ドル円 112円到達と雇用統計控え高値警戒感(3/5)

4日夜に発表された12月の米建設支出が市場予想に反して大幅に悪化したためにNYダウが一時410ドル安まで急落したことでドル円も111.64円まで下げた。

ドル円 112円到達と雇用統計控え高値警戒感(3/5)

【概況】

2月14日高値111.12円から2月15日安値110.25円へ反落した後は概ね110円台後半での持ち合いが続いてきたが、2月26日未明高値で111.23円を付けて2月14日高値をわずかに上抜き、いったんは2月27日安値110.33円まで下げたものの2月15日安値割れには至らず、2月28日夜の上昇で26日未明高値を上抜いて持ち合い上放れとなり、3月1日には株高債券安・米長期債利回り上昇と同調して112円台に到達した。

米連銀の追加利上げ棚上げ姿勢への転換と保有資産圧縮計画の早期切り上げ見込みによるドル売りが一巡する中で2月28日の米10−12月期GDPが予想程悪くなかったことでドル高が再燃したことが112円到達への上昇エンジンだった。3月1日の米個人消費統計は冴えず、ISM製造業景況指数やミシガン大消費者信頼感指数も予想を下回ったものの流れは変わらなかった。
週明けは112円到達に対する高値警戒感を抱えつつも上海総合株価指数が大幅上昇し、米中通商協議の進展期待による株高基調も継続するとの見方から112円を若干割り込むところで高値圏を維持していた。しかし4日夜に発表された12月の米建設支出が前月比0.6%減となり市場予想の0.27%増に反して大幅に悪化したためにNYダウが一時410ドル安まで急落したことでドル円も111.64円まで下げた。ダウはその後に戻して終値では206.67ドル安まで回復したが、連騰してきた米10年債利回りが前週末比0.03ポイント低下したことで浮上しきれず111.70円を挟んだ揉み合いにとどまっている。

【2月28日からのドル高基調を継続できるか、週末の雇用統計も気になる時期】

当面は2月28日夜からのドル全面高基調が継続するか一服するのかを見定めるところと思われる。週末の米雇用統計も意識されるところだ。米連銀の利上げ棚上げ姿勢についても年内に利上げ無しとする楽観論と利上げの可能性もまだ残るのではないかとの警戒論も交錯する。10月から大暴落したNYダウが暴落前水準に近いところへとV字回復していることから米経済指標が強ければ利上げ再開余地を探る展開としてドル高・米長期債利回り上昇へ進みやすくなる。しかし最近の米経済指標は強弱まちまちであり、重要な米経済指標の内容が弱めに続けばドル安がぶり返す可能性もある。

米債務上限停止の法的効果が3月1日に切れた。ロシア疑惑関連でのトランプ大統領に対する弾劾の動きも強まっている。米中通商協議への進展期待が上海株高を招き、NYダウ上昇を支えてきたが年末からの大幅反騰に対する高値警戒感も出やすいところに来ているために3月4日は普段はあまり気にされない建設支出統計の悪化に急落反応するなど神経質なところも見られ始めた。
ドル円にとっては112円台到達によりさらにもう一段高して昨年10月高値水準への回帰を期待しやすくなっている反面、高所恐怖症も出やすいところにある。週末の雇用統計へ向けてはやや神経質な展開でポジション調整的に押されやすいかもしれない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月27日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして3月1日から5日未明にかけての間への上昇が想定されたが、3月2日高値の後はやや失速しており、高値形成期を過ぎたために3月2日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りと仮定する。今回の安値形成期は3月4日から6日にかけての間と想定されるので、新たな高値更新へ進めないうちは5日夜から6日にかけてはまだ下落しやすい時間帯と思われるが、3月2日高値を上抜くところからは新たな強気サイクル入りとして7日未明から11日朝にかけての間への上昇が想定される。

60分足の一目均衡表では4日深夜の下落で遅行スパンが悪化した。112円超えからは再び好転してくるので上昇再開とみるが、悪化中は安値試し優先とみる。先行スパン上限に張り付いているので、潜り込み始める場合は先行スパン下限を試すと思われるが、潜り込んだ後に再び上抜けるところからは上昇再開の可能性が高まると思われる。

60分足の相対力指数は5日未明への下落で40ポイントを割り込んだがその後はやや戻している。3月1日から2日未明への高値更新時に指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せて下落しているが、現状では強気逆行は見られていないので、もう一段安へ進みやすい姿かもしれない。次の40ポイント割れからは30ポイント前後試しへ向かいやすいと思われる。60ポイントに到達しその後も50ポイント以上で推移なら上昇再開の可能性が高まると思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、111.64円を下値支持線、3月2日高値112.07円を上値抵抗線とみておく。
(2)111.64円割れの場合は111.35円前後試しとその後の反発注意とみるが、111.30円割れへ続落の場合は111.00円から110.85円にかけてのゾーンを試す下落を想定する。111円以下は反騰警戒とする。
(3)111.90円超えからは上昇再開の可能性が高まるとみて3月2日高値試しとし、高値更新からは新たな強気サイクル入りと仮定して112.50円前後への上昇を想定する。
※ 3月2日高値を更新するところからは上値目途が昨年12月6日安値112.24円、11月20日安値112.29円等の112円台序盤、次いで112.50円、さらに12月13日高値113.70円から10月4日高値114.54円まで順次切り上がる可能性がある。110.85円割れから続落の場合は2月15日安値110.25円へ下値目途が切り下がり、2月15日安値割れからは1月3日からの上昇一巡による下落期入りの可能性が高まると思われる。

【当面の主な予定】

3/5(火)
09:30 (豪) 10-12月期 経常収支 (前期 -107億豪ドル、予想 -91億豪ドル)
10:45 (中) 2月 財新サービス業PMI (1月 53.6、予想 53.5)
12:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)政策金利発表 (現行 1.50%、予想 1.50%)
17:55 (独) 2月 サービス業PMI改定値 (速報 55.1、予想 55.1)
18:00 (欧) 2月 サービス業PMI改定値 (速報 52.3、予想 52.3)
18:30 (英) 2月 サービス業PMI (1月 50.1、予想 50.0)
19:00 (欧) 1月 小売売上高 前月比 (12月 -1.6%、予想 1.4%)
19:00 (欧) 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 0.8%、予想 2.3%)

24:00 (米) 2月 ISM非製造業景況指数 (1月 56.7、予想 57.3)
24:00 (米) 12月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (11月 65.7万件、予想 58.9万件)
24:35 (英) カーニー英中銀(BOE)総裁、上院で証言
28:00 (米) 1月 月次財政収支 (12月 -135億ドル、予想 30億ドル)
25:30 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁(FOMC投票権有)、講演

3/6(水)
07:10 (豪) ロウ豪中銀総裁、講演
09:30 (豪) 10-12月期GDP 前期比 (前期 0.3%、予想 0.5%)
09:30 (豪) 10-12月期GDP 前年同期比 (前期 2.8%、予想 2.7%)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 24.00%、予想 24.00%)
22:15 (米) 2月 ADP非農業部門就業者数 前月比 (1月 21.3万人、予想 19.0万人)
22:30 (米) 12月 貿易収支 (11月 -493億ドル、予想 -573億ドル)
26:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁(FOMC投票権有)討論会参加
26:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁(FOMC投票権有)、講演
28:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

オーダー/ポジション状況

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