ドル円見通し 決め手欠き持ち合い、米指標弱い(2/22)

21日夜の米経済指標は総じて弱く、深夜以降は急落していた豪ドルも下げ渋っている。

ドル円見通し 決め手欠き持ち合い、米指標弱い(2/22)

【概況】

2月21日未明に米連銀FOMC議事録が公開されたが、「政策金利の誘導目標レンジを年内どのように調整するのが適切かまだ明確になっていないと多くの参加者が示唆した」、「経済が予想通りに展開した場合は年内の利上げが適切になると指摘する当局者も幾人かいた」とした。このため年内の利上げは棚上げされたと見ていた市場にとっては状況次第で利上げもあり得るとして楽観度合いを引き下げてドル高反応を見せた。しかし、追加利上げを急ごうというものではなく、当面は様子見を続けて保有資産の圧縮についても早期に終了するという1月31日のFOMC声明で示された内容が覆ったわけではなかったので、ドル買いも限定的だった。
21日の日中に豪ドルが急落したことや、中国人民銀行が預金準備率引き下げ余地があると示唆した事などから人民元が下落したこともドル高感をやや強めたが、ユーロ、ポンド、ドル円の動きは限定的なものだった。21日夜の米経済指標は総じて弱く、深夜以降は急落していた豪ドルも下げ渋っている。

【米景気減速感】

米調査会社コンファレンス・ボードが発表した1月の景気先行指数は111.3で前月比0.1%低下、市場予想の0.1%上昇を下回った。米不動産業者協会(NAR)が発表した1月の中古住宅販売件数は季節調整済み年換算で前月比1.2%減の494万戸となり、2か月連続で前月比マイナスであり、市場予想の0.8%増・500万戸を大きく下回って3年振りの低水準となった。
12月の米耐久財受注ではコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)受注が前月比0.7%減となり市場予想の0.2%増に反して落ち込んだ。貿易摩擦の影響とみられる。2月の米フィラデルフィア地区連銀景況指数はマイナス4.1となり1月の17.0から大幅に低下、予想の14.0を下回り2016年5月以来のマイナス圏となった。

昨年後半から景況感、住宅関連の指標悪化が目立つ。2月14日夜にドル円が反落したのも米小売統計が予想外に悪かったことがきっかけだった。米中貿易戦争問題が解決すれば市場の楽観ムードも拡大するかもしれないが、米中双方の成長に寄与する内容でなければ貿易戦争激化は回避されても米中景気後退感が再認識されてゆく可能性もある。米連銀にはまだ利上げを模索するメンバーもいるようだが、株高が続いても景気指標が悪化傾向を辿れば利上げ再開の確率も上がらないとだろう。米景気指標の悪化傾向はドル円にとっても上昇力を削ぐ要因だ。

【米中閣僚級協議】

米中両政府は米国時間21日午前からワシントンでの閣僚級協議を開始した。トランプ米大統領は合意の可能性が高まれば3月1日の交渉期限を延長する可能性を示唆している。21日には知的財産権や為替条項など6分野についての「覚書」を作成中とも報じられ、中国が米国産農産物購入を大幅に拡大する提案をしているとの報道もあった。22日にはトランプ大統領と劉副首相の会談も予定されている。
覚書が合意に至り、米中首脳会談実現へ進めば市場も楽観ムードに染まるかもしれないが、合意の内容にもよる。
ポンペオ米国務長官は安全保障上の懸念により米国は中国の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の製品を使用する国とパートナーシップを結ぶことも情報を共有することもできないとメディアのインタビューで述べている。米中対立は覇権争いでもあり、対立の溝も根深いことを踏まえ、協議不調ないしは内容に乏しい合意に留まる可能性についても警戒感を持っておきたい。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月9日未明安値から4日半となる2月15日昼安値で直近のサイクルボトムを付けて上昇期に入ったが、その後は伸び悩み、持ち合いが続いている。
2月14日高値からも5日を経過しているので、20日高値110.94円を直近のサイクルトップと仮定する。15日安値を基準とすれば22日の日中までがボトム形成期となるが、持ち合い下放れによる下落の場合は連続的な弱気サイクル入りとなる可能性もあるので、20日未明安値を基準として27日にかけての間へ下落期が延びる可能性に注意する。20日高値超えからは新たな強気サイクル入りとして25日から27日にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では持ち合いが続いているため遅行スパン及び先行スパンと実線の交錯が繰り返されている。両スパン悪化中は下向きとし、20日未明安値110.48円割れから持ち合い下放れへ進む可能性が高まるとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。20日高値超えからは上昇再開として遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月20日未明安値110.48円を下値支持線、2月20日夕高値110.94円を上値抵抗線とする。
(2)20日高値を上抜けない内は20日未明安値割れから15日安値110.25円試しとし、安値更新からは109.70円台から109.50円台への下落を想定する。また110.50円以下での推移が続く内は週明けも安値を試しやすいとみる。
(3)20日高値110.94円超えからは2月14日高値111.12円試しとし、高値更新の場合は111円台中盤まで上値目処を引き上げる。また110.75円以上での推移が続く場合は週明けも高値を試しやすいとみる。

【当面の主な予定】

2/22(金)
16:00 (独) 10-12月期GDP改定値 前期比 (速報 0.0%、予想 0.0%)
16:00 (独) 10-12月期GDP改定値 前年同期比 (速報 0.9%、予想 0.9%)
18:00 (独) 2月 IFO景況指数 (1月 99.1、予想 99.0)
19:00 (欧) 1月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 1.1%、予想 1.1%)
19:00 (欧) 1月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 1.4%、予想 1.4%)
24:30 (欧) ドラギ欧州中銀(ECB)総裁発言

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