ドル円見通し 株安一服で109円割れを回避しているが戻りは鈍く横ばい(5/16)

NYダウは前日比115.97ドル高と上昇、14日の207.06ドル高から続伸した。

ドル円見通し 株安一服で109円割れを回避しているが戻りは鈍く横ばい(5/16)

ドル円見通し 株安一服で109円割れを回避しているが戻りは鈍く横ばい

【概況】

米中通商協議が合意に至らずに双方が大規模な制裁関税を拡大する中で株安円高が進み、ドル円は5月6日に111円を割り込み、9日には109.47円まで下げて3月25日安値109.72円を割り込んだ。さらに米中双方が制裁関税対象及び税率を引き上げた13日には109.02円まで一段安したが、トランプ大統領が米中協議への楽観見通しを述べたことで109円割れをひとまず回避して14日午後には109.77円まで戻した。
15日の日中は中国の経済指標が弱かったものの上海総合株価指数は上昇したたためにドル円はほぼ横ばいにとどまったが、アジア株式市場は総じて軟調で終わり、欧州株やダウ先物が下落したことで夕刻から下落再開となり、米小売及び鉱工業生産が予想を下回ったことで109.15円の安値を付けた。13日深夜安値割れへ余裕が乏しくなったものの米政府が輸入自動車への追加関税発動に関する大統領判断を最大6カ月延期する方向で議論を進めていると報じられたことでダウが反騰入りしたためにドル円も109.69円まで戻したが、14日高値超えには至らずに終わった。

【株安一服だが、欧米長期債利回り低下傾向】

NYダウは前日比115.97ドル高と上昇、14日の207.06ドル高から続伸した。13日には617.38ドル安と大幅下落した下げ幅を解消するところまでは戻せていないが、ひとまず下げ一服となっている。5月7日から6日間続落してきた日経平均も15日は121.33円高と7日ぶりにプラスで引けた。貿易戦争の真っただ中にある上海総合株価指数も15日は経済指標悪化にもかかわらず1.9%高と上昇し、5月10日以降は下げ渋っている。株安一服はドル円にとっては下支えではあるが、一方では欧米長期債利回り低下傾向が続いており長期金利面からの円高圧力も継続している。
ドイツ10年債利回りは一時マイナス0.13%を付けて2016年10月以来の低水準となったが、英国、豪州等の10年債利回り低下傾向が目立つ。米2年債利回りも一時は昨年2月以来の低水準となる2.139%に低下した。10年債利回りも一時2.36%まで低下し、終盤も0.04%低下の2.37%にとどまった。貿易戦争拡大による景気後退感と金融緩和姿勢の広がりが債券高・長期債利回り低下傾向を発生させている。

4月の米小売売上高が前月比0.2%減となり市場予想の0.2%上昇に反する落ち込みとなり、4月の米鉱工業生産も製造業部門が0.5%低下して市場予想の0.1%上昇を下回った。また日中に発表された中国経済指標でも4月の小売が前年同月比7.2%と予想の8.6%及び3月の8.7%を下回り、4月の鉱工業生産も同5.4%にとどまって予想の6.5%及び3月の8.5%を下回った。これらは米中貿易戦争が実体経済へ影響を及ぼし始めていることを懸念させる。

米国は中国製品すべてに制裁関税対象を拡大し、中国も対抗措置を表明したことで関税面では米中双方がひとまず打つ手を出し切ったところにあるが、それだけではまだ貿易戦争は終わらない。
トランプ米大統領は自動車関税拡大判断を先送りする姿勢を示す一方で、15日には外国企業による通信技術が国家安全保障上の深刻な脅威をもたらす恐れがあるとしてリスクのある企業の製品の使用を禁じる大統領令に署名した。中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)などを閉め出す内容であり、やや楽観した市場を再び圧迫している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月9日深夜安値を直近のサイクルボトムとしていたが、13日夜への一段安により新たな弱気サイクルに入ったとして14日夜から16日深夜にかけての間への下落を想定した。しかしその後は安値更新を回避して丸2日を経過したため、直近のサイクルボトムを13日深夜安値へ改める。15日夜には13日深夜安値へ迫っているので既に底割れから新たな弱気サイクル入りする可能性が懸念されるが、底割れ回避のうちは16日の日中から17日にかけての間への上昇余地ありとし、14日高値109.77円超えからは110円台序盤試しを想定する。
13日深夜安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる16日深夜から20日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では15日の日中は遅行スパンが好転していたが15日夜の下落場面で再び悪化した。13日深夜以降がほぼ横ばい状態のため先行スパンと実線は交錯を繰り返している。13日深夜安値と14日の戻り高値を上下いずれへ抜けるのかを判断目安とし、14日高値109.77円超えからは遅行スパン好転中の高値試し優先とし、13日深夜安値109.02円割れからは一段安入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は15日夜の下落場面で30ポイントまで下げ、その後はいったん50ポイント台を回復するところまで戻したが、50ポイント台を維持できずにいる。13日以降の指数は中立で方向感に乏しいが、50ポイント台を回復しても維持できないうちは下向きとし、40ポイント割れからは30ポイント割れを目指す下落期入りの可能性を警戒する。ただし60ポイントを超える場合は上昇感が強まると思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13日深夜安値109.02円を支持線、14日高値109.77円を抵抗線とみておく。
(2)109.50円を中立点とし、上回る場合は109.77円試し、下回る場合は109.02円試しとする。
(3)109.77円超えからは10日午前高値110.04円試しとし、さらに超える場合は110.25円から110.50円手前のゾーンを試すと考えるが、そこは戻り売りにつかまりやすいとみる。
(4)109.02円割れからは一段安入りとなるため1月31日安値108.50円試しへ向かうとみる。またその際は先行きで108円割れを目指す可能性が高まるとみる。(了)<9:45>

【当面の主な予定】

5/16(木)
10:30 (豪) 4月 新規雇用者数 (3月 2.57万人、予想 1.40万人)
10:30 (豪) 4月 失業率 (3月 5.0%、予想 5.1%)
18:00 (欧) 3月 貿易収支・季調済 (2月 195億ユーロ、予想 194億ユーロ)
18:00 (欧) 3月 貿易収支・季調前 (2月 179億ユーロ)
21:30 (米) 4月 住宅着工件数・年率換算件数 (3月 113.9万件、予想 120.5万件)
21:30 (米) 4月 建設許可件数・年率換算件数 (3月 126.9万件、予想 129.0万件)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.8万件、予想 22.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 168.4万人、予想 168.0万人)
21:30 (米) 5月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (4月 8.5、予想 9.0)
25:05 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演
27:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 8.25%、予想 8.25%)

5/17(金)
07:45 (NZ) 1-3月期生産者物価指数 前期比 (前期 0.8%)
13:30 (日) 3月 第三次産業活動指数 前月比 (2月 -0.6%、予想 0.1%)
18:00 (欧) 3月 建設支出 前月比 (2月 3.0%)
18:00 (欧) 3月 建設支出 前年同月比 (2月 5.2%)
18:00 (欧) 4月 消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (速報 1.2%、予想 1.2%)
18:00 (欧) 4月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 1.7%、予想 1.7%)
23:00 (米) 4月 景気先行指指数 前月比 (3月 0.4%、予想 0.2%)
23:00 (米) 5月 ミシガン大学消費者信頼感指数 (4月 97.2、予想 97.5)
24:15 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、会合参加

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