ドル円見通し FOMC前で決め手に欠きジリ安(3/19)

米連銀FRBは3月19日から20日にかけて連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。前回1月末の会合では当面の追加利上げを棚上げする姿勢と保有資産圧縮計画の早期終了が

ドル円見通し FOMC前で決め手に欠きジリ安(3/19)

ドル円見通し FOMC前で決め手に欠きジリ安

【概況】

ドル円は3月2日高値112.07円と3月5日高値112.12円でダブルトップ型を形成して3月8日安値110.80円まで下落し、その後は111円台前半での持ち合いが続いてきたが、14日朝からの反発で15日昼には111.90円まで上昇した、しかし112円には届かずに111.50円前後まで下落して先週を終えた。
3月8日への下落は株安、ユーロ安や米経済指標が低調だったことでリスク回避的な円高がドル・ストレートでのドル高に勝ったことが背景。8日以降はユーロやポンドが上昇に転じたためにドル・ストレートではドル安となる一方でリスクオン心理からクロス円が上昇、ドル円もドル高円安気味の推移となったが、積極的攻勢的な円売りドル買いという印象には至らず、112円には到達できなかった。

3月18日は上海総合株価指数が前日比2.47%高と大幅上昇、日経平均が133.65円高で週末から続伸、NYダウも3月13日から4連騰したが、株高からのドル円に対するリスクオン心理は強まらず、19日未明には111.29円まで下げて15日深夜安値111.38円を割り込んでいる。3月19-20日の米連銀FOMCを控えているため株式市場よりも慎重な姿勢となっていること、英国のEU離脱問題でもまだ混乱が続いている事などがドル円の上値を抑えている印象だ。
18日に発表された3月の米NAHB住宅市場指数は62で前月と変わらず、市場予想の63を下回った。

【英国の混迷は続く】

英国のEU離脱問題に関し、英国がEUに離脱時期延期を要請するための英国内の協定合意案決議について、バーコウ議長の議案が前回の否決内容から大幅に変更されないなら採決しないと拒否姿勢を打ち出した。これまでの流れでは6月末までの離脱期限延期要請を行う姿勢が決まっているが、EUが受け入れるための協定合意案、条件に付いての英国側の姿勢を示す必要がある。それが採決できないとなると期限延期がさらに長期化する可能性やEU側の態度硬化により「合意できずに離脱」という事にもなりかねない。暫く混迷は続くようだ。

英ポンドは1月3日に1.2436ドルまで下げた後は反騰している。ドル円等が戻してきた流れと概ね一致しているが、2018年4月天井からの下落に対する半値戻しにも至っていない。離脱問題を巡ってはやや楽観的な姿勢で上昇しつつ、混迷が深まるところでは大きく下げてもまた楽観がぶり返して戻してきた。しかし、英国がEUを離脱した後に素晴らしい経済成長を遂げるような見込みは薄く、大手企業の英国からの本拠地撤退が進む中で、いずれは実体経済レベルの悪影響がクローズアップされるのだろうと思われる。昨年4月高値は概ね3年から4年周期のピークと思われ、1月3日からの反発も下げ途中のリバウンドの範囲内と思われる。英国経済の状況悪化が目立ち始めて1.30ドル、1.275ドルを順次割り込む場合は中長期的な下げ再開感が強まり、リスク回避的な円高要因となりかねないと注視しておきたい。

