ドル円109円台転落から戻して仕切り直し(2月第1週)

米労働省が2月1日夜に発表した1月の雇用統計では非農業部門就業者数が前月比30万4000人増となり市場予想の16万5000人増を大幅に上回った。

ドル円109円台転落から戻して仕切り直し(2月第1週)

ドル円109円台転落から戻して仕切り直し

【概況】

1月3日への暴落的な下げ一服によるリバウンドで1月19日には109.88円まで戻した。この日の高値を含み1月23日深夜高値109.99円、25日夜高値109.94円、1月30日夜高値109.73円と四度の110円試しは失敗しつつ109円台での持ち合いが続いていた。
1月31日未明のFOMCをきっかけとして持ち合いから転落、31日夜には108.50円の安値を付けたが、2月1日の米雇用統計をきっかけに反発、ISM製造業景況指数やミシガン大消費者信頼感指数確報値が予想を上回ったこともドル高に寄与し、2日未明には109.57円まで戻したところで週を終えた。

【FOMCで下げ雇用統計で戻す】

1月31日未明のFOMCでは金融政策を現状維持としたが、12月会合で示した「いくらかの緩やかな利上げ」と「先行きのリスクはおおむね均衡」との表現を削除し、利上げに対して「忍耐強く」と姿勢を変更した。またバランスシートを毎月500億ドルのぺースで縮小する方針は維持したが将来的にペースを変更する用意があるとし、利上げの棚上げや資産圧縮の早期切り上げの可能性が高まったと市場は受け止めてドル安が進んだ。

米労働省が2月1日夜に発表した1月の雇用統計では非農業部門就業者数が前月比30万4000人増となり市場予想の16万5000人増を大幅に上回った。労働省は今回の統計に昨年12月から1か月強続いた政府閉鎖で自宅待機となった連邦政府職員は失業者として集計し、就業者数や平均時給及び平均労働時間などの部門には反映させかったとした。非農業部門就業者数のうち民間部門は29万6000人増だった。
統計の取り方により失業率は一時的要因により悪化したことになったが、就業者数は市場予想のほぼ倍となる堅調な伸びを示す結果となった。平均時給は前年同月比3.2%増となり前月の3.3%からわずかに鈍化したが6か月連続で3%台を維持した。

雇用統計発表直後は非農業部門就業者数の大幅増による景気の強さを反映してNYダウは上昇したが前日比64.22ドル高にとどまり、ナスダック総合指数は17.87ポイント安と下げた。米10年債利回りは2.69%へ上昇したが、ユーロやポンドなどの反応は鈍くドル円の上昇がやや目立つ状況だった。
米雇用統計よりも、その後の景況指数改善がドル円を押し上げた印象もある。米サプライ管理協会(ISM)が発表した1月の米製造業景況指数が56.6となり12月の54.3から上昇して市場予想の54.2を上回った。米ミシガン大の1月消費者信頼感確報値は91.2となり速報値の90.7から上方修正された。
米短期金利先物市場で見られる年内の利下げ確率はFOMC直後にはほぼゼロ%だったものが雇用統計直後に33%へ上昇、終盤は20%へ低下したようだ。

【米連銀の利上げ見送り感は継続、次のテーマへ】

FOMCは利上げ判断や保有資産圧縮計画の早期引き上げについて当面は検討を継続してゆくと思われる。2月1日に米セントルイス連銀のブラード総裁(FOMC投票権有)はCNBCのインタビューで「現在の米金利は好ましい水準にある」、米連銀の「忍耐強い姿勢に満足している」と述べている。
ダラス連銀のカプラン総裁(FOMC投票権無)は米連銀が政策金利を「数週間ではなく数カ月間」維持して情勢を見定める姿勢との見解をロイター通信社に述べている。
米雇用統計の就業者数の伸びはサプライズではあるが、31日未明のFOMCで示された姿勢を覆すほどのものではないだろう。米連銀が当面は利上げを見送りハト派姿勢を示し続ければ株式市場にとってはリスクオン心理を助長してプラス効果となり、日米の株高が続けばドル円にとっても上昇へ向かいやすい環境にはなるだろう。しかし、10月に世界連鎖株安を発生させたネガティブ要因が解消されたわけではない。

