ドル円 3分の2弱戻し、NYダウ程に戻せず(2/19)

ドル円は15日安値の後は下げ渋ったものの積極的な上昇感を出し切れずにほぼ横ばいでの推移を続けている。

ドル円 3分の2弱戻し、NYダウ程に戻せず(2/19)

【概況】

2月18日はワシントン生誕祭によりNY市場は休場だった。
1月31日の米FOMCにて当面の追加利上げが棚上げされる姿勢が示されたところまでドル安が進んだが、その後は当面のドル売り材料消化として2月15日夜までドル高が進んだ。ユーロドルでは1月31日高値1.1514ドルから2月15日安値1.1234ドルまで凡そ2.5%の下落。英ポンドは1月26日高値1.32163ドルから2月14日深夜安値1.27725ドルまでおよそ3.4%の下落だった。欧州及び中国の景気指標の悪化傾向が米中通商協議に対する不調警戒とも重なり、ドルが相対的に押し上げられた結果であった。
この間のドル円は1月21日夜安値108.50円から2月14日高値111.12円までおよそ2.4%の上昇であり、円が安いというよりもドルが相対的に強かったことに対して同調高したという状況だった。しかし2月14日の米小売統計が予想外に悪かったことで相対的なドル高が一巡したためにドル円も反落した。

2月15日は習近平中国国家主席も交えた米中閣僚級協議において19日以降にワシントンで継続協議されることが決まり、トランプ大統領が3月1日の交渉期限を延長させて合意を目指す姿勢を示したため、リスクオン心理拡大によりNYダウが大幅上昇した。株高債券売りで米長期債利回りは上昇しやすい状況にあるが米連銀の利上げ棚上げ姿勢により上値が抑えられている。一方で為替市場ではリスクオンによる投機通貨買い心理が勝る流れとなってユーロやポンド、豪ドル等が15日に反騰、18日も続伸した。しかしドル円は15日安値の後は下げ渋ったものの積極的な上昇感を出し切れずにほぼ横ばいでの推移を続けている。

【NYダウのV字反騰率は8割、ドル円は6割】

NYダウは昨年10月3日に26951ドルで天井を付けて12月26日安値21712ドルまで5239ドル安の暴落的な下げとなったが、その後は強烈なV字反騰を継続し、2月15日時点では12月底から4171ドル高の反騰幅となり、リバウンド率は79.6%に達した。まだ10月天井を超えたわけではないが、暴落後のリバウンドというレベルを超えて新たな大上昇の開始とさえ思わせる上昇ぶりだ。
その一方で日経平均は10月2日天井24448円から12月26日安値18948円まで5500円安の暴落となり、その後はNYダウ反騰に同調して2月18日時点では21306円まで2358円高の戻しを入れた。リバウンド率は42.9%でありまだ半値戻しにも届いていない。NYダウがやや過剰な楽観的上昇という見方もできるが、日経平均にはそれだけの自力性が乏しいこと、政府統計への疑念等により戦後最長の景気拡大といわれても実感に乏しいことが投資家を委縮させているのかもしれない。

ドル円は日米株価の暴落とほぼ同調して昨年10月4日天井から下げた。日米株が12月26日に底打ちしたのに対してドル円は年明けもさらに暴落して1月3日に104.82円の安値を付け、下落幅は9.72円まで拡大したが、その後の反発は2月14日高値111.12円まで6.30円の上昇で、リバウンド率は64.8%である。NYダウと日経平均のリバウンド率の平均値61.2%に近いところだ。

日米株の12月26日から1月までの反騰は直前の暴落が過剰だったことに対する自律的な反発の範囲といえる。ドル円も同様で1月後半に110円手前まで戻したところは自律反発の範囲だろう。株高が継続し、米連銀の利上げ棚上げ問題が短期的に材料消化となり、米中協議進展期待が加わったことでリスクオン心理の上乗せとなって2月は続伸したといえるが、日経平均の5割弱戻し、ドル円の6割戻しと比較してNYダウが過剰な反騰で10月天井に迫るところまで戻したことは、反騰に対する高値警戒感から今後は上値が重くなり、ネガティブ報道に反応しやすくなる時期ではないかと注意したいところだ。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月9日未明安値から4日半となる2月15日昼安値で直近のサイクルボトムを付けたと思われる。14日昼高値を基準として今回の高値形成期は19日から21日にかけての間と想定されるので、110.70円を超えて続伸するようならサイクルトップ形成への上昇継続感が強まると思われるが、15日昼安値以降はややジリ高程度の横ばいに留まっているので、110.50円以下での推移が続き始める場合は弱気転換注意となり、15日安値110.25円割れからは新たな弱気サイクル入りにより次の安値形成期となる20日から22日にかけての間への下落へ進みやすくなると思われる。

60分足の一目均衡表では15日からのジリ高により遅行スパンが好転、先行スパンへもぐり込んでいる。110.70円超えから先行スパン突破となるため14日高値試しへの上昇が想定されるが、110.50円割れからは両スパンそろって悪化し始めるために弱気転換注意とし、15日安値割れから新たな弱気サイクル入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先と考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、15日安値110.25円を下値支持線、110.70円を上値抵抗線とする。
(2)15日安値割れ回避のうちは110.70円超えから111円前後試しへ向かうとみるが、新たな押し上げ材料が見られない場合は14日高値111.12円超えへ進めずに失速しやすいと注意する。
(3)110.50円割れからは15日安値110.25円試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りによりまず109.70円台、20日から22日にかけての間へ下落継続の場合は2月14日高値から15日安値への下げ幅の二倍値で109.38円前後を目指すとみる。

【当面の主な予定】

2/19(火)
09:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)、金融政策会合議事要旨
18:00 (欧) 12月 経常収支・季調済 (11月 203億ユーロ)
18:00 (欧) 12月 経常収支・季調前 (11月 232億ユーロ)
18:30 (英) 12月 失業率・ILO方式 (11月 4.0%、予想 4.0%)
19:00 (独) 2月 ZEW景況期待指数 (1月 -15.0、予想 -14.0)
22:50 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁(FOMC投票権有)、講演
24:00 (米) 2月 NAHB住宅市場指数(1月 58、予想 59)
24:00 (欧) プラートECB理事、講演

2/20(水)
06:45 (NZ) 10-12月期生産者物価指数 前期比 (前期 1.5%)
08:50 (日) 1月 通関ベース貿易収支・季調前 (12月 -553億円、予想 -1兆295億円)
08:50 (日) 1月 通関ベース貿易収支・季調済 (12月 -1836億円、予想 1711億円)
16:00 (独) 1月 生産者物価指数 前月比 (12月 -0.4%、予想 -0.2%)
16:00 (欧) プラートECB理事、講演
24:00 (欧) 2月 消費者信頼感 (1月 -7.9、予想 -7.7)
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨

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