ドル円 昨年1月型ないしは12月型の下落か(3/26)

欧米の長期債利回り低下はほぼフラットな本邦長期金利との格差縮小によりドル円、クロス円への大きな売り圧力となっている。

ドル円 昨年1月型ないしは12月型の下落か(3/26)

【概況】

1月3日からの出直りが続いてきたが、3月5日高値112.12円まで凡そ2か月間の上昇で上昇幅も7.30円と拡大したところで行き詰まり、米連銀FOMCによる年内利上げ断念を嫌気した急落で3月8日安値を割り込んだ。3月22日には欧米のPMI悪化と株安・米長期債利回り低下により大幅続落となった。
週明けの25日は日経平均が前週比凡そ3%安、上海総合株価指数も凡そ2%安と大幅下落する中で株安拡大を警戒して25日午前には109.72円まで安値を更新したが、週末までの大幅下落で110円を割り込んだことによる突っ込み警戒感もあってその後は新たな安値更新を回避しているが、戻りも25日夕高値110.23円までにとどまっている。
22日に460ドル安の大幅下落となったNYダウは下げ渋って14.51ドル高だったが、ナスダック総合指数は5.13ポイント安と下げた。22日のNYダウ下落から世界を1周した株安連鎖は一服だが、米長期債利回りの低下は続いている。

米10年債利回りは前週末比0.04%低下の2.40%へ下降、米3か月物TB(財務省証券)利回りの2.4499%を下回り長短金利逆転=逆イールドは週末時点よりも進行している。米連銀による年内利上げ断念が長短金利の逆転現象を発生させる程に長期債利回りを低下させていること、また利上げを断念するほどに世界景気の先行き不安が大きいという米連銀及び欧州中銀の政策判断が株安不安を招いて債券買い・長期債利回り低下を招いている。欧米の長期債利回り低下はほぼフラットな本邦長期金利との格差縮小によりドル円、クロス円への大きな売り圧力となっている。

【1円を超える陰線の連発】

1月3日からの上昇が2か月に迫り、上昇幅が6円を超えた段階からは昨年5月21日からの下落時や一昨年11月6日からの下落時等と同様に直前高値から3円超規模の下落に入る可能性があると指摘してきたが、21日未明からの下落により1月31日から2月27日、3月8日へと続けた底上げパターンが崩れ、3月5日からの下げも二段下げ型となり、25日午前安値までの下落幅も2.40円まで拡大したが、まだ3円超規模には至っていない。
日足では3月20日、22日が1日の高安レンジで1円を超える下落規模の大陰線連発となったため、22日の陰線レンジ内=110.89円から109.74円の範囲までの戻りでは下落基調を解消できず、一段安へ進みやすい状況と思われる。一般的な下げ渋りでは大陰線の中心値110.32円を超えても維持できない程度までにとどまりやすい。また下げ渋り的に2日、3日戻してもその後に大陰線で安値を更新する場合は下落感がかなり強まりやすいと思われる。

3月5日からの下落角度、規模は昨年12月に10月からの三角持ち合いを下放れして大幅下落に入ったところや、昨年1月から3月へ大幅下落した時の序盤に近い印象がある。1昨年11月や昨年5月のように3円超の下落から大きく反騰するケースもあるが、昨年1月や12月の下落は株安と同調したために下落感が強まったので、今回も株安がさらに深刻化するようなら昨年1月や12月の下落時並みに発展する可能性も警戒すべきところと思う。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月19日午前安値でボトムを付けて戻したが、21日未明の急落で底割れしたために弱気サイクル入りした。ボトム形成期は22日から26日にかけての間と想定されるため、前回ボトムから4日目となる25日午前安値でボトムを付けた可能性がある。25日午前安値割れ回避のうちは25日夕高値超えから上昇期入りとして26日の日中から27日の日中にかけての上昇を想定する。25日午前安値割れの場合、26日夜への反騰で25日午前以降の高値を更新する場合は直前安値をボトムとした強気サイクル入りとするが、底割れから続落の場合は新たな弱気サイクル入りと仮定し28日から4月1日にかけての間への下落期入りを想定する。

60分足の一目均衡表では21日未明の急落により先行スパンから転落し、その後も転落状況が続いている。25日午前安値からの下げ渋りにより遅行スパンは実線と交錯しているところだ。先行スパンを上抜き返せばリバウンド入りの可能性が強まるが、先行スパンから転落した状況が続くうちは一段安警戒とし、25日午前安値割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先と考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、3月25日午前安値109.72円を下値支持線、25日夕高値110.23円を上値抵抗線とする。
(2)109.72円割れ回避のうちは上昇余地ありとし、110.23円超えの場合は110.50円から110.70円台にかけての間への上昇を想定するが、そこは戻り売りにつかまりやすいとみて、110円割れからは下げ再開の可能性を優先する。
(3)109.72円割れからは新たな弱気サイクル入りの可能性を踏まえて109.00円試し、さらに1月31日安値108.50円試しへ向かう流れとみる。109円前後ではいったん買い戻されやすいとみるが、株安再燃の場合は下げも厳しくなる可能性があると注意する。

【当面の主な予定】

3/26(火)
09:30 (米) ローゼングレン・ボストン連銀総裁、香港で講演
16:00 (独) 4月 GFK消費者信頼感 (3月 10.8、予想 10.8)
16:45 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、ドイツで講演
19:30 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、香港の討論会
21:30 (米) 2月 住宅着工件数・年率換算件数 (1月 123.0万件、予想 121.3万件)
21:30 (米) 2月 建設許可件数・年率換算件数 (1月 134.5万件、予想 130.0万件)
22:00 (米) 1月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (12月 4.2%、予想 4.0%)
23:00 (米) 3月 リッチモンド連銀製造業指数 (2月 16、予想 10)
23:00 (米) 3月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (2月 131.4、予想 132.0)
28:00 (米) デイリー・サンフランシスコ連銀総裁(FOMC投票権有)、講演

3/27(水)
10:00 (NZ) ニュージーランド準備銀行(RBNZ) 政策金利 (現行 1.75%、予想 1.75%)
17:00 (欧) ドラギ欧州中銀(ECB)総裁、発言
21:30 (米) 1月 貿易収支 (12月 -598億ドル、予想 -575億ドル)
23:00 (米) 10-12月期 経常収支 (前期 -1248億ドル、予想 -1300億ドル)

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