ドル円見通し ジリ高、FOMC議事録反応鈍い(2/21)

2月21日未明にはFOMCの議事録公開があったが、ドル円は小動きに止まり、ジリ高基調を維持しつつも20日の日中高値を上抜けていない。

ドル円見通し ジリ高、FOMC議事録反応鈍い(2/21)

【概況】

1月31日の米連銀FOMCでの追加利上げ棚上げ姿勢と保有資産圧縮計画の早期切り上げ示唆によりドル円は31日夜安値108.50円まで下げたが、その後は当面のドル売り材料消化として上昇に転じ、2月14日には111.12円まで高値を切り上げた。ユーロ安やポンド安、豪ドルやNZドルが下げたことでドルが相対的に押し上げられたことが背景だったが、2月14日夜の米小売統計が弱かったことでドル高が一服、先週末の15日には110.25円まで下げた。
15日以降は米中通商協議進展への期待からリスクオン心理が回復してドルストレートではドル安となる一方、クロス円の円安がやや勝ったためにドル円は15日安値からジリ高基調で110円台後半へ戻してきた。
2月21日未明にはFOMCの議事録公開があったが、目新しい材料に欠けたことと一部では利上げ主張もあったことで議事録公開後はドル高反応が見られたが、ドル円は小動きに止まり、ジリ高基調を維持しつつも20日の日中高値を上抜けていない。

【FOMC議事録要旨】

・ 多数の参加者、年内の適切な金利水準は不確実
・ 複数の参加者、年内の利上げは適切
・ 多数の参加者、インフレ圧力が昨年からより落ち着いた
・ 複数の参加者、インフレ上振れリスクが下振れより後退した
・ 複数の参加者、3カ月毎に公表している経済・金利見通しは現在の不透明感が増した環境では参加者の正確な政策見通しを反映しない
・ 参加者、景気見通しは昨年12月会合以降より不透明と指摘
・ 参加者、現行金利の維持は現時点でほとんどリスクない
・ 参加者、景気拡大の継続が最も可能性が高い
・ 参加者、MBSの満期分を米国債に再投資することが適切
・ ほぼ全参加者、年内に保有資産圧縮策の終了発表が適切
・ 保有資産、必要な規模を幾分上回る公算が大きい
・ 中国と欧州経済の減速、貿易摩擦、英EU離脱などのリスク増大

昨年12月会合から今年1月末会合へ、FOMC参加者の認識が大きく変わり、昨年末時点で「2019年2回、2020年1回の追加利上げ」「保有資産圧縮ペースの維持」という引き締め継続姿勢から「当面の追加利上げを棚上げで忍耐強く情勢を見定める」「保有資産圧縮は早期に切り上げる」という姿勢へ変わった。10月2日から12月26日まで続いた株式市場の暴落や米中問題、政府機関閉鎖等の混乱、ブレクジット問題、世界全般の景気減速観測等が参加者の楽観論を後退させたと思われる。トランプ大統領による利上げ批判に対してパウエル議長は影響無いと言っているが、影響もあったであろうし、大統領に近いメンバーも増えてきていることも影響していると思われる。

