2019年見通し「ドルは中立」予想、103-118円を見込む

「一年間に為替相場がどの程度動くのか」−−を数値化した「年間変動率」という考え方がある。それによると、ドル/円は平均して16%強動くことが「平均」であるようだ。

2019年見通し「ドルは中立」予想、103-118円を見込む

2019年の年間見通し

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「FX羅針盤」の年明けの年間相場予想今回はドル円を中心に日報、週報を執筆いただいている斎藤さんの相場予想。ここまで悪材料にも関わらず底堅い「ドルの強さ」は本物か?(編集部)
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昨年に続き、「今年のドル/円の相場見通し」をレポートする。まずは、「結論(メインシナリオ)」を指摘したうえで、「何故そうした結論になったのか」という理由について報じてみたい。では、まず今年の年間見通しの「結論」から。

「年間を通したドル/円の見通しは、『ドルの中立』ないしは『ドルのやや強気』
 年間の予想レンジは103-118円」
−−と予想している。

<< 1:テクニカル  >>

「一年間に為替相場がどの程度動くのか」−−を数値化した「年間変動率」という考え方がある。それによると、ドル/円は平均して16%強動くことが「平均」であるようだ。
つまり、仮に1ドル=100円で寄り付いたとして、一方向に動くとすれば年内に116円、あるいは84円に達しても不思議ではないことになる。

しかし、改めて指摘するまでもなく、通常はそこまで一方向のみに動くことはない。
筆者の使用しているデータで今年の取引が開始された109.80円を起点とし、自身の相場観である「ドルは中立」ないし「ドルはやや強気」を参考に、年間変動率の16%を上(ドル高)方向に9%、下(ドル安)方向に7%動く−−と仮定して計算すると、今年の予想レンジは102.11-119.68円となる。

ただ、周知のように、ドル円は2年連続の小動き。しかも、昨年は年間レンジが10円以下で、変動相場制以降最小変動を記録している。それからすると、前段で結論付けた17円強の年間レンジ予想はやや広すぎるかもしれない。

と言うことで、予想から上下をカットし、端数を整理してスッキリしたレンジである「103-118円」を、一応今年の予想レンジとしておきたい。

なお、飽くまで参考ながら、筆者は今年の1-3月にドルはボトムを付けたのち上昇。118円近い年間のドル高値を付けたのち、年末にかけて再びドル安が進行する−−というイメージを抱いている。

さらにいえば、今年の年末に記録するドルのボトムは今月3日記録した安値104.10円を更新する可能性もあると考えるが、1-3月のボトムは前述した104.10円で、すでに記録した公算が大きいのではないかとも考えている(とは言え、相場の常として「ダブルボトム」もしくは「トリプルボトム」をつけることもあるので、3月末までに近いレベルまで下げる可能性はある)。

<< 2:材料 >>

マーケットを取り巻く環境を見ると、ドルの弱材料とも言える要因は少なくない。と言うよりも、ドルの買い材料は明確に見当たらないとさえ、言える状況だ。

取り敢えず、米国ファクターのみを順不同で幾つか列挙しても、「米中を中心とした貿易摩擦激化懸念」、「米朝協議不発で、地政学リスク復活」、「ついにはポンペオ国務長官も?止まらぬ米政権からの要人離脱ドミノ」、「米中貿易摩擦や、政府機関閉鎖などを受けた米国内経済の減速観測」、「台頭する米利上げ打ち止め説」−−などドルの弱材料は枚挙に暇がない。

また、それ以外でも、1月25日になり、ようやく3週間という時限措置で解除された「米政府機関閉鎖」も、引き続き要注意だ。実際、トランプ氏からは「議会で合意できなければ、政府機関は再び閉鎖も」−−といったコメントも聞かれている。

しかし、それでも筆者は、前段で指摘した『テクニカル』で指摘したように「中立」あるいは「ややドル強気」のスタンスを堅持する方針だ。

何故なら、先で取り上げた「米中を中心とした貿易摩擦激化懸念」−−などのドル弱材料は、決して新規の要因ではなく十分に手垢のついたもの。つまり、かなりの部分はすでに市場に織り込まれているのではないか、と考えているからだ。

事実、ドル円は昨年10月の114.55円をトップに、今年の年明け3日に104.10円まで、一時は10円も値を下げてきた。その過程のなかで、悪材料の多くは消化された感も否めないと思うし、逆説的にいえば「悪材料目白押しにもかかわらず、ドル/円は104円台までしか下げなかった」とさえ言えるのではないだろうか。

いずれにしても、たとえば今後「トランプ氏自身が大統領を辞任」−−など、これまで一度も取り上げられなかったような新規のネガティブサプライズでも浮上すれば話は別だが、これまで取り上げたニュースで改めてドルを売り込むにはやや力不足という気がしている。既存のニュースの「焼き直し」にとどまるのであれば、ドルの下値は限られそうだ。

むしろ、懸念された「米中を中心とした貿易摩擦激化」にはならず「米中関係が好転」したり、「予想ほど米景気が悪化せず」、「米利上げはパウエルFRB議長の当初の見込み通り、今年だけで3回実施」したりすれば、逆にポジティブサプライズとなり、大きなドルの買い要因になりかねないように思う。

ともかく、「やはり最後に頼れるのは米ドルしかない」−−という気がしている。

<<3:その他 >>

米国ファクター以外に目を向けた場合、もっとも気になるのは「英国情勢」。政治的には中立を貫くことが原則であるエリザベス女王までが「意見の違いがあっても、同じ人間として敬意を持って他人を扱うよう」−−などと呼び掛けるなどの混乱が続いていることは周知のとおりだ。

英国については、3月末に予定される「EU離脱」がメインイシュー。それに向けた虚々実々、様々な鍔迫り合いは、年明け以降すでにそこここで観測されている。
テクニカルに見た場合、昨年はポンド円だけでなくポンドドルも、過去の平均年間変動にとどかなかったが、それでも主要通貨ペアでもっとも活発な動意を見せたのがポンドだった。今年も、「EU離脱」にともなう様々な事象に振り回される格好で、ポンドの動意が一年を通して相場を牽引することになるかもしれない。

一方、そんな「英国要因」以外でも、欧州の注目要因は少なくない。一例を挙げると、「イタリア財政問題」や「ドイツやフランスなどの政治不安」になる。

また、そうした状況下、2019年の欧州は「選挙ラッシュ」と言えることにも要注意。なかでも、「欧州議会選挙(5月)」、「ギリシャ総選挙(11月)」の2つが、とくに注視されているうえ、年末にかけては「ドラギECB総裁退任(10月)」、「ユンケル欧州委員長退任(10月)」、「トゥスクEU大統領退任(11月)」−−といった重鎮の交代が相次ぐことは気掛かりだ。

豊富な材料に裏付けられる格好で、ポンドに負けず劣らず、ユーロが一年を通して荒れる展開をたどる可能性もある。

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