ドル円見通し 5月22日以降の安値を更新、さらに安値試しへ(5/29)

イタリア財政問題やブレクジット問題への懸念を背景にユーロやポンドが下落したのはドルストレートでのドル高要因だったが、

ドル円見通し 5月22日以降の安値を更新、さらに安値試しへ(5/29)

ドル円見通し 5月22日以降の安値を更新、さらに安値試しへ

【概況】

5月28日の日中は日経平均が上昇、上海総合株価指数も上昇したためにドル円も109.62円まで戻り高値をわずかに切り上げていたが109.50円を挟んだ膠着状態からは抜け出せず、夕刻にダウ先物が下落したところで109.20円まで反落となり、先週末安値をわずかに割り込んだ。夜間でいったん戻したものの109.60円に止まって深夜からはダウの下落を嫌気して再び反落、109.30円を挟んだところとなっている。
イタリア財政問題やブレクジット問題への懸念を背景にユーロやポンドが下落したのはドルストレートでのドル高要因だったが、クロス円での円高要因でもあり、ドル円にとってはダウの下落も加わったために円高がやや勝る状況だった。

5月23日夜から反発したユーロドルは27日午後から下落に転じ、28日も続落している。欧州委員会がEUの財政規律違反でイタリアに30億ユーロの制裁金を科す恐れがあるとし、イタリアのサルビーニ副首相がEUと戦うと発言した事もユーロ売り要因となったようだ。
米コンファレンス・ボードが発表した5月の消費者景気信頼感指数は134.1となり前月の129.2から上昇して市場予想の130.0も上回った。これはドル高材料だったが市場反応は限定的だった。

【株安と米長期債利回り低下による円高圧力】

NYダウは前日比237.92ドル安と下落した。トランプ大統領が27日に「中国とディールする用意はない」「将来的には期待している」と述べた事や、中国がレアアースの輸出規制へ動くのではないかとの観測も加わり、米中問題当面は楽観できないとして株安・債券高・長期債利回り低下となった。米国や日本、アジアではファーウェイとの取引停止の動きも拡大しており米中対立は益々悪化していると米国株式市場が受け止めているという印象だ。ダウは安値で25342.28ドルまで下げたが、5月13日安値25222.51ドル割れに対する余裕が乏しい。安値更新の場合は4月23日からの下落が二段下げに発展するため、昨年10月天井からの下落時や昨年1月26日からの急落時に近い動きになりかねないと注意される。

株安債券高で米10年債利回りは0.05%低下の2.27%、2年債利回りは0.04%低下の2.13%となり、いずれも3か月物TB(米財務省証券)利回りの2.3498%を下回っている。30年債利回りも0.04%低下の2.71%で、米長期債利回り低下がドル円にとっては金利差縮小によるドル売り円買い圧力となっている。

米財務省は5月28日に主要貿易相手国・地域の通貨政策を分析した為替報告書を発表し、日本や中国を引き続き「監視対象」に指定した。監視対象は日中の他、韓国、ドイツ、マレーシア、シンガポール、ベトナム、アイルランド、イタリアの計9カ国が指定された。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、5月22日未明高値をサイクルトップとした下落が続いてきたが、25日未明安値で直近のサイクルボトムをつけていったん戻した。28日朝時点では今回のトップ形成期を27日から29日未明にかけての間と想定して既にトップアウト警戒期にあるとしたが、28日夕刻の下落で週末安値を割り込んだため、底割れによる弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は29日深夜から6月3日朝にかけての間と想定されるので29日の日中から夜にかけてはまだ一段安警戒とみる。強気転換は28日高値109.62円超えからとするが、28日高値を上抜いて強気サイクル入りとなる場合は週末安値と28日夕安値をダブル底とした上昇期入りとして31日から6月4日への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では28日夜の反発時に先行スパンを上抜けず、遅行スパンも悪化のままとなっているので、遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。28日高値109.62円超えからは両スパン揃って好転となるため遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は28日夜の反発時に50ポイントを超えたがその後に失速している。27日からは60ポイント超えへ進めずにいるので40ポイント割れからは下落再開とみて30ポイント割れを目指すとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5月28日夕安値109.20円を下値支持線、28日午前高値109.62円を上値抵抗線とする。
(2)109.50円を下回る内は一段安警戒とし、28日夕安値割れからは109.00円試し、さらに続落するところからは109.70円台への下落を想定する。109円前後ではいったん買い戻しも入る可能性があるが、109円割れの状況が続く内は29日深夜、30日へ続落しやすいとみる。
(3)109.50円超えの場合は109.62円試しとするが、109.62円を超えずに109.40円割れするところからは下げ再開とみる。109.62円超えからは強気サイクル入りと仮定して109.70円台への上昇を想定する。また109.62円を超えた後も109.50円以上での推移を続ける場合は30日の日中も高値を試しやすいとみる。(了)<9:25>

【当面の主な予定】

5/29(水)
10:00 (NZ) 5月 NBNZ企業信頼感 (4月 -37.5)
16:55 (独) 5月 失業者数 前月比 (4月 -1.2万人、予想 -0.8万人)
16:55 (独) 5月 失業率 (4月 4.9%、予想 4.9%)
23:00 (加) カナダ銀行(BOC)政策金利 (現行 1.75%、予想 1.75%)
23:00 (米) 5月 リッチモンド連銀製造業指数 (4月 3、予想 7)

5/30(木)
休 場 (ス) 聖霊降臨祭
07:45 (NZ) 4月 住宅建設許可件数 前月比 (3月 -6.9%)
10:30 (豪) 1-3月期 民間設備投資 前期比 (前期 2.0%、予想 0.5%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP改定値 前期比年率 (速報 3.2%、予想 3.1%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP個人消費 改定値 前期比 (速報 1.2%、予想 1.2%)
21:30 (米) 1-3月期 コアPCE 改定値 前期比 (速報 1.3%、予想 1.3%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.1万件、予想 21.4万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 167.6万人)
23:00 (米) 4月 住宅販売保留指数 前月比 (3月 3.8%、予想 0.5%)
23:00 (米) 4月 住宅販売保留指数 前年同月比 (3月 -3.2%、予想 -0.2%)
25:00 (米) クラリダFRB副議長、エコノミッククラブで講演

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