ドル円 110円突破で二段戻し型に発展か(2/5)

週明け4日は株高と米長期債利回り上昇継続から続伸となり、深夜高値で110.15円をつけて110円の壁を突破した。

ドル円 110円突破で二段戻し型に発展か(2/5)

【概況】

1月3日の大暴落から出直ってきたが、1月19日高値109.88円の後は1月23日深夜109.99円などで110円の壁を超えられず、下値は23日未明と29日午前に109.13円の同値をつけて持ち合いを形成していた。株高が下支えだったが米連銀の利上げ姿勢後退感や米政府機関閉鎖問題、トランプ選対の元顧問逮捕等のリスク要因もあって上値が抑えられていた。1月25日からはドル安感が強まって下落基調となり、31日未明のFOMCでの利上げ棚上げ姿勢から売られて持ち合いを下放れ、31日夜には108.50円まで続落した。この段階では110円を壁として戻りが一巡し、下げ再開に入る可能性が高まっていた。

2月1日夜の米雇用統計で非農業部門就業者数が予想の16.5万人増に対してほぼ倍の30.4万人増となったことで株高リスクオンが加速、株高債券売りによる米長期債最利回り上昇もあってドル円は反騰に転じた。
2月1日深夜高値で109.57円をつけたところは1月25日深夜高値と30日深夜高値を結ぶ高値切り下がりラインに抑えられていたが、週明け4日は株高と米長期債利回り上昇継続から続伸となり、深夜高値で110.15円をつけて110円の壁を突破した。
ユーロやポンド、豪ドル等の動きと比較するとドル円の上昇が目立っており、違和感もあるところだが、110円突破により1月3日からの上昇は1月23日高値109.99円までの単発上昇ではなく、二段戻し型に発展した。

【1月3日からの二段戻し】

60分足レベルで見れば、1月19日以降の110円手前でのフラットな抵抗線と、1月23日未明から31日深夜への安値切り下がりの支持線により逆三角形の持ち合いを形成し、4日夜の上昇でこの持合いを上放れしたことになる。持ち合い中の下げ幅の倍返しならV計算値は111.48円と計測される。
日足レベルでは1月23日高値を超えたことによる二段上昇型となったが、一段目は10月4日天井からの下げ幅に対する半値戻し109.68円、チャート上の節目である昨年8月21日安値109.77円等の110円手前にあった壁を超えたことになる。半値戻しを超えたその上としては3分の2戻しとして111.30円等を試す可能性が出てきたと思われる。
二段上げ型に発展したことにより、中勢レベルの弱気転換には一段目の上昇後につけた1月31日安値108.50円を割り込む必要があり、上回る内は高値更新余地ありとみる。

【株高による円安助長が続くか?】

米連銀が1月31日未明のFOMCで追加利上げを当面棚上げする姿勢へとシフトしたことにより、米長期金利の上昇は抑えられやすくなる。株高なら債券売りで米長期債利回りは上昇しやすいとしてもその上昇も限定的と思われるので金利面でのドル円上昇期待には慎重になるべきところと思う。
株高によるリスクオン心理からの円安は、株高が継続すれば今後も続く可能性がある。日経平均の上昇は控えめだが、NYダウは12月26日からのV字反騰が続いており、安値から2月4日高値までが3527ドル高、10月からの暴落幅5239ドルに対して67%の戻りとなっている。暴落に対する反動高としては勢いが続きすぎており、上昇規模は2017年11月底から2018年1月天井へ2か月強で3382ドル高となった時よりも鋭角的な上昇となっている。

米中問題が首脳会談実現から和解に入り、米政府機関閉鎖問題(1月25日の暫定予算で3週間再開中)が解決し、3月1日に迫る米債務上限問題がクリアされ、昨年後半から低調だった米経済指標等が好転してくれば株式市場の楽観主義が全開してドル円もそれに乗じて大幅高へ進む可能性もあるかもしれない。しかし、それらの問題がリスク拡大としてネガティブ連鎖に入ればドル円のリバウンドはその土台を失う。まだ紆余曲折もあるとし、二段戻しと言っても早々に挫折する可能性も抱えていると注意すべきところかもしれない。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月31日未明の急落で29日午前安値を割り込んだために31日朝時点では底割れによる弱気サイクル入りとして2月1日の日中から5日にかけての間への下落を想定していた。31日深夜安値からの反発では底打ちに日柄が浅いとみていたが、4日深夜への上昇で30日深夜高値を超えたため31日深夜安値を短縮されたサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。30日深夜高値を起点として今回の高値形成期を4日深夜から6日深夜にかけての間と想定する。既にトップアウト注意期にあるが、109.50円を上回る内は上昇余地ありとみる。109.70円割れを弱気転換注意とし、109.50円割れからは新たな弱気サイクル入りとして5日深夜から7日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では31日深夜安値からの反発で遅行スパンが好転し、1日深夜の上昇で先行スパンを突破した。5日午前時点でも両スパン好転が続いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。一時的に遅行スパンが悪化しても109.70円以上での推移中はその後の遅行スパン好転から上昇再開しやすいとみるが、109.70円割れを伴う遅行スパン悪化からは下げ再開を警戒する。

60分足の相対力指数は4日深夜への上昇で80ポイント台後半へ上昇した。かなりの買われ過ぎと思われるので、60ポイント割れの状況が続き始める場合は40ポイント前後への低下を伴う下落に注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.70円を下値支持線、4日深夜高値110.15円を上値抵抗線とみておく。
(2)109.70円を割り込まない内は高値更新余地ありとし、110.15円超えからは110.50円前後を目指すとみる。110.50円以上は反落注意だが、110円台維持の内は6日の日中も高値を試す可能性ありとみる。
(3)109.70円割れからは下げ再開の可能性を優先して109.50円試しとし、109.50円割れからは弱気サイクル入りとして109円試しへ向かうとみる。また109.50円以下での推移が続き始める場合は6日の日中へ続落しやすいとみる。

【当面の主な予定】

2/5(火)
休 場 (中) 旧正月
休 場 (香) 旧正月
休 場 (SG) 旧正月
12:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)政策金利 (現行 1.50%、予想 1.50%)
17:55 (独) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 53.1、予想 53.1)
18:00 (欧) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 50.8、予想 50.8)
18:30 (英) 1月 サービス業PMI (12月 51.2、予想 51.0)
19:00 (欧) 12月 小売売上高 前月比 (11月 0.6%、予想 -1.6%)
19:00 (欧) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 1.1%、予想 0.5%)
24:00 (米) 1月 ISM非製造業景況指数 (12月 57.6、予想 57.5)

2/6(水)
休 場 (中) 旧正月
休 場 (香) 旧正月
休 場 (SG) 旧正月
休 場 (NZ) ワイタンギ条約記念日
未 定 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)1日目
10:30 (豪) ロウ豪中銀総裁講演
16:00 (独) 12月 製造業新規受注 前月比 (11月 -1.0%、予想 0.3%)
16:00 (独) 12月 製造業新規受注 前年同月比 (11月 -4.3%、予想 -6.7%)
22:30 (米) 10-12月期 単位労働コスト 前期比年率 (前期 0.9%、予想 1.7%)
22:30 (米) 10-12月期 非農業部門労働生産性 前期比 (前期 2.3%、予想 1.7%)
22:30 (米) 11月 貿易収支 (10月 -555億ドル、予想 -540億ドル)

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