米連銀の利上げ姿勢緩和や米雇用統計反応はひとまず市場に織り込まれ、次は米中貿易協議が首脳会談を経て合意に至るかどうか、3週間の再開後も米政府機関が閉鎖されずに済むのか、大統領が非常事態宣言を出す事態になるのか、3月1日に期限となる米債務上限問題がクリアされるか、英国のEU離脱問題が深刻な状況を発生させないかどうか、雇用統計などはよかったが年末からの世界的な景気指標の悪化などがより顕著にならないかどうか等へ視線も向いてゆくだろう。2月からは日米通商協議も本格化することと、その中には為替条項も入っていることも忘れてはいけないと思う。

【当面のポイント】

【当面のポイント】

1月3日の暴落一巡から戻しに入った段階では1月3日の長い下ヒゲを潰し始めない内は109円台への戻り余地ありとしてきたが、110円超えへ進めずに109円台での持ち合いが続いてきた。10月からの下落に対する半値戻しが109.68円、暴落前のチャート上の節目として意識される安値が昨年8月底109.77円であり、110円前後の水準はひとまず戻り一巡しやすいところであった。
31日への下落で109円台の持ち合いから転落した段階ではそのまま108円試し、さらに1月3日暴落当日の終値107.51円を目指す下落を想定したが、米雇用統計からの反発で転落前の持ち合い圏に戻したため、1月3日からの戻り一巡による下げ再開感はいったん仕切り直しとなった。

(1)2月2日未明の戻り高値は109.57円でFOMC直後に急落する前の高値109.73円超えには至っていない。109.73円を超えてくる場合は110円超えへの再挑戦となり、110円超えからは1月19日以降の持ち合い抵抗を突破しての一段高入りとなるため、110.50円前後まで上昇する可能性が出てくると思われる。また1月3日からの上昇も1月23日までを一段目とし、高値更新により二段上げ型へ発展するため、株高ドル高が続くようなら1月23日深夜高値から1月31日深夜安値までの下げ幅の倍返しで111円手前まで上値目途が切り上がる可能性が考えられる。
(2)1月30日深夜高値109.73円を超えないか、超えても110円に到達できずに109円割れへ下げる場合、下げ再開の可能性が高まるとみる。31日深夜安値108.50円割れからは戻り幅の倍返しで107.50円前後、1月23日深夜から31日深夜への下げ幅の二倍値で107円前後を目指す可能性が高まるとみる。仮に107.50円以下へ下げれば1月3日の長い下ヒゲつぶしに入るため、1月3日安値104.82円試しへ向かう可能性も出てくると思われる。

(3)1月3日安値は概ね3か月前後(2か月から4か月)周期の底打ちサイクルにおける底となった。107.50円割れに至らないうちは戻り高値切り上げから2月中後半への上昇継続余地が残る。しかし107.50円割れからサイクルの下落期入りとして次の底形成期となる3月前半から4月序盤にかけての間への下落継続感が強まると思う。
(4)株高なら債券安で米長期債利回りは上昇しやすいが、米連銀が利上げ棚上げも含めてハト派姿勢へと舵を切った直後のために米長期債利回りは上昇しがたく金利面でのドル高期待は薄いと思う。また株式市場も10月暴落を忘却して楽観主義へと回復しきったとは言えないと思う。中国、欧州の景況指標の悪化傾向や米住宅関連指標の悪化傾向は大いに気になるところだ。株安再開ならドル円のリバウンド継続への土台が崩れると警戒する。(了)<3日20:00執筆>

