ドル円見通し ややリスク選好で年初来高値更新(10/26)

2月26日未明への高値更新により、1月3日暴落後の上昇基調はまだ継続中となった。

ドル円見通し ややリスク選好で年初来高値更新(10/26)

【概況】

1月31日までの米連銀による利上げ棚上げ姿勢への転換見通しによるドル安がひとまず一巡したことで2月14日高値111.12円へ上昇した。2月14日夜の米小売統計が悪かったことでいったん110.25円まで下げ、その後は強弱材料が交錯して決め手に欠き、110円台後半での持合いが7日間続いた。
2月20日高値110.94円の後は戻り高値が切り下がり、23日朝には21日安値もわずかに割り込んだことで持ち合い下放れへ進みやすい状況にあったが、株高を背景に110.50円台を維持し、25日夜からの反騰で111.23円まで上昇、2月14日高値を上抜いて1月3日以降の高値を更新した。
米中協議への進展期待で株高が続いていたものの、ドル円はやや慎重姿勢が続いた。しかし株高継続に背中を押されて15日以降の持合い中高値を超えたことでテクニカル的な買い連鎖で勢いがついたようだ。
2月26日未明への高値更新により、1月3日暴落後の上昇基調はまだ継続中となった。

【米中協議進展を期待しつつ、重要イベント続きに入る】

米中協議への進展期待によりNYダウは22日から続伸、26241.42ドルまで高値を切り上げている。既に昨年10月3日天井からの大暴落=5239ドル安に対する半値、3分の1戻しを次々とクリアし、2月25日高値までのリバウンド幅は4529ドル、86%を戻している。12月への暴落もやや過剰反応だったかもしれないが、その後のV字反騰もリバウンドというよりも新たな大上昇の開始とさえ思わせる勢いとなっている。
米経済指標も欧州及び中国指標も景気鈍化、悪化傾向を示す中では反騰し過ぎという印象もあるが、それを支えているのは米中貿易戦争問題の解決期待だろう。

2月21日から22日の予定だったワシントンでの米中閣僚級協議が24日まで延長された。その後にトランプ大統領は米中通商協議で大きな進展があったとし、3月1日に予定されていた中国製品に対する関税引き上げを延期すると表明した。また協議が進展すれば中国の習近平国家主席と直接会談するとした。25日には「通商合意が実現しない可能性もあるが、かなり早期に実現する可能性もある。両国の関係は良好だ」と述べている。
トランプ大統領の行動パターンを見るとまだ土壇場での決裂という可能性も十分にあるが、昨年11月の中間選挙からの野党巻き返しもあって成果を急ぐ必要もある。今週は二度目の米朝首脳会談もあるが、朝鮮半島問題とともに米中貿易戦争問題においても米国有利な決着を以て成果を強調し、大統領選挙の再選へ向かいたいところだろう。しかし強硬姿勢が売り物でもあり、妥協的な解決や成果の乏しい内容だとかえって自身にはマイナスとなる。

今週はパウエル米連銀議長の議会証言(上下院での四半期金融政策報告)、米10-12月期GDP、米朝首脳会談と重要イベントも続く。3月1日の米債務上限期限切れもある。ブレクジット問題の混乱も継続し、米中協議も新たな協議期限や首脳会談日程が示されるまでは予断が許されない状況が続く。それらの数字、発言次第ではリスク選好性が一挙に拡大してドル円も株高同調で一段高へ走る可能性もあるが、逆にリスク回避感が再燃するようだと流れも一挙に変わりかねないところだ。
米中協議の期限は延長されたがまだその期日は明確にされていない。米中首脳会談も具体的な予定が出ていない。米朝首脳会談の成果も踏まえつつ、中国の全国人民代表大会=全人代の状況によって決まってくるのだろうと思われる。全人代常務委員会は2月29日、第13期全人代第2回会議は3月5日から北京で開催される。米中首脳会談はその後か。

