ドル円見通し 3月25日からの揺れ返し続く、111.50円の壁を超え始めたか(4/5)

米中通商協議の合意への期待感や5日夜の米雇用統計への期待感が先行してドル円も111.50円を再び突破し、5日未明には111.67円まで戻した。

ドル円見通し 3月25日からの揺れ返し続く、111.50円の壁を超え始めたか(4/5)

【概況】

3月15日の戻り高値111.90円を起点として3月25日安値109.72円まで6日間で2.18円幅の円高ドル安だったが、そこから揺れ返しの上昇に入り、4月3日高値111.57円まで7日間で1.85円幅の上昇となった。4日の日中は再び111.50円割れの状況でのややジリ安推移となり、111.50円前後での上値の重さが意識される状況だったが、4日夜は米週間失業保険申請件数が予想を下回ったことやブレクジットへの混乱懸念でのポンド安、ECBの利上げ棚上げ期間が長引く可能性を意識したユーロ安等によりドル高が進行し、米中通商協議での合意への期待感や5日夜の米雇用統計への期待感が先行してドル円も111.50円を再び突破し、5日未明には111.67円まで戻した。
米労働省が発表した週間の新規失業保険申請は季節調整済みで20万2000件となり前週比1万件減少、市場予想の21万6000件を下回った。また1969年12月6日の20万2000件以来凡そ半世紀ぶりの少なさとなった。これは5日の米雇用統計が予想を上回る良好さになるのではないかとの期待感を抱かせてドル高要因となり、ドル円の111.50円突破に寄与した。

111.50円前後の抵抗を超え始めた印象だが、3月21日未明のFOMCから急落する直前の20日高値111.69円に迫り、さらに3月15日の戻り高値111.90円も意識される水準となってきた。
米中協議についてはまだ継続として首脳会談の日程も示されなかったので、市場としてはひとまずこの問題を棚上げして5日夜の米雇用統計を手掛かりにドル高へ進むかどうかを判断してゆくことになるのだろう。雇用統計では非農業部門就業者数が前月比18万人増と予想されており、前月のわずか2万人からは大きく改善する見込みだが、平均時給の前月比については0.3%増と見込まれて前月の0.4%からはやや低下予想となっている。
米雇用統計をきっかけにドル高がさらに進むようだと3月5日高値112.12円を試し、あるいは超える可能性も出てきたところだが、逆に雇用統計からドル安に転じるようなら3月5日高値とのダブルトップ形成に終わって下げ再開となる可能性も抱えている状況だ。

【米中協議継続中】

米中閣僚級協議がワシントンで再開した。米トランプ大統領と中国の劉副首相の会談に先駆けてWSJ紙が米中首脳会談の日程が公表される見込みと報道したが、ホワイトハウスはこの報道を否定した。期待感がいったんは後退しかけたが、その後にトランプ大統領が「中国との貿易協議と新北米自由貿易協定(NAFTA)の議会承認は順調に進展している」、「米国の楽観的な見方は非常に強い」とツイートし、劉副首相との会談後に「今後4週間程度で合意に達する可能性がある」との見方を示したために米中合意への期待感が再び強まった。しかしライトハイザー通商代表部(USTR)代表は「依然として重要な問題が残されている」と述べており、全面的な合意にはまだ至っていないことを示唆した。米中首脳会談の日程についても示されていない。
株式市場は米中協議の一連の流れを楽観的に反応してSP500が6連騰、ダウも年末からの反騰による高値を更新しており、株高によるリスクオン心理はドル円には押し上げ効果となっている。

【ユーロ軟調、ポンド失速】

欧州中銀(ECB)は3月7日の定例理事会で年内の利上げ断念を決めた議事要旨を公開した。内容にサプライズはなかったが、当日も示された利上げ棚上げ期間を2020年3月末まで延長して「明確な緩和シグナルが重要」との議論があったとされ、ECBの緩和姿勢がさらに継続する可能性が再認識されてユーロ安要因となった。
3月21日高値1.1335ドルから4月2日安値1.1182ドルまで下落して年初来安値である3月7日安値1.1176ドルに迫った。底割れはひとまず回避されているが反発も鈍く、底割れに対する余裕が乏しい。3月7日への下落では昨年11月安値を割り込んでおり、2018年2月天井からの下落がさらに一段安へと進み始めたのだが、3月21日への反発でブレーキがかかった。次に年初来安値更新となればそのブレーキも外れてユーロ安ドル高、ユーロ安円高が進み、ブレクジット問題や景気減速問題が重なるとドル円においても円高要因となりかねない。

