ドル円 ドル高緩むも株高支えに一段高維持(2/13)

米連邦予算についての米上下院原則合意に対してトランプ大統領は「十分ではない」としつつ12日中に会合を開き合意の内容について検討するとした。

ドル円 ドル高緩むも株高支えに一段高維持(2/13)

ドル円 ドル高緩むも株高支えに一段高維持(

【概況】

1月後半は110円台に到達できず、1月31日の米FOMCで利上げ棚上げへ金融政策姿勢が変更されたことで31日深夜安値108.50円まで下げたが、2月1日夜の米雇用統計が強かったことをきっかけとしてドル高がぶり返した流れに乗って2月4日深夜に110.15円を付けて1月23日高値109.99円を突破、110円台に到達した。その後はユーロやポンドなどの下落によりドル高基調が続いたものの米中協議不調への懸念等のリスク要因もあって強弱バランスが均衡したために9日の日中までは110円台を維持しきれずに109円台後半での持ち合いが続いていた。
ドル高が一段と進む中で株安も落ち着いたために2月11日夜には2月4日深夜高値を超える一段高となり、12日昼過ぎには110.64円まで高値を切り上げた。

米連邦暫定予算期限切れが2月15日に迫る中で米上下両院は12日に国境警備予算も含めて原則合意に達して政府機関再閉鎖懸念が後退した。またトランプ大統領が3月1日に期限切れとなる米中通商協議について期限延長の可能性を示唆したことで金融市場全般が楽観ムードを回復し、米株高米債券安、米長期債利回り低下とドル安となった。株高とリスクオン心理がドル円を支える一方、ドル指数が9日ぶりに下落したことで売り圧力もかかったためにドル円は12日昼過ぎ高値の後は伸びず、深夜に110.34円まで下げる場面もあったが株高を支えにしっかりして2月4日高値を超えた一段高状態を維持している。

【リスク回避感後退でドル反落するも株高が支える】

米連邦予算についての米上下院原則合意に対してトランプ大統領は「十分ではない」としつつ12日中に会合を開き合意の内容について検討するとした。大統領と議会の対立は続くと思われるが政府機関再閉鎖懸念は大きく後退した。米メディアによると米与野党の合意では国境の壁建設費を予算計上したものの、金額はトランプ大統領が要求する57億ドルを大幅に下回る13億7500万ドルとされた。トランプ大統領は不満を表明しつつも政府機関再閉鎖はないとも述べている。予算案に署名すれば2月15日に期限切れとなる暫定予算失効に伴う政府閉鎖は回避される。

トランプ米大統領は米中通商協議が合意に近いなら3月1日の対中関税引き上げ期限の延期を否定しないと述べた。2月11日から米中次官級協議が北京で開催されており、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表やムニューシン財務長官と中国の劉鶴副首相が14日から2日間の日程で閣僚級協議を行う予定となっている。合意形成の確率が高まれば関税発動猶予期限の延長、米中首脳会談実現の可能性浮上により市場の楽観ムードが拡大する可能性がある。その際にリスクオンとして投機通貨が買われてドル安となればドル円には売り圧力だが、クロス円全般が円安へ舵を切ればドル円も大崩れせずに高値圏を維持し、株高と同調して上昇する可能性がある。

2月12日にパウエル米連銀議長の講演があったが金融政策姿勢についての言及はなく、市場も特に反応していない。議長は「全米水準でのデータには力強い経済が示されている」「失業率は約半世紀ぶり低水準に近く経済生産は着実なペースで拡大している」等と述べた一方、「多くの農村部を含め一部地域ではそうした豊かさがそれほど感じられていないことを我々は認識している」とも述べている。
米クリーブランド連銀のメスター総裁(FOMC投票権なし)は12日の講演で「今年の成長率は昨年よりも鈍化するものの米経済は非常に良好だ」とし、インフレ率は2%近くでの推移が続くと述べた。また2017年10月から始まった保有資産圧縮については議論が進み今後取りまとめられるとし、「金融危機以前よりも保有資産の規模が膨らむ」と述べている。1月31日の米FOMCでは追加利上げを当面棚上げする姿勢と保有資産圧縮計画の早期切り上げの可能性を示唆したが、その流れに沿った発言と思われる。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

1月31日夜安値から2月4日深夜へ上昇し、その後はほぼ1週間の横ばいだったが11日夜の一段高により31日からの上昇は二段上げ型へ発展した。13日朝時点も一段高状態が維持されている。
2月4日深夜高値から6日安値までの下げ幅0.62円を4日深夜に加算すれば倍返しの上値計算値は110.77円となる。31日から4日への上昇幅を6日安値に加算してN字型二段上げと仮定すれば上値計算値は111.18円となる。また1月23日高値から31日安値までの下げ幅の倍返しなら111.48円。昨年10月4日から12月前半までの三角持ち合い中の安値は10月26日の111.37円であり、10月26日安値を割り込んだところから年末年始の暴落商状が発生しているので10月26日安値がさらに一段高した場合の強固な上値抵抗となってくると思われる。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは2月4日深夜高値からの横ばい持ち合いから上放れしたため、持ち合い後半の2月7日夜安値ないしは終点の2月9日朝安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りが考えられる。また2月6日安値から4日目となる2月12日夜を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りの可能性も検討される。いずれにしても110円台を維持するうちは高値試しを続けやすいところとみる。

