3月25日からの揺れ返し上昇、111.50円手前で壁に
【概況】
3月15日の戻り高値111.90円を起点として3月25日安値109.72円まで6日間、下げ幅2.18円の円高ドル安だった。そこから揺れ返しの上昇となり4月2日午前高値で111.45円をつけ、この間の上昇幅は1.73円となったが、3月15日高値及び3月20日の戻り高値111.69円に届いていない。2日午前高値の後は横ばいからややジリ安程度で大きな崩れはみられないが、6日間の下落に対して6日間の揺れ返し上昇となったものの直前の下げを解消できずにいるため、上値の重さが意識されるところだ。
4月1日に発表された中国の財新PMIや米ISM製造業景況指数が予想を上回ったことで株高ドル高となり、4月2日も豪中銀が先行きの利下げ可能性を意識させた事で豪ドルが下落、ユーロも2日夜に3月21日以降の安値を更新して全般的なドル高が進んだためにドル円も下支えられたもののユーロ円での円高や豪ドル円での円高もありドル円の上昇も限定的で、200日移動平均線の位置する111.50円手前の壁を突破できずに頭打ち状態での推移となっている。
4月3日から閣僚級の米中通商協議がワシントンで再開される。また週末の米雇用統計も控えているため、先走った円安ドル高へと進み難い市場心理もある。また4月2日はNYダウが4日ぶりに反落、米10年債利回りも0.03%低下して2.47%となったこともドル円の上値を抑えた印象だ。
米商務省が発表した2月の耐久財受注額(季節調整後、半導体を除く)は、前月比1.6%減と4カ月ぶりのマイナスだったが市場予想の1.8%減程ではなかったために市場の反応は限定的だった。
【ドル高基調継続だが、ドル円の上値も重くなる】
先週からの上昇は全般的なドル高と株高によるリスクオンの押し上げ効果が加算されたものだった。
ドル指数は昨年11月以降、高値圏での往来相場ではあるが、3月20日安値から反騰しており、4月2日もこの間の高値を更新して12月14日高値へ迫っている。
ユーロドルは米連銀が年内の利上げ断念を示した3月21日未明のFOMC直後高値から下落基調が続いており、4月2日深夜にこの間の安値を更新している。米FOMCに先立つ3月7日のECB理事会が年内利上げを断念して量的緩和政策復活を掲げたことと、全般的な欧州景気指標悪化がユーロ安の背景だ。
NZドルは3月27日に中銀が次回会合での利下げを示唆したことで急落したが、4月2日への下落でこの間の安値を更新している。
豪ドルも下落した。4月2日に中銀が1.50%の政策金利据え置きを決定し、過去最低の金利水準を連続で維持したが、ロウ総裁が2016年9月に就任してから声明の結びの文言も毎回同じだったところを「理事会は引き続き動向を監視し持続可能な成長の支援と物価目標の達成に向けて金融政策を設定する」と初めて変えたことが次回会合での利下げのサインではないかと市場は受け止めたためで4月2日夜の下落で3月21日以降の安値を更新して3月中盤からの持合いから下放れしつつある。
世界貿易機関(WTO)は2日のレポートで2019年の世界の貿易量が前年比2.6%増となる見通しを示したが、これは昨年9月時点の3.9%からの下方修正となった。2017年は4.6%だったことを踏まえればかなりの減速であり、米中貿易摩擦を中心とした世界貿易の先行き不透明感が実体経済に影響を与えていることを示唆している。
米中協議が双方にプラスとなるような合意形成となり市場全般が楽観を取り戻せばドル円も一段高へと進む可能性があるが、米中合意が中国に不利で世界貿易拡大に寄与しない内容ならかえって失望が拡大しかねない。米経済指標が強ければドル高反応となるだろうが、内容が悪ければ景気減速懸念が意識されてリスク回避的な円高再開のきっかけにもなりやすい。
週末までは経済指標、株式動向を見定めつつというところだが、6日間の下落に対して6日間の揺れ返し上昇を入れたところなので、3月15日から3月25日までのレンジ内中盤ないしは下段へと調整的に下げやすくなるかもしれない。
【60分足一目均衡表、サイクル分析】
概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは3月28日午後安値109.99円を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして4月1日から4月3日にかけての間への上昇を想定してきた。4月2日朝時点では既に前回高値から3日半を経過しているのでトップアウト注意期にあるとしたが、2日午前高値の後はジリ安のため4月2日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。安値形成期は4月2日午後から4日夕刻にかけての間と計測されるので既にボトムをつけての反騰注意期にあるが、新たな高値更新へ進めない内は3日夜、4日の日中にかけて安値を試しやすい時間帯と思われる。4月2日午前高値超えからは新たな強気サイクル入りとして5日午前から9日午前にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では4月2日午前高値からのジリ安により遅行スパンが悪化している。先行スパンの上限に来ているのでそこで支えられない場合は先行スパンへの潜り込みとなりその下限試しないしは先行スパンからの転落へ進みやすいとみる。4月2日午前高値超えからは一段高入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は2日午前高値後のややジリ安推移に対して指数のピークが切り下がって50ポイントを割り込んでいるので安値試しを続けやすい状況とみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、111.00円を支持線、111.45円を抵抗線とする。
(2)111.45円を超えない内は下向きとし、2日深夜安値111.24円割れからは111.00円試し、さらに続落なら1日夜安値110.82円前後試しへ向かうとみる。また111円以下での推移が続く場合は4日の日中も安値試しを続けやすいとみる。
(3)111.45円超えからは新たな強気サイクル入りとして3月20日高値111.69円、次いで3月15日高値111.90円を目指す流れとみるが、111.65円以上は反落警戒圏とみる。(了)<9:40>
【当面の主な予定】
4/4(木)
06:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演
15:00 (独) 2月 製造業新規受注 前月比 (1月 -2.6%、予想 0.3%)
15:00 (独) 2月 製造業新規受注 前年同月比 (1月 -3.9%、予想 -3.1%)
20:30 (欧) 欧州中銀(ECB)理事会議事要旨(3月6-7日会合分)
21:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 21.1万件、予想
22:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演原稿公表
26:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁(FOMC投票権有)講演
4/4(木)
06:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演
15:00 (独) 2月 製造業新規受注 前月比 (1月 -2.6%、予想 0.3%)
15:00 (独) 2月 製造業新規受注 前年同月比 (1月 -3.9%、予想 -3.1%)
20:30 (欧) 欧州中銀(ECB)理事会議事要旨(3月6-7日会合分)
21:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 21.1万件、予想
22:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演原稿公表
26:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁(FOMC投票権有)講演
オーダー/ポジション状況
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