済や金融市場が物理的に下方修正される様な事態になれば委員会は適切な金融政策スタンスを取る様にするだろう。
(バランスシート調整に関する内容は略)
(上記出所:FRB HP)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
尚、クラリダ副議長は中道派、ないしハト派と見られています。
(2019年5月31日 11:00、1ユーロ=1.1137ドル、1ドル=109円35銭)
オーダー/ポジション状況
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