60分足の一目均衡表では11日の上昇で先行スパンを突破した。12日高値の後は新たな高値更新へ進めていないために遅行スパンは実線と交錯しやすいが、12日高値超えからは好転継続となるので高値試しを続けやすいとみる。先行スパンへもぐり込み始める場合はその下限を試すとみるが、先行スパン帯は買い支えられやすいとみて、いったん潜り込んだ後に再び突破するところからは上昇再開とみる。

60分足の相対力指数は11日から12日にかけての高値更新時に弱気逆行したが、12日夜も50ポイント台を維持しているため上昇トレンド内での推移と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12日夜安値110.34円を支持線、12日昼高値110.64円を抵抗線とみておく。
(2)110.34円を上回るうちは11.64円超えから111円台乗せを目指すとみる。110.70円台及び111円到達時ではいったん戻り売り圧力もかかりやすいとみるが、110.34円を上回るうちは上昇継続性を優先する。
(3)110.34円割れの場合は110.20円から110.00円にかけての下落を想定するが、その後の110.50円超えからは上昇再開とみる。ただし、110円割れへ急落商状が発生する場合は1月31日からの上昇基調がストップして流れが変わる可能性を警戒する。(了)<9:35執筆>

【当面の主な予定】

2/13(水)
10:00 (NZ) ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利 (現行 1.75%、予想 1.75%)
18:30 (英) 1月 消費者物価指数 前月比 (12月 0.2%、予想 -0.7%)
18:30 (英) 1月 消費者物価指数 前年同月比 (12月 2.1%、予想 2.0%)
18:30 (英) 1月 消費者物価コア指数 前年同月比 (12月 1.9%、予想 1.9%)
18:30 (英) 1月 小売物価指数 前月比 (12月 0.4%、予想 -0.8%)
18:30 (英) 1月 小売物価指数 前年同月比 (12月 2.7%、予想 2.6%)
18:30 (英) 1月 生産者物価コア指数 前年同月比 (12月 2.5%、予想 2.3%)
19:00 (欧) 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 -1.7%、予想 -0.4%)
19:00 (欧) 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 -3.3%、予想 -3.3%)

22:30 (米) 1月 消費者物価指数 前月比 (12月 -0.1%、予想 0.1%)
22:30 (米) 1月 消費者物価指数 前年同月比 (12月 1.9%、予想 1.5%)
22:30 (米) 1月 消費者物価コア指数 前月比 (12月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 1月 消費者物価コア指数 前年同月比 (12月 2.2%、予想 2.1%)
22:50 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁(FOMC投票権有)、講演
22:50 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁(FOMC投票権有)、講演
26:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
28:00 (米) 12月 月次財政収支 (11月 -2050億ドル、予想 -110億ドル)


2/14(木)
未 定 (中) 1月 貿易収支・米ドル (12月 570.6億ドル、予想 320.0億ドル)
未 定 (中) 1月 貿易収支・人民元 (12月 3949.9億元、予想 2359.5億元)
08:50 (日) 10-12月期GDP速報値 前期比 (前期 -0.6%、予想 0.4%)
08:50 (日) 10-12月期GDP速報値 年率換算 (前期 -2.5%、予想 1.4%)
16:00 (独) 10-12月期GDP速報値 前期比 (前期 -0.2%、予想 0.1%)
16:00 (独) 10-12月期GDP速報値 前年同期比 (前期 1.1%、予想 0.8%)
16:00 (独) 10-12月期GDP速報値 季調前 前年同期比 (前期 1.1%、予想 0.8%)
19:00 (欧) 10-12月期GDP改定値 前期比 (速報 0.2%、予想 0.2%)

19:00 (欧) 10-12月期GDP改定値 前年同期比 (速報 1.2%、予想 1.2%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.4万件、予想 22.5)
22:30 (米) 1月 生産者物価指数 前月比 (12月 -0.2%、予想 0.1%)
22:30 (米) 1月 生産者物価指数 前年同月比 (12月 2.5%、予想 2.1%)
22:30 (米) 1月 生産者物価コア指数 前月比 (12月 -0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) 1月 生産者物価コア指数 前年同月比 (12月 2.7%、予想 2.5%)
22:30 (米) 12月 小売売上高 前月比 (11月 0.2%、予想 0.1%)
22:30 (米) 12月 小売売上高・除自動車 前月比 (11月 0.2%、予想 0.0%)
24:00 (米) 11月 企業在庫 前月比 (10月 0.6%、予想 0.3%)
25:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演

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