【当面の主な予定】

2/4(月)
休 場 (中) 旧正月
休 場 (メ) 憲法記念日
08:50 (日) 1月 マネタリーベース 前年同月比 (12月 4.8%、予想 4.8%)
09:30 (豪) 12月 住宅建設許可件数 前月比 (11月 -9.1%、予想 2.0%)
09:30 (豪) 12月 住宅建設許可件数 前年同月比 (11月 -32.8%、予想 -10.9%)
17:30 (欧) メルシュECB理事、講演
19:00 (欧) 12月 生産者物価指数 前月比 (11月 -0.3%、予想 -0.6%)
19:00 (欧) 12月 生産者物価指数 前年同月比 (11月 4.0%、予想 3.2%)
24:00 (米) 11月 製造業新規受注 前月比 (10月 -2.1%、予想 0.2%)

2/5(火)
休 場 (中) 旧正月
休 場 (香) 旧正月
休 場 (SG) 旧正月
09:30 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁(FOMC投票権有)講演
09:30 (豪) 12月 貿易収支 (11月 19.25億豪ドル、予想 22.25億豪ドル)
09:30 (豪) 12月 小売売上高 前月比 (11月 0.4%、予想 0.2%)
12:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)政策金利 (現行 1.50%、予想 1.50%)
17:55 (独) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 53.1、予想 53.1)
18:00 (欧) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 50.8、予想 50.8)
18:30 (英) 1月 サービス業PMI (12月 51.2、予想 51.0)
19:00 (欧) 12月 小売売上高 前月比 (11月 0.6%、予想 -1.6%)
19:00 (欧) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 1.1%、予想 0.5%)
24:00 (米) 1月 ISM非製造業景況指数 (12月 57.6、予想 57.5)

2/6(水)
休 場 (中) 旧正月
休 場 (香) 旧正月
休 場 (SG) 旧正月
休 場 (NZ) ワイタンギ条約記念日
未 定 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)1日目
10:30 (豪) ロウ豪中銀総裁講演
16:00 (独) 12月 製造業新規受注 前月比 (11月 -1.0%、予想 0.3%)
16:00 (独) 12月 製造業新規受注 前年同月比 (11月 -4.3%、予想 -6.7%)
22:30 (米) 10-12月期 単位労働コスト 前期比年率 (前期 0.9%、予想 1.7%)
22:30 (米) 10-12月期 非農業部門労働生産性 前期比 (前期 2.3%、予想 1.7%)
22:30 (米) 11月 貿易収支 (10月 -555億ドル、予想 -540億ドル)

2/7(木)
休 場 (中) 旧正月
休 場 (香) 旧正月
06:45 (NZ) 10-12月期 失業率 (前期 3.9%、予想 4.1%)
08:05 (米) クオールズFRB副議長、講演
09:00 (米) パウエル米連銀議長、発言 教育者とのタウンミーティング催
14:00 (日) 12月 景気先行指数(CI)速報 (11月 99.1、予想 97.9)
16:00 (独) 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 -1.9%、予想 0.7%)
16:00 (独) 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 -4.7%、予想 -3.3%)
20:30 (欧) メルシュECB理事講演
21:00 (英) イングランド銀行(BOE)政策金利 (現行 0.75%、予想 0.75%)
21:00 (英) 英中銀資産買取プログラム規模 (現行 4350億ポンド、予想 4350億ポンド)
21:00 (英) 英中銀イングランド銀行、四半期物価報告
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 25.3万件、予想 22.3万件)
23:30 (米) クラリダFRB副議長講演
29:00 (米) 12月 消費者信用残高 前月比 (11月 221億ドル、予想 153億ドル)

2/8(金)
休 場 (中) 旧正月
北朝鮮 朝鮮人民軍創建日(建軍節)
08:50 (日) 12月 国際収支・経常収支(季調前) (11月 7572億円、予想 4585億円)
08:50 (日) 12月 国際収支・経常収支(季調済) (11月 1兆4387億円、予想 1兆35167億円)
08:50 (日) 12月 国際収支・貿易収支 (11月 -5591億円、予想 1338億円)
09:30 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁講演
09:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)四半期金融政策報告
16:00 (独) 12月 貿易収支 (11月 205億ユーロ、予想 180億ユーロ) 
16:00 (独) 12月 経常収支 (11月 214億ユーロ、予想 233億ユーロ)

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