米連銀の引き締め姿勢の鈍化については、年内の利上げ可能性はほぼゼロになったという見方から1月31日へのドル安を発生させたが、FOMC通過によりその材料はいったん消化された。ドル円としては既にFOMC前に110円を壁としていたところから一段高している。今回の議事録公開もサプライズは無かったが、一部に利上げを主張する者がいること、各種先行き不透明感がリスクとして認識されていることが示されたのはややドル高要因と受け止められること、FOMCのリスク警戒感が市場にもリスク警戒感を再認識させるという側面ではクロス円での円高に寄与する可能性がある。
ただ、市場にとっては当面する重要問題は米中協議が合意へ進めるのかどうかであり、議事録公開から気持ちも切り替わっていると思われる。21日から22日へ米中閣僚級協議があり、その進展状況によっては3月1日の協議期限の延長、米中首脳会談実現の可能性が浮上する。逆に決裂だと市場の失望感もかなり大きくなり、リスク回避的な市場反応が巻き起こるだろうと懸念される。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月9日未明安値から4日半となる2月15日昼安値で直近のサイクルボトムを付けて上昇期に入った。今回の高値形成期は2月14日昼高値を基準として2月19日から21日にかけての間と想定してきたが、15日昼安値の後は19日昼、20日未明、21日未明と安値が切り上がりジリ高基調となっている。高値は20日夕刻に110.94円まで切り上げたが、その後は新たな高値更新へ進めずにいる。また前回サイクルトップの14日高値から5日目、ボトムの15日安値から4日目に入っている。
2月20日高値110.94円を上抜く場合は20日未明安値ないしは直前安値をサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして25日から27日にかけての間への上昇を想定する。20日未明安値110.48円割れからは20日夕高値ないしは直前高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして21日の日中から22日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では先行スパンを上抜いた状況を維持しているが、ジリ高に止まっているため遅行スパンは悪化しやすくなっている。110.44円割れからは弱気サイクル入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、20日夕高値110.94円超えからは両スパン揃っての好転となるため遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は19日から20日への高値切り上げ期に指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せているので15日からのジリ高基調から転落しやすいと注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月19日昼安値110.44円を下値支持線、2月20日夕高値110.94円を上値抵抗線とする。
(2)19日昼安値割れ回避のうちは110.94円超えから2月14日高値111.12円試しへ向かうとみる。高値更新の場合は111円台中盤まで上値目処を引き上げる。また110.75円以上での推移が続く内は22日も高値を試しやすいとみる。
(3)110.44円割れからは2月15日からのジリ高終了による下げ再開としてまず2月15日安値110.25円試しとし、2月15日安値割れからは109.70円台から110.50円前後にかけての間への下落を想定する。

【当面の主な予定】

2/21(木)
09:30 (豪) 1月 新規雇用者数 (12月 2.16万人、予想 1.50万人)
09:30 (豪) 1月 失業率 (12月 5.0%、予想 5.0%)
16:00 (独) 1月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 -0.8%、予想 -0.8%)
16:00 (独) 1月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 1.4%、予想 1.4%)
17:30 (独) 2月 製造業PMI (1月 49.7、予想 49.7)
17:30 (独) 2月 サービス業PMI (1月 53.0、予想 52.9)
18:00 (欧) 2月 製造業PMI(1月 50.5、予想 50.3)
18:00 (欧) 2月 サービス業PMI (1月 51.2、予想 51.4)

21:30 (欧) 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨
22:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 23.9万件、予想 22.9)
22:30 (米) 2月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (1月 17.0、予想 14.0)
22:30 (米) 12月 耐久財受注 前月比 (11月 0.7%、予想 1.5%)
22:30 (米) 12月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (11月 -0.4%、予想 0.3%)
24:00 (米) 1月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (12月 499万件、予想 500万件)
24:00 (米) 1月 景気先行指数 前月比 (12月 -0.1%、予想 0.1%)

2/22(金)
08:30 (日) 1月 全国消費者物価指数 前年同月比 (12月 0.3%、予想 0.2%)
08:30 (日) 1月 全国消費者物価指数・生鮮食料品除く 前年同月比 (12月 0.7%、予想 0.8%)
08:30 (日) 1月 全国消費者物価指数・生鮮食料品・エネルギー除く前年同月比 (12月0.3%、予想0.2%)
16:00 (独) 10-12月期GDP改定値 前期比 (速報 0.0%、予想 0.0%)
16:00 (独) 10-12月期GDP改定値 前年同期比 (速報 0.9%、予想 0.9%)
18:00 (独) 2月 IFO景況指数 (1月 99.1、予想 99.0)
19:00 (欧) 1月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 1.1%、予想 1.1%)
19:00 (欧) 1月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 1.4%、予想 1.4%)
24:30 (欧) ドラギ欧州中銀(ECB)総裁発言

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