ドル円見通し リスク回避感拭えずに戻りが鈍い(3/28)

総じてドル高なのだがリスク回避感が拭えずクロス円での円高感も強まっているためにドル円としては上昇しきれずにいる。

ドル円見通し リスク回避感拭えずに戻りが鈍い(3/28)

【概況】

3月21日未明の米連銀FOMCによる年内利上げ断念姿勢から急落して3月8日安値を割り込み、22日には欧米のPMI悪化と株安・米長期債利回り低下により続落、週明け25日午前には109.72円の安値を付けたが、その後は6日間の下げ一服で戻しに入り、26日夜に110.68円、27日午後には110.70円をつけたが、27日夜には110.24円まで小反落、その後も110.50円が抵抗となる横ばいに留まっている。

3月22日に460ドル安の大幅下落となったNYダウは25日に14.51ドル高と下げ渋って世界連鎖株安にブレーキをかけ、26日も140.90ドル高と続伸してドル円上昇に寄与したが、27日は32.14ドル安と反落した。当初は100ドル以上の続伸気配だったが逆イールド現象による債券への投機マネーシフトにより一時は200ドルを超える下落となるなど先安不安が拭えない状況となり、日経平均の夜間も下げたためにドル円の上値を抑えた印象だ。
3月21日からのユーロ下落が続き、27日午前にはNZ中銀による次回利下げ姿勢によりNZドルが急落、豪ドルも同調安、28日早朝にはポンドが下落するなど、総じてドル高なのだがリスク回避感が拭えずクロス円での円高感も強まっているためにドル円としては上昇しきれずにいる。

【米国の逆イールドは4日目、ユーロも安い】

米連銀の利上げ断念姿勢により米長期債利回り低下が続き、米10年債利回りは27日に一時2.3%台へ低下して米3カ月物TB(財務省証券)利回りが10年債利回りを上回る「長短金利逆転(逆イールド)」現象が4日目となった。米10年債利回り低下はほぼゼロ水準でフラットな本邦10年債利回りとの格差縮小となりドル円には売り圧力となる。
一方ではユーロ安ドル高が続いているためドル指数は上昇気味だ。米連銀より先に欧州中銀ECBは3月7日時点で年内の利上げを断念して量的緩和政策の復活に踏み切っており、米長期債利回り低下とともにドイツ長期債利回り等が低下していることや経済指標悪化がユーロ安を助長している。
27日にはドラギ総裁が講演での発言で、少なくとも2019年末までとしている政策金利の据え置き期間について必要ならば延長する用意があるとし、金融機関におけるマイナス金利の副作用を和らげる措置を検討すると述べたことでユーロが一段安している。ユーロ安ドル高とともにユーロ安円高も進んでいるためにドル指数におけるドル高感がドル円には伝わらない状況となっている。

英議会はEU離脱をめぐる代替案の8案について採決したがいずれも否決された。EU離脱の是非を再び国民投票で問う案も否決されている。メイ首相は自身の辞任姿勢と引き換えに代替案への賛成を求めたが果たせずに終わった。野党が「合意無き離脱」よりは不満足でも代替案による「合意による離脱」を望む姿勢を示していたので為替市場ではポンド高で推移していたが、否決結果から28日早朝には急落している。ポンド安ドル高とともにポンド安円高であり、ドル高感よりもリスク回避感が勝ればドル円にもマイナス効果というところか。

【米中協議再開でも先行き見通せず】

1月の米貿易収支は赤字が511億ドルとなり市場予想の570億ドルを下回り、12月の599億ドルから減った。対中赤字は前年同月比4.1%減少の345億ドルで昨年10月の過去最大赤字からは減少しているが依然として高水準となっている。対日赤字は8.1%減少の52億ドルで中国、メキシコ、ドイツに次ぐ4番目だった。
米中は閣僚級通商協議を28日から北京で再開する。4月中の米中首脳会談実現と合意へ向けての進展も期待されるが、トランプ大統領は実施済の追加関税を一定期間据え置く姿勢を示しているため協議難航も懸念されている。
ドル円にとっては通商摩擦解消ならリスク回避感後退と株高によりドル高円安効果となりやすいが、交渉決裂や合意に至っても中国及び世界景気にプラスに働かない内容ならリスク回避感の継続として円高を加速させかねない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月19日午前安値から4日目となる25日午前安値で直近のサイクルボトムを付けて戻しに入った。このため26日朝時点では25日午前安値割れ回避のうちは25日夕高値超えから上昇期入りとして26日の日中から27日の日中にかけての間への上昇を想定した。27日午後に110.70円を付けたがその後は下げているため3月20日高値から5日目となる27日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる3月28日の日中から4月1日にかけての間への下落を想定する。27日午後高値超えへ至らないうちは一段安警戒とするが、27日午後高値超えからは新たな強気サイクル入りと111円台回復を目指す上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では26日夜の上昇で先行スパンを上抜き、その後も上抜いた状況を維持しているが、27日夜の下落で遅行スパンが悪化している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、3月27日午後高値超えからは新たな強気サイクル入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は26日夜と27日未明のほぼフラットな高値に対して指数のピークが切り下がる小規模な弱気逆行気配がみられたが、27日午後への高値更新時も指数のピークが切り下がる弱気逆行が続いて失速した。60ポイント台回復・維持へ進めないうちは一段安警戒とし、30ポイント割れへ向かう可能性ありとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、110.00円を下値支持線、27日午後高値110.70円を上値抵抗線とする。
(2)27日午後高値超えへ進めないうちは一段安警戒とし、27日夜安値110.24円割れからはまず110円試しを想定する。110円割れから続落の場合は25日午前安値109.72円試しとし、さらに底割れからは109円台序盤へ下値目途を引き下げる。110.50円以下での推移中は29日の日中も安値を試しやすいとみる。
(3)110.50円以上を維持し始める場合は110.70円試しとするが、その手前では戻り売りにつかまりやすいとみる。110.70円超えからは強気サイクル入りとして111円試しを想定するが、111円到達ではいったん売られやすいとみる。

