ドル円 111円台前半の持合いから上抜ける(3/15)

米労働省が発表した週間の新規失業保険申請は季節調整済みで22万9000件となり前週比6000件増加、市場予想の22万5000件を上回った。

ドル円 111円台前半の持合いから上抜ける(3/15)

ドル円 111円台前半の持合いから上抜ける

【概況】

ドル円は3月2日高値112.07円と3月5日高値112.12円でダブルトップ型を形成して3月8日安値110.80円まで下落したが、その後は111円台前半での持ち合いが続いてきた。株安とECBの年内利上げ断念によるユーロ安、米雇用統計での非農業部門就業者数の伸びがわずか2万人増に止まる弱気サプライズ等がダブルトップ後の下落要因だったが、これらによるドル安が消化されてユーロが反発、英国のEU離脱問題での混乱に対してもやや楽観が勝る展開でポンドが上昇したことがドル円への圧迫要因だったが、NYダウが11日から反騰に転じたことと上海総合株価指数も8日の急落から反発したことでリスク選好感が戻ったことがドル円には押し上げ要因となっていた。強弱入り混じりで111円台前半での持ち合いが続いたというところだった。12日夜と13日夜に111.46円を付けたが、3月5日から8日への下げ幅に対する半値戻しの水準だった。

14日早朝にかけては米中協議進展への懸念からいったん下げたが111円ちょうどで下げ止まり、その後の反発で111.46円を超えて111円台後半へ上昇した。反騰していたポンドの反落、人民元安ドル高がドル円を押し上げ要因になったこと、英国のEU離脱問題で「合意無き離脱」が否決されて離脱期限延期の可能性が高まったことによる安ど感もプラスに作用した。しかし上海総合株価指数が1%を超える下落となり、日経平均も高寄りから反落する中での上昇だったため112円台回復へ進むほどの勢いは見られなかった。

米労働省が発表した週間の新規失業保険申請は季節調整済みで22万9000件となり前週比6000件増加、市場予想の22万5000件を上回った。米商務省が発表した1月の新築一戸建て住宅販売件数は季節調整済年率換算で前月比6.9%減の60万7000戸となり3か月振りにマイナスとなった。また予想の62万戸を下回った。これらに対する市場の反応は限定的だった。

【米中協議不調への懸念、中国株安不安再燃】

3月14日の上海総合株価指数が1.2%安と下落したのは気になるところだ。トランプ大統領が米中合意を急がないと発言したことやこの日発表された中国の鉱工業生産の伸びが予想を下回ったことが背景だが、年末から8週連騰して9週目に入った先週は高値を更新して週末値でも9週連続上昇ではあったが、3月8日は4%を超える下落となって週足は長い上ヒゲ=塔婆型で失速した。11日、12日と反騰したが13日から14日へ再び失速しており3月7日高値以降の安値更新へ余裕が乏しくなっている。
中国の経済指標は全人代での成長率目標の引き下げ、輸出入の伸びが大幅に後退したこと、物価上昇率の鈍化に続き、この日も鉱工業生産の伸びが予想及び前年同期を下回っている。米中通商摩擦も響いていると思われる。

トランプ大統領は13日に米中合意を急がないとしたが、14日も「最終的に取引を行うかについて明言したくない。米国にとって望ましい取引でなければ行わない」と述べた。ライトハイザー米通商代表部(USTR)とムニューシン米財務長官らは11日と13日に中国の劉鶴副首相と電話会談したようだが、ムニューシン米財務長官は米中首脳会談は「今月末には行わないだろう」と述べており、楽観的な見通しは立っていないようだ。
ドル円は1月3日の大暴落から出直ってきたがが、その背景としては上海株の連騰もあっただろうと思われる。上海株が崩れ始め、2月後半からの下落一服中のNYダウが下落し始めるようだと株安不安が強まってドル円の上昇も抑えられる。週末から週明けにかけては日米中の株式市場動向も注目される。

【英ポンド乱高下】

英ポンドは乱高下している。英議会はメイ首相とEUによる修正離脱協定案を否決し、合意無き離脱も否決、14日には離脱期限の延期要請を可決した。このため3月29日の離脱が延期される可能性が高まった。
英議会は3月20日に三度目の離脱合意案採決を予定しているようだが、それが可決されれば6月30日までの延期を申し入れる見込みという。離脱回避のための国民投票再実施については準備期間に半年以上かかるため可能性は極めて低く、仮に6月末以降も離脱期限が延長されたとしても結局は離脱することになるのだろうと思われる。
問題は大混乱と英国景気及び欧州景気への大打撃となるのかどうか、それを楽観するか悲観するかということに尽きるが、為替市場を見る限りでは今のところはやや楽観的な見方がされている印象だ。景気への大打撃回避で進展すればドル円にはプラスだが、2015年6月の国民投票で離脱が決定されたときのショックでドル円が100円を割り込んだことも忘れられない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月2日高値と3月5日深夜高値をダブルトップとした弱気サイクルのボトムを3月8日に付けて下げ渋ってきた。14日未明安値へいったん下げてからの切り返して12日の戻り高値を上抜いたため、14日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りしたと思われる。12日夜高値を基準として今回の値形成期は15日から19日にかけての間と想定されるが、サイクルトップは短縮または延長されやすいためすでにトップアウト注意期に入っていると考えておきたい。111.50円を割り込んでも切り返すうちは15日夜、週明けへの上昇余地ありとするが、111.50円割れから続落の場合は弱気転換注意とし、14日未明安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして19日未明から21日未明にかけての間への下落が予想される。

60分足の一目均衡表では14日の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンから上抜けている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは弱気転換注意として安値試し優先へ切り替え、先行スパン転落からは下げが加速しやすいと警戒する。

60分足の相対力指数は14日夕から15日未明への高値切り上げに対して指数のピークが切り下がっているため弱気転換注意と思われる。また15日未明高値を超えても14日の指数のピークから切り下がりとなる場合は弱気逆行の連続として反落警戒と思われる。

2月27日安値から3月5日への上昇幅は1.79円。3月5日深夜から8日への下げ幅は1.32円。3月8日からの上昇幅が3月5日への上昇並みとすればN計算値は112.59円。3月8日への下げ幅の倍返しならV計算値は113.44円。仮に3月5日高値を超える上昇の場合はそれらの上値計算値を目指す可能性が出てくると思われる。逆に14日未明安値を割り込んで下落再開感が強まれば、3月8日からの戻り幅の倍返しとなる下げへ進みやすく、また3月8日への下げ幅の二倍値となるE計算値109.48円を目指す可能性が出てくると思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、111.50円を下値支持線、15日未明高値111.83円を上値抵抗線とする。
(2)111.50円を上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは15日未明高値超えからの上昇で3月5日深夜高値112.12円を目指す可能性ありと考える。112.12円を超える場合は112.59円を目指す流れと考える。
(3)111.45円割れからは14日未明安値111.00円試しとする。111.25円前後から切り返して111.50円以上へ戻すところからは上昇再開の可能性ありとするが、111.00円割れからは来週序盤にかけて111.50円前後を目指す下落期入りを想定する。(了)<8:50>

【当面の主な予定】

3/15(金)
中国全国人民代表大会(全人代)閉幕、李克強首相会見
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利発表 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
19:00 (欧) 2月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (1月 1.5%、予想 1.5%)
19:00 (欧) 2月 消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (1月 1.0%、予想 1.0%)
21:30 (米) 3月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (2月 8.8、予想 10.0)
22:15 (米) 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 -0.6%、予想 0.4%)
22:15 (米) 2月 設備稼働率 (1月 78.2%、予想 78.5%)

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