<< 東京市場の動き >>
12日の東京市場は、「行って来い」。一時ドル買いが進行したものの息切れ、その後は上げ幅を削る展開となった。
ドル/円は、寄り付いた111.15-20円を日中安値に上昇。111.45円レベルまで値を上げたものの、続かなかった。その後は逆にじりじりと値を崩すと、夕方にかけては111.25円近くまで軟化するなど、「行って来い」の様相に。16時時点では111.30-35円で推移し、欧米時間を迎えていた。
なお、そうしたなかポンドが本日早朝から荒っぽい値動き。朝方に急騰を見せ、対円では146.10円台から147円台後半まで大きく値を伸ばしてたが、高値示現後は緩やかな右肩下がり。夕方には再び147円割れとなっている。
一方、材料的に注視されていたものは、「英国情勢」について。
ロイターが「英首相がコンセンサス構築できなければ議会が権限掌握へ」と報道、EU主席交渉官から「離脱問題の膠着打開は英首相と議員次第」との発言が聞かれるなか、予想外ともいえる「英とEUがアイルランド国境問題の見直しに向けた2つの共同文書で合意」−−と報じられたことが好感され、前述した本日早朝のポンド急騰につながっていたようだ。
そのほか単発的なものとして、「米北朝鮮担当大使、北の段階的な非核化を否定」、米紙WSJ「ペロシ下院議長、トランプ米大統領弾劾に慎重」、「中国副首相、米USTR代表らと電話協議を実施」、雨宮日銀副総裁「追加緩和はさまざまな手段が考えられる」−−などいった報道や発言が観測され、一部で思惑を呼んでいた。
<< 欧米市場の見通し >>
一時112円台まで上昇したドルの上値トライが仕切り直しとなる一方で下値も堅く、111円台を中心としたレンジ取引の色合いが強くなってきた。長い目で見た場合はともかく、短期的には英国情勢への関心が依然高く、ポンドを中心とした値動きが予想されることもあり、ドル/円は基本蚊帳の外か。111円台を中心としたレンジ取引、方向性の乏しい値動きがいましばらく続く可能性を否定出来ない。
材料的には、米中あるいは米朝関係を警戒する声が依然として少なくないなか、前述したように目先的には英国情勢に注意。とくに本日は「EU財務相理事会」や、「英議会による政府の離脱修正案を採決する予定」とされ、依然として欧州情勢は予断は許さないだろう。なお、ドル/円に関する材料としては、「ブレイナードFRB理事の講演」などを警戒する声が聞かれていた。
テクニカルに見た場合、起点をどこからとるかで異なるものの、今月以降のドル/円は110.75-112.15円というレンジを形成している感がうかがえる。つまり、もうすぐ3月も半ばを迎えるが、今月の月間レンジはまだ1.4円ほどにとどまっているわけだ。本校執筆時はレンジのほぼ中間点である111.30円レベルで推移するなか、引き続き上下どちらに放れていくのか、その方向性を注視したい。
一方、材料的に見た場合、1月の消費者物価指数など幾つかの米経済指標が発表される予定となっている。ここ最近の米経済指標はまだら模様ながら、昨日発表された小売売上高は好数字でドル買いの要因になっていた感を否めない。本日以降の米指標に関しても、一応要注意だ。
そのほか、米国ファクターとしては「ブレイナードFRB理事の講演」など、欧州ファクターとしては「EU財務相理事会」や、「英議会による政府の離脱修正案を採決する予定」が注視されている。とくに、後者である欧州関係の材料には注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、110.80-111.80円。ドル高・円安方向は、移動平均の200日線近い、本日東京高値である111.45円レベルが最初の抵抗。抜ければ111.60円前後、そして年初来高値112.13円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週末に記録した安値の110.78円をめぐる攻防に注目。割り込んだ場合、本日も110.40円前後で横ばいに推移する一目均衡表の先行帯の雲の上限がサポートとなりそうだ。(了)
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