【当面の主な予定】

3/28(木)
未定(南)南ア準備銀行(SARB)政策金利(現行6.75%、予想6.75%)
19:00(欧)3月経済信頼感(2月106.1、予想105.9)
19:00(欧)3月消費者信頼感・確定値(速報−7.2、予想-7.2)
20:15(米)クオールズFRB副議長、ECB会議で講演
21:30(米)10-12月期GDP、確定値前期比年率(速報2.6%、予想2.4%)
21:30(米)10-12月期GDP個人消費・確定値前期比(速報2.8%、予想2.6%)
21:30(米)10-12月期四半期コアPCE・確定値前期比(速報1.7%、予想1.7%)
21:30(米)週間新規失業保険申請件数(前週22.1万件、予想22.5万件)
22:00(独)3月消費者物価指数速報値前月比(2月0.4%、予想0.6%)
22:00(独)3月消費者物価指数速報値前年同月比(2月1.5%、予想1.6%)

22:30(米)クラリダFRB副議長、パリで講演
23:00(米)2月住宅販売保留指数前月比(1月4.6%、予想-0.5%)
23:00(米)2月住宅販売保留指数前年同月比(1月-3.0%)
23:00(米)ボウマンFRB理事、講演
24:00(米)米カンザスシティ連銀3月製造業活動指数
24:30(米)ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会参加
26:15(米)ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁(FOMC投票権有)討論会参加
28:00(メ)メキシコ中銀、政策金利(現行8.25%、予想8.25%)

3/29(金)
06:20(米)ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
06:45(NZ)2月住宅建設許可件数前月比(1月16.5%)
08:30(日)2月失業率(1月2.5%、予想2.5%)
08:30(日)3月東京都区部消費者物価指数・生鮮食料品除く前年同月比(2月1.1%、予想1.1%)
08:50(日)2月鉱工業生産・速報値前月比(1月-3.4%、予想1.3%)
08:50(日)2月鉱工業生産・速報値前年同月比(1月0.3%、予想-1.2%)
08:50(日)2月小売業販売額前年同月比(1月0.6%、予想0.9%)
09:01(英)3月GFK消費者信頼感(2月-13、予想-14)
14:00(日)2月新設住宅着工戸数前年同月比(1月1.1%、予想-0.1%)
17:55(独)3月失業者数前月比(2月-2.1万人、予想-1.0万人)
17:55(独)3月失業率(2月5.0%、予想4.9%)
18:30(英)10-12月期GDP、改定値前期比(速報0.2%、予想0.2%)
18:30(英)10-12月期GDP、改定値前年同期比(速報1.3%、予想1.3%)

21:30(米)2月個人所得前月比(1月-0.1%、予想0.3%)
21:30(米)1月個人消費(PCE)前月比(12月-0.5%、予想0.3%)
21:30(米)1月PCEデフレーター前年同月比(12月1.7%、予想1.4%)
21:30(米)1月PCEコア・デフレーター前月比(12月0.2%、予想0.2%)
21:30(米)1月PCEコア・デフレーター前年同月比(12月1.9%、予想1.9%)
22:25(米)ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演[バージン諸島]
22:45(米)3月シカゴ購買部協会景況指数(2月64.7、予想61.0)
23:00(米)2月新築住宅販売件数・年率換算件数(1月60.7万件、予想62.0万件)
23:00(米)3月ミシガン大学消費者信頼感指数確報(速報97.8、予想97.8)
25:05(米)クオールズFRB副議長、NYで講演

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