ドル円見通し 1円強の小レンジ持ち合い続く(1/16)

ニューヨーク連銀が発表した1月製造業景況指数は3.9となり昨年12月の11.5から低下、市場予想の10.75を下回った。

ドル円見通し 1円強の小レンジ持ち合い続く(1/16)

ドル円見通し 1円強の小レンジ持ち合い続く

【概況】

1月3日の大暴落一服で108円台へ戻した後、1月8日高値109.08円、10日安値107.74円からはレンジブレイクできずに横ばいが続いている。NYダウが年末から反騰して日経平均も戻し、上海株も年初から上昇しているために株高からのリスクオン的な下支えはあるものの米国、欧州、中国の経済指標及び景況感は弱さが目立ち、米中通商協議の先行きがまだ見えず、米大統領と議会の対立による政府機関閉鎖が過去最長記録を更新、英国ではEU離脱協定案を議会が否決してメイ首相への退陣要求等の不安要素が拭えない中では積極的な強気へと進めず、1月3日暴落のトラウマも残ったままという状況にある。
1月15日は午後に108.75円まで上昇し、16日未明には108.76円までわずかに高値を切り上げたものの109円には届かずにいる。

【米景況感は悪化】

ニューヨーク連銀が発表した1月製造業景況指数は3.9となり昨年12月の11.5から低下、市場予想の10.75を下回った。同指数は2017年10月の27.1をピークとして2018年は20ポイント前後での横ばいで推移していたが2018年12月に11.5へ急降下、1月もさらに悪化して2017年5月以来の低水準となった。米国経済指標では住宅関連指標の悪化、景況感関連も悪化傾向が目立つ。

米労働省が発表した昨年12月の生産者物価指数は全体の前月比が0.2%低下、コア指数が0.1%低下し、市場予想の全体0.1%低下、コア0.2%上昇を下回った。これらの米経済指標悪化は米連銀の利上げ先送りに寄与するためにドル売り要因だが市場の反応は限定的で米10年債利回りの動きも鈍い。
米カンザスシティー連銀のジョージ総裁(FOMC投票権有)は15日の講演で「利上げを停止することが適切な時であるかもしれない」と述べた。またミネアポリス連銀のカシュカリ総裁(FOMC投票権無)も15日の講演で「追加利上げの必要はない」との姿勢を示した。パウエル米連銀議長の講演発言、先のFOMC議事録等での「利上げに対して忍耐する」姿勢が米連銀のコンセンサスとなってきている印象だ。2019年には2回の利上げ予想がなされてきたが年明け以降は2回もできない可能性が強まってきている印象だ。

英議会下院は15日夜にメイ政権が提出したEU離脱合意案を大差で否決した。
メイ首相は21日までに代案を示すとしたが最大野党・労働党は内閣不信任案を提出すると表明して退陣を迫っている。英ポンドは16日未明へ急落したがその後に反騰したのは混乱による先行き不安よりも新たな代案やEU側の妥協的な対応が期待できてソフトランディングするのではないかとの思惑にもよるとされるが、いずれにせよ3月1日午前0時の離脱予定までは混乱が続きそうだ。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月3日暴落後の1月8日戻り高値を前回のサイクルトップとし、10日安値をボトムとして強気サイクル入りしてきたが、ほぼ横ばいの推移に止まっている。現在のサイクルにおける高値形成期は8日高値を基準とすれば11日から15日にかけての間だが、8日高値と9日高値がミニダブルトップ型のため16日まで高値形成が延びている印象だ。既にトップアウト警戒期にあるので108.25円割れからは弱気転換注意として14日安値107.98円試しとし、14日安値割れからは弱気サイクル入りとして16日の日中から17日の日中にかけての間への下落を想定する。

ドル円見通し 1円強の小レンジ持ち合い続く

60分足の一目均衡表では相場が横ばい推移のために遅行スパン及び先行スパンが実線と交錯を繰り返しているので方向感は弱い。先行スパンを上回る内は高値試し優先だが、遅行スパン悪化から先行スパン転落へと下げる場合は弱気サイクル入りの可能性を踏まえて安値試し優先と考える。

60分足の相対力指数は15日日中高値と16日未明高値との間では指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られるため下落示唆となっている。50ポイント割れの状況が続く場合は30ポイント台前半への下降を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.25円を下値支持線、16日未明高値108.76円を上値抵抗線とみておく。
(2)108.25円を上回る内は108.76円超えから109円台序盤を目指す上昇の可能性ありとするが、109円到達からは反落警戒とする。上昇継続には新たな押し上げ材料が必要だと思われる。
(3)108.25円割れを弱気転換注意、14日安値107.98円割れからは弱気サイクル入りとして107円台前半試しへ向かうとみる。持ち合い継続なら107円台後半では買いも入って108円台を回復しやすいかもしれないが、1月10日安値107.74円を割り込むところからは持ち合い下放れとなって下落感が強まる可能性があるので、107.50円以下へ下げて切り返せないようなら下落の加速注意として107円割れ試しへ下値目処を引き下げる。また17日以降も安値試しを続けやすくなると警戒する。(了)<9:40執筆>

【当面の主な予定】

1/16(水)
16:00 (独) 12月 消費者物価指改定値 前月比 (速報 0.1%、予想 0.1%)
16:00 (独) 12月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 1.7%、予想 1.7%)
18:30 (英) 12月 消費者物価指数 前月比 (11月 0.2%、0.2%)
18:30 (英) 12月 消費者物価指数 前年同月比 (11月 2.3%、予想 2.1%)
18:30 (英) 12月 消費者物価コア指数 前年同月比 (11月 1.8%、予想 1.8%)
18:30 (英) 12月 小売物価指数 前月比 (11月 0.0%、予想 0.5%)
18:30 (英) 12月 小売物価指数 前年同月比 (11月 3.2%、予想 2.9%)
18:30 (英) 12月 卸売物価コア指数 前年同月比 (11月 2.4%、予想 2.4%)

20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 24.00%、予想 24.00%)
22:30 (米) 12月 小売売上高 前月比 (11月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 12月 小売売上高・除自動車 前月比 (11月 0.2%、0.1%)
22:30 (米) 12月 輸入物価指数 前月比 (11月 -1.6%、予想 -1.3%)
24:00 (米) 11月 企業在庫 前月比 (10月 0.6%、予想 0.3%)
24:00 (米) 1月 NAHB住宅市場指数 (12月 56、予想 56)
28:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

1/17(木)
阪神大震災から24年
G20財務相・中央銀行総裁代理会議(18日まで)
未 定 (南) 南アフリカ準備銀行 政策金利 (現行 6.75%、予想 6.75%)
08:30 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演
09:00 (日) 黒田東彦日銀総裁、発言
19:00 (欧) 12月 消費者物価指数(HICP)改定値 前年同月比 (速報 1.6%、予想 1.6%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価指数(HICPコア指数、改定値) 前年同月比 (11月 1.0%、予想 1.0%)
22:30 (米) 12月 住宅着工件数 年率換算件数 (11月 125.6万件、予想 126.0万件)
22:30 (米) 12月 建設許可件数 年率換算件数 (11月 132.8万件、予想 128.8万件
22:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 21.6万件、予想 22.0万件)
24:45 (米) クオールズFRB副議長、講演

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