【これまでの米中貿易戦争の経緯】

(1)2018年3月、中国などからの鉄鋼・アルミ製品に追加関税
(2)2018年7月、中国からの輸入品総額2500億ドル相当に制裁関税、中国が対抗措置で米国からの輸入品総額1100億ドル規模に関税
(3)2018年12月1日、米中首脳会談、2019年3月1日まで協議継続
(4)2019年1月〜2月、米中閣僚級協議(ワシントン、北京、ワシントン)
(5)2019年2月24日、トランプ大統領、交渉期限の延長表明

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月9日未明安値から4日半となる2月15日昼安値で直近のサイクルボトムを付けて上昇期に入っていたが、その後は伸び悩みの持ち合いが続いていた。2月14日高値から5日を経過したため25日朝時点では20日高値110.94円を直近のサイクルトップとして下向きの流れとした。
23日朝安値で21日深夜安値をわずかに割り込んだが25日夜の反騰で20日高値を超え、さらに14日高値も超えたため、21日深夜安値と23日朝安値をダブル底として強気サイクル入りしたと思われる。20日高値を基準として今回の高値形成期を26日未明高値を含めて27日にかけての間と仮定するが、上昇基調継続の場合は次のサイクルボトム形成の手前まで伸びる可能性があるので、110.75円を上回る内は高値試しを続けやすいとみる。110.75円割れからは弱気転換注意として23日朝安値110.56円試しとし、底割れからは弱気サイクル入りとして28日朝から3月4日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では25日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを突破した。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンを上回る内は一時的に遅行スパンが悪化してもその後の好転から上昇再開とみる。先行スパン転落からは下げ再開と仮定して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、110.75円を下値支持線、2月26日未明高値111.23円を上値抵抗線とする。
(2)110.75円を上回る内は高値更新余地ありとし、高値更新からは111.30円(10月からの下げ幅の3分の2戻し)、1月31日への下げ幅の倍返し111.48円試しとし、それらを超える場合は112円手前を目指すとみるが、111.30円以上は反落警戒圏とする。
(3)110.75円割れからは110.50円台への下落を想定する。110.56円割れ回避から110.85円超えへ戻すところからは上昇再開とするが、110.56円割れから続落なら27日から28日にかけての間も安値を試しやすくなるとみる。

【当面の主な予定】

2/26(火)
16:00 (独) 3月 GFK消費者信頼感 (2月 10.8、予想 10.8)
19:00 (英) カーニー英中銀(BOE)総裁、議会証言
22:30 (米) 12月 住宅着工件数・年率換算件数 (11月 125.6万件、予想 125.5万件)
22:30 (米) 12月 建設許可件数・年率換算件数 (11月 132.8万件、予想 129.3万件)
23:00 (米) 12月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (11月 4.7%、予想 4.5%)
24:00 (米) 2月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (1月 120.2、予想 125.0)
24:00 (米) 2月 リッチモンド連銀製造業指数 (1月 -2、予想 8)
24:00 (米) パウエル米連銀(FRB)議長、上院銀行委員会証言(半期金融政策報告)

2/27(水)
米朝首脳会談(ハノイ、28日まで)
06:45 (NZ) 1月 貿易収支 (12月 2.64億NZドル、予想 -3.00億NZドル)
17:00 (独) ワイトマン独連銀総裁、記者会見
19:00 (欧) 2月 経済信頼感 (1月 106.2、予想 106.0)
19:00 (欧) 2月 消費者信頼感確定値 (速報 -7.4、予想 -7.4)
24:00 (米) 1月 住宅販売保留指数 前月比 (12月 -2.2%、予想 -0.4%)
24:00 (米) 1月 住宅販売保留指数 前年同月比 (12月 -9.5%)
24:00 (米) 12月 製造業新規受注 前月比 (11月 -0.6%、予想 0.9%)
24:00 (米) パウエル米連銀(FRB)議長、金融サービス委員会証言(半期金融政策報告)

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