ドル円、米中貿易摩擦の激化懸念を背景に一段安
海外時間の為替概況
9日の海外市場でドル円は続落。トランプ米大統領による「中国はディールを破った」との発言が、米中貿易摩擦の激化懸念→世界的な景気減速懸念への波及を通じて、リスク回避的な動きを強めました。欧米をはじめグローバルに株安が進行する中、ドル円は下値目処と見られていた3/25安値(109.72)を割り込み下落。米4月生産者物価指数(結果0.2%、予想0.3%)の予想比下振れを受けたドル売りも加わる中で、NY時間には、2/4以来、約3ヶ月ぶり安値となる109.47まで下げ幅を広げました。もっとも、同水準では下値も堅く、下げ渋ると、トランプ米大統領による「習近平・中国国家主席から書簡を受け取った」「米中合意について素晴らしい代替案がある」などの発言が支援材料となる中、ドル円は、米主要株価指数の下げ幅縮小も重なり急反発。一時109.90台まで上昇した後、結局109.75近辺でのクローズとなりました。
一方、ユーロドル相場は下落後に急反発。欧州時間序盤に一時1.1174まで下げ幅を広げたユーロドル相場は、対主要通貨で強まる「ドル売り」を背景に切り返すと、米4月生産者物価指数の伸び鈍化を材料に急伸し、NY時間には、約1週間ぶり高値となる1.1252まで上値を伸ばしました。もっとも、先述のトランプ米大統領発言を受けてドルの買い戻しが強まると一転、ユーロドルは引けにかけて再び反落。結局、1.1210近辺でのクローズとなっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、下値目処と見られていた3/25安値109.72を下抜けると、一時109.47まで下げ幅を広げました。トランプ米大統領発言を受けて、引けにかけて持ち直す場面も見られましたが依然として上値は重い状況です。テクニカル的に見れば、強い売りシグナルを表す三役逆転(日足)の継続、ボリンジャーバンド下限でのバンドウォークの可能性が意識される中、ドル円の続落リスクに引き続き警戒が必要と言えるでしょう。通貨オプション市場では、リスクリバーサルが本年1月以来の水準まで急拡大するなど(円コールオーバーの拡大)、円高リスクを織り込む動きが一段と広がりを見せております。昨日記録した安値109.47を割り込めば、109円丁度や、1/31安値108.49を試す動きも視野に入ります。ドル安・円高の継続を予想いたします。
尚、トランプ米大統領とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は昨日、米中が合意に至らなかった場合、5/10の米東部時間午前0時1分(日本時間5/10午後1時1分)に対中関税を10%から25%に引き上げると表明し、中国はその1分後に報復関税を発動すると警告しました。本日・東京市場は、米中通商協議を巡るヘッドラインや思惑を背景に乱高下する恐れもありますので、突発的なボラティリティ拡大に注意が必要です。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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