今週の週間見通し
先週のドル円は、週初こそリスクオフの動きに連動していましたが、その後は株式市場での売りの影響が少なく、同じ為替市場でユーロドルとともにドルが底堅い動きを見せました。しかし、週を通してのレンジは1円47銭と相変わらず狭いレンジ内で蚊帳の外と言ってよい状態です。今年も残すところ2週間となりましたが、変動相場制移行後の最低値幅を更新する可能性(現在まで9円88銭)は着実に高まっています
今週は主要国の金融政策イベントが集中し、18日日銀、19日FOMC、20日MPCと年内最後のイベント集中ウィークとなっていますが、日銀とMPCについては基本的に無風通過が予想されます。
問題はFOMCです、FX羅針盤コラムでもFOMCの金利見通しの参考となるCME(シカゴマーカンタイル取引所)のFF先物から先行きの織り込み度を紹介していますが、今週の利上げはほぼ織り込み済みです。
パウエル議長をはじめFRB関係者の発言にハト派寄りの発言が増えてきていることから、今回で利上げが打ち止めとなるのではないかとの思惑もかなり増えてきている状況です。コンセンサス自体も来年の利上げは1回という見通しとなっていて、この市場参加者のコンセンサスに対してFOMCでの金利見通しがどうなるか、この点を含めて2019年の景気についてどのような言及があるのかが最大の注目点です。
もし、利上げ見通しが2回ということであれば市場参加者の軌道修正が見込まれますし、1回となると景気鈍化は思った以上ということで、市場参加者は一段と弱気な見通しに寄せられていくのではないかという感じがします。ただ、現状は金融市場は来年1回の利上げという前提で動いていますし、ここに来て米国株を中心に株式市場では景気鈍化を先取りした動きを見せていますので、リスクオフ方向により強く反応しやすいFOMCになるのではないかと考えられます。
さらに政策金利が0.25%上がることで期間の短い債券利回りは追随する動きとなりますが、期間の長い10年債以上の利回りはあまり変化が出てこないという、これまでの傾向が繰り返されるとしたらイールドカーブは一段とフラットニングする可能性があり、こうした動きは中長期的にリスクオフの動きを招きやすいと言えます。誰も景気鈍化は望むところではありませんが、環境的には楽観視できず、今回のFOMC後の会見次第では年内最後のリスクオフの動きを作り出す可能性は十分にあるでしょう。結果は見なければわかりませんが、リスクオフにバイアスがかかりやすいという認識でいれば、大きく外すことは無いように思っています。
テクニカルも見てみましょう。日足チャートをご覧ください。
チャートも冴えないパターンです。下値を切り上げ高値を切り下げと、典型的なもみあいのチャートです。レジスタンス(ピンク太線)は10月高値を起点としていますが、サポート(ピンク太線)は同じく10月安値を起点としてみました。8月安値からのサポート(ピンク細線)も下ヒゲで2週連続トライして抜けられず依然として有効ですが、10月起点のサポートとあまり違わないので、どちらでも構いません。
これらのサポートとレジスタンスを抜けない限りはもみあい継続と考えざるを得ないのですが、現状レジスタンスは113.88水準を緩やかに下降中、サポートは112.40水準を緩やかに上昇中です。レジスタンスのほうが近いという見方もできますし、もみあい継続ならばサポート方向の値幅に余裕があるという見方もできるでしょう。FOMC後にどちらかに近づくのかどうか、一番つまらないのは多少は円高に動いたものの113円台前半の真ん中あたりで止まってしまうことです。
そして、この可能性が実は一番高いのではないか、そうなるといよいよ年末相場で動意薄となるのではないか、そんなつまらない動きがメインシナリオ、先週示したようなリスクオフに動き