ドル円下げ止まり 米中貿易交渉を前に手控え広がる
8日の海外市場でドル円は110円台前半での小動きに終始。
9日から開催される予定の米中貿易交渉に関わる高官級会談を前に様子見気分が広がりました。
前日は米中貿易交渉決裂懸念から米株式が大きく下げ、ドル円でも円高が進行しましたが、昨晩はトランプ大統領が「中国が劉副首相はディールを成立させるためにやって来ると伝えてきた」とツイート、サンダース報道官も「中国から合意を成立させたいとの示唆があった」と話すなど、合意成立を期待させる情報が流れたことからNYダウは一時26,000ドルを回復しました。
一方でアメリカ通商代表部は2,000億ドル相当の輸入中国製品に対し関税を10%から25%に引き上げる正式な手続きを開始。9日付で公表予定とされている米官報によれば、10日東部時間午前0時1分より関税引き上げを実施するとのことです。
また、中国商務省はホームページに米国の関税引き上げについてスポークスマンの談話として「貿易摩擦は両国と世界の人々の利益とはならない。中国は米国の関税措置が実施されるならば中国が必要な対策を講じなければならないことを深く遺憾に思う。」と掲載、関税引き上げが実施された場合には報復措置をとることを明らかにしています。
結局、昨晩は貿易交渉に関して好悪双方の材料が出た形となり、NYダウは序盤の上げを失い2ドルと小幅高、ナスダックとS&P500は小幅安、ドル円も方向感出ずとなりました。
本日東京市場は110.10レベルで寄りつきましたが、9時半頃にトランプ大統領がフロリダでの集会で「劉副首相はやってくるが彼らはディールを破った」と発言したことが伝わり、一時109.83まで下押しした後、東京時間10:30現在は110.00近辺での取引です。
予想通りとはいえ、米中貿易交渉を前に為替市場はトランプ大統領周辺を中心とした各種ヘッドラインに完全に振り回される形となっています。
ただ、現状では少なくとも一旦は関税引き上げが発動する可能性が高まっていると考えざるをえず、ドル円では一段の円高への警戒が必要です。
テクニカルにはドル円は一目均衡表の雲を明確に下抜け、200日移動平均線が21日移動平均線をデッドクロスしかけているなど、リスクは下方向。ただ、「きれいな」逆ヘッドアンドショルダーは不発、ゴールデンウィーク明けの窓は埋まらずじまいと、最近ドル円のテクニカルがあまり機能していないことも事実で、結局のところ米中協議の行方を見守るしかなさそうです。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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