<< 東京市場の動き >>
28日の東京市場は、ドル安・円高。値幅そのものは決して大きくなかったが、「寄り付き高・大引け安」に近い値動きで、ドルの弱さが目についた。
ドル/円は、110.45円前後で寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。そのなかで、日中高値である110.50-55円を記録している。しかし、その後底割れすると、そのままじり安に推移し夕方には日中安値の110.05円レベルまで値を下げている。日経平均株価が続落、終値ベースで344円安を記録したことなども嫌気されていたという。16時時点では110.10-15円で推移、欧米時間を迎えていた。
なお、本日再びトルコリラが荒っぽい値動き。対円では19円後半を中心に、レンジは狭いがなかなか荒い上下動をたどっている。31日のトルコ統一地方選が懸念されている面もあるとされ、一部では「エルドアン大統領によるサプライズ発表」の噂も話題に。
一方、材料的に注視されていたものは、「英国情勢」について。
引き続き「EU離脱」に絡む報道や発言が目につく。未明に「英議会がEU離脱延期を賛成多数で承認」するなか、メイ首相は、自らが率いる保守党の会合で「英国とEUで合意した離脱案を英議会が承認した場合、辞任する考え」を表明したものの、可決のメドはいまだ経っていない状況だ。依然として、先行き不透明な状況にある。
そのほか単発的なモノとして、米軍司令官「北は完全非核化の可能性低い」、米次期国務次官補「中国との戦略的競争は後世に続く課題」、米カンザスシティ連銀総裁「FRBは金融政策で様子見可能」、露国連次席大使「安保理決議違反と米国批判」−−などの発言や報道が観測されていた。
<< 欧米市場の見通し >>
値動きということでは、それなりの変動があるものの、110円台を中心とした一進一退で明確な方向性は乏しい。レンジ内での往来相場にとどまっている。また、市場の関心という意味でも、毎日のように新たな話題が提供される英国情勢はもちろんのこと、ここ数日はトルコ情勢が俄かに注目を集め始めている。いずれにしても、ドル/円の関心は低いと言わざるを得ず、基本的にはいましばらくレンジ取引が続きそうだ。
材料的に見た場合、潜在的なリスク要因として米中そして米朝関係が指摘されるなか、前者については29日までの日程で「米中閣僚級貿易協議」が実施される予定となっている。協議は来週も実施される予定であり、スグに際立った進展があるとも思われないが、とはいえ会議の行方が注視されていることは間違いない。また、いわゆる米国ファクターも気掛かりだが、前述したように短期的には、むしろ欧州ファクターにこそ要注意か。トルコ情勢なども波乱要因となりかねないだろう。
テクニカルに見た場合、今週のドル/円相場は109.70-110.70円で、ザックリ1円レンジ。再び方向性を欠いた展開をたどっている状況だ。本稿執筆時に推移している110.10-15円は、ちょうどその中間地点で居心地がよいのだが、ともかくまずは1円レンジをどちらの方向に、どういったタイミングで抜けていくことが出来るのかを注視したい。なお、一目均衡表では日足が110円前半に位置する先行帯の雲に絡む値動きとなっており、しっかり放れればやや値の飛ぶ展開も指摘されている。
一方、材料的に見た場合、10-12月のGDP確報値や2月の中古住宅販売成約指数といった米経済指標が発表されるほか、米財務省による7年債の入札が実施される見込みだ。また、本日はデギンドスECB副総裁やクオールズFRB副議長をはじめ、欧米要人の講演が目白押し。英国情勢や米金融政策についての発言があれば、相場の波乱材料となる可能性もある。
そのほか、「米中閣僚級貿易協議」や、前述した「エルドアン・トルコ大統領によるサプライズ発表」なども一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、109.70-110.70円。ドル高・円安方向は、移動平均の75日線が位置する110.35-40円が最初の抵抗。超えた場合には、昨日高値の110.70円や110.95円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、東京で割り込めなかった110円レベルの攻防にまずは注視。ただ、割り込んでも109.70円レベルはなかなか強いサポートで、ドルの下値を阻みそうだ。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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