<< 東京市場の動き >>
10日の東京市場は、横ばい。111円台前半、20ポイント程度のレンジで、動きらしい動きは観測されなかった。
ドル/円は111.10-15円で寄り付いたものの、新規材料が乏しいことに加え、欧米時間に注目材料を控えていることで、売買は手控えムード。111.05-25円といった極めて狭いレンジ取引に終始している。16時時点では111.10-15円で推移し、欧米時間を迎えていた。
なお、仮想通貨はこれまでと比べれば落ち着いてきたものの、それでも動意の乏しい為替と比べるとまだ荒っぽい変動。ビットコインは早朝の5100ドル半ば近くから、一時100ドル近い上昇を記録している。
一方、材料的に注視されていたものは、「英国情勢」について。
注目されている10日「EU臨時首脳会議」や12日「英国離脱延長期限」を前に、ブルームバーグ「EU、年末までの離脱延期を英国に提案する公算大きい」、ロイター「EU、条件付きで英離脱期限を再延期へ」、EU大統領「英離脱期限の最長1年延期を提案」などといったある種の妥協案についての報道や発言が相次いでいた。
そのほか単発モノとして、朝鮮日報「韓国、北朝鮮に首脳会談を打診」、「米国土安全保障省、長官に続き副長官も辞任の申し出」、米農務長官「日米協定、TPP超える自由化を望む」、麻生財務相「今回は消費増税を予定通り実施するつもり」、麻生財務相「放漫財政になると通貨信認維持が難しくなる」−−などの発言や報道が観測されている。
<< 欧米市場の見通し >>
111円半ばに位置する移動平均の200日線を下回ったことに続き、その後は111円割れをワンタッチする局面も観測されるなど、ドルはやや冴えない。大きな意味では引き続きレンジ内だが、これまでから一転してジワリと下方向へのリスクもうかがえるようになってきた。昨日下げ止まった111円前後は、テクニカルに見た場合、3月25日安値109.70円を起点とした上げ幅のフィボナッチ38.2%戻しに当たるため、割り込めば半値戻しの110.75円レベル、61.8%戻し110円半ばなどがターゲットに。
材料的に見た場合、「米貿易ファクター」が依然として波乱要因としてくすぶる。その主たるものは「米中」だが、「日米」のほか、ここにきて「米欧」の鍔迫り合いの激しさが顕著になっており市場で懸念されている。「英国情勢」などとは別の意味で、欧州ファクター全般には注意が必要だろう。なお、本日は「EU臨時首脳会議」が実施される見込みで、これを波乱要因として警戒する向きは少なくないようだ。
テクニカルに見た場合、過去1週間ほど形成していた111.20円を下限としていたボックス相場を下抜けた感がある。ただ、それでもより大きなレンジ内にはとどまっており、明確な方向性はいまだ乏しい状況だ。
とは言え、時間足など短期のチャートをみると、111円から111.20円あたりが攻防の分岐点となっているようで、しっかり下回ればレベル感が変わることになるかもしれない。逆にドルの強気派としては、下値を維持するだけでなく、引き続き111円半ばに位置する移動平均の200日線を早い段階で再び上抜けたいところだろう。
一方、材料的に見た場合、3月の消費者物価指数など幾つかの米経済指標が発表されるほか、米財務省による10年債入札、3月19-20日開催分のFOMC議事要旨公開などが実施される見込みだ。
そうした米国ファクターにも要注意だが、本日はむしろ欧州ファクターが警戒されている。ECBによる政策金利発表ならびに総裁会見のほか、「EU臨時首脳会議」が実施され、とくに後者を波乱要因と認識する向きは少なくない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、110.60-111.60円。ドル高・円安方向は、しっかりと下回ってきた200日線(111円半ば)が最初の抵抗。超えた場合には先週高値の111.82円や112円などが再び視界内に。
対するドル安・円高方向は、昨日ワンタッチにとどまった111円前後の攻防にまずは注視。割り込むようだと、フィボナッチのサポートも近い4月の月間安値である110.80円レベル、110円半ばなどがターゲットとなりそうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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