ドル円、リスク回避ムード継続もショートカバー主導でひとまず反発
海外時間の為替概況
29日の海外市場でドル円は下落後に急反発。米国時間序盤にかけては、「米中貿易摩擦の激化→世界的な景気下振れ懸念→グローバルな株安・金利低下→リスク回避の円買い」への連想から、ドル円は一時109.19まで下げ幅を広げましたが、日本時間に付けた日通し安値109.15を前に下げ渋ると、その後は、@ロシア疑惑の捜査を担当するロバート・モラー特別検察官による「トランプ米大統領の訴追は選択肢になかった」との声明や、A低調な米7年債入札を受けて米10年債利回りが2.213%→2.264%まで上昇したこと、B一時400ドル超下落していた米ダウ平均株価が前日比マイナス220ドル程度まで下げ幅を縮小したことなどが材料となり、ドル円は米国時間午後にかけて109.69まで反発する展開となりました。もっとも、同水準では戻り売り意欲も根強く、引けにかけては再び反落。結局109.55付近まで押し戻されてのクローズとなっております。
ユーロドル相場は終始上値の重い展開。@欧州議会選挙におけるEU懐疑派躍進と二大会派の過半数割れ、Aイタリアの財政悪化問題、B英国情勢を巡る不確実性、B欧州経済の先行き不透明感などが重石となった格好。ユーロドルは終始一貫して低下基調を辿り、米国時間には一時1.1124まで下げ幅を広げました。もっとも、同水準(直近安値1.1106付近)では押し目買い意欲も根強く、下げ渋ると小反発。結局1.1135 近辺でのクローズとなっております。
尚、昨日はカナダ中銀(BOC)が予想通り政策金利を1.75%で据え置きましたが、声明にて「緩和的な金融政策が引き続き正当化される」とややハト派寄りのスタンスを滲ませたことがややサプライズとなりました。タカ派的な内容を期待していた向きによる失望売りを誘う中で、カナダドル(対ドル)は1/3以来となるドル高・カナダドル安水準まで下落しました。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、ダブルトップからの下放れや、一目均衡表三役逆転など、テクニカル的にみて下落リスクが警戒されます。通貨オプション市場ではボラティリティの上昇+リスクリバーサル(円コールオーバー)の拡大が継続するなど、「リスク回避の円買い」を織り込む動きが広がりを見せております。ショートポジションが溜まっている分、昨日のように都度ショートカバー的な買い戻しは発生しますが、反発局面では、戻り売りが強まると見られ、すぐに押し戻される上値の重い展開が続きそうです。米中貿易摩擦の泥沼化や、朝鮮半島・中東を巡る地政学的リスク、英国情勢の不安定化、欧州経済・政治を巡る先行き不透明感、イタリアの財政悪化問題など、ファンダメンタルズ面での不安要素を背景に、ドル円・クロス円の上値は当面抑制されると考えられます。本日の日本時間21:30に発表される米第1四半期GDP改定値や新規失業保険申請件数など一連の米経済指標が冴えない結果となれば、「米株下落・米長期金利低下」を通じて、ドル円が5/13に付けた直近安値109.02を試す動きも想定されます。本日アジア時間はドル円・クロス円の戻り売りが強まりそうです。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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