英政府・与党保守党と最大野党の労働党は前日からの党首会談を継続したが離脱問題解決の糸口が見えないままとなっている。英国側は合意無き離脱をしない旨を議決してEU側に離脱時期の再延期を要請することになっているが、EU側がこれを受け入れるかどうかは不透明であり、期日が迫る中でハードランディングへの懸念も再燃し始めてポンドは下落した。
ポンドドルは1月3日安値から3月13日高値へ反騰してきたが、その後は戻り高値を切り下げつつ軟調推移に入っている。3月29日安値1.2976ドルを割り込むようだと下落に勢い付く可能性がある。ポンド円も同様に展開しており、3月29日安値143.82円を割り込む場合は下落に勢いがついて円高感が拡大する可能性がある。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは3月28日午後安値109.99円を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして4月1日から4月3日にかけての間への上昇を想定してきたが、2日午前に111.45円まで上昇してから3日午前に111.19円までいったん下げたために2日午前高値を直近のサイクルトップとした。その後の反騰で3日午後に高値を更新したために28日午後安値から4日目となる3日午前安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクルに入ったと思われる。次のトップ形成期は4月5日の日中から9日にかけての間とし、すでに前回サイクルトップから3日を経過したのでトップアウト注意期に入っているが、3日午前安値を割り込まないうちは上昇余地ありとみる。3日午前安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして8日の日中から10日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3月28日夜の上昇で先行スパンを上抜いてからは先行スパン突破状況を維持している。4日の日中は先行スパンへやや潜り込んだが夜には再び上抜けている。このため遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、両スパンそろって悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は4月2日未明高値以降の高値更新に対して指数のピークが切り下がる弱気逆行現象が出ていたが、4日夜の上昇で指数ピークの切り下がりラインを突破して逆行破りの上昇となっている。このため50ポイント以上を維持するうちは70ポイント超えを目指す可能性ありとし、50ポイント割れからは下げ再開注意とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、111.40円を支持線、3月20日高値111.69円を抵抗線とする。
(2)111.40円を割り込まない内は上昇余地ありとし、111.69円超えからは3月15日高値111.90円を目指すとみる。ただし米雇用統計も控えているので一挙に112円を目指すには時期尚早として112円手前では売られやすいとみる。雇用統計から強気される場合は3月5日高値112.12円前後試しを想定する。また111.50円以上での推移なら週明けも高値を試す可能性ありとみる。
(3)111.40円割れからは弱気転換注意として4月3日安値111.19円試しとし、安値更新からは弱気サイクル入りと仮定して4月1日夜安値110.82円前後試しへ向かうとみる。雇用統計後に下落の場合は110円台前半を目指す下落を警戒する。また111.19円割れの後は週明けも安値を試しやすい状況とみる。

【当面の予定】

4/5(金)
休 場 (中) 清明節
休 場 (香) 清明節
G7外相会合(仏ディナールなど、4月6日まで)
ユーロ圏財務相会合(ブカレスト)
米中閣僚級貿易協議(ワシントン)
14:00 (日) 2月 景気先行指数(CI)速報 (1月 96.5、予想 97.2)
15:00 (独) 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 -0.8%、予想 0.5%)
15:00 (独) 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 -3.3%、予想 -1.4%)
21:30 (米) 3月 雇用統計 非農業部門就業者数 前月比 (2月 2.0万人、予想 17.8万人)
21:30 (米) 3月 失業率 (2月 3.8%、予想 3.8%)
21:30 (米) 3月 平均時給 前月比 (2月 0.4%、予想 0.2%)
21:30 (米) 3月 平均時給 前年同月比 (2月 3.4%、予想 3.4%)
28:30 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁(FOMC投票権有)講演

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