【FOMC待ち】

米連銀FRBは3月19日から20日にかけて連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。前回1月末の会合では当面の追加利上げを棚上げする姿勢と保有資産圧縮計画の早期終了検討が示されてドル安のきっかけとなったが、1月25日のWSJ紙のリーク報道からドル安が進んでいたために実際のFOMC直後にはこの問題での材料消化となってドル円は1月31日安値から反騰に入った。しかし3月7日のECBによる年内利上げ断念も加わって欧米の金融引き締めスタンスの大幅後退感が強まって欧米長期債利回り低下を招いたため、長期金利面での円高圧力も発生したために3月5日高値以降のドル円は押され気味で、新たな高値更新へ進めずにいるところだ。
市場の関心は、7-9月期に年1回の利上げが行われる可能性があるかどうか、年内利上げ無しの確率が上昇するかどうかだが、FOMCメンバーの利上げ回数予想や金利水準予想、物価上昇率等の見通し等の細かいところも注目点となる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、14日朝安値を前回のサイクルボトムとして強気サイクルに入ったが、12日高値から3日目となる15日午前高値で直近のサイクルトップをつけて弱気サイクル入りしたと思われる。今回の安値形成期は19日朝から21日朝にかけての間と想定されるので、早ければ19日中にボトムをつける可能性もあるが、FOMC前でもあるので19日夜、20日にかけては安値を試しやすい時間帯と思われる。18日高値111.62円を下まわる内はボトム形成の継続とし、111.62円超えからは強気サイクル入りとして20日から22日にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では15日夜に遅行スパンが悪化し、19日未明への下落で先行スパンから転落している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からは強気転換注意とするが先行スパンを上抜き返せない内はその後の遅行スパン悪化から下げ再開とみる。先行スパン突破からは強気サイクル入りと仮定して遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は14日から15日への高値更新時に指数のピークが切り下がる弱気逆行となって失速した。19日午前時点では強気逆行はみられないため、50ポイント以下での推移中は安値試しを続けやすいとみる。50ポイント超えからは上昇再開の可能性が高まるとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、111.20円を下値支持線、3月16日午前高値111.62円を上値抵抗線とする。
(2)111.20円割れの場合、3月8日夜安値と14日朝安値を結ぶ支持線割れとなる。このため111.62円を下回るうちは111.20円割れから111.00円(14日朝安値)試し、さらに8日夜安値110.80円試しへ向かうとみる。111円割れはいったん買い戻しも入りやすいとみるが、111円割れから下げが加速する場合は110.50円台まで下値目処を引き下げる。また111.20円以下での推移が続く内は20日も安値を試しやすいとみる。
(3)111.62円超えからは強気サイクル入りとして15日高値111.90円及び112円試しを想定するが、FOMC前のため111.90円以上は反落注意とみる。111.62円超えの後も111.50円以上で推移なら20日は高値試しを続けやすいとみる。(了)<9:25>

【当面の主な予定】

3/19(火)
   (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
09:30 (豪) 10-12月期 住宅価格指数 前期比 (前期、-1.5%、予想 -2.0%)
09:30 (豪) 10-12月期 住宅価格指数 前年同期比 (前期 -1.9%、予想 -5.0%)
09:30 (豪) 豪準備銀行(RBA行)金融政策会合議事要旨公表
18:30 (英) 1月 失業率・ILO方式 (12月 4.0%、予想 4.0%)
19:00 (独) 3月 ZEW景況感・期待指数 (2月 -13.4、予想 -11.0)
18:30 (欧) プラートECB専務理事、討論会参加
23:00 (米) 1月 製造業新規受注 前月比 (12月 0.1%、予想 0.3%)

3/20(水)
英国のEU離脱協定の条件再提示期限(三度目の議会採決期限)
   (英) 英中銀(BOE)金融政策委員会(MPC)1日目
06:45 (NZ) 10-12月期 経常収支 (前期 -61.49億NZドル、予想 -35.50億NZドル)
08:50 (日) 日銀・金融政策決定会合議事要旨
09:00 (豪) ブロック豪中銀総裁、講演
16:00 (独) 2月 生産者物価指数 前月比 (1月 0.4%、予想 0.2%)
18:30 (英) 2月 消費者物価指数 前月比 (1月 -0.8%、予想 0.4%)
18:30 (英) 2月 消費者物価指数 前年同月比 (1月 1.8%、予想 1.8%)
18:30 (英) 2月 消費者物価コア指数 前年同月比 (1月 1.9%、予想 1.9%)
18:30 (英) 2月 小売物価指数 前月比 (1月 -0.9%、予想 0.7%)
18:30 (英) 2月 小売物価指数 前年同月比 (1月 2.5%、予想 2.5%)
18:30 (英) 2月 生産者物価コア指数 前年同月比 (1月 2.4%、予想 2.3%)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利発表 (現行 2.25-2.50%、予想 2.25-2.50%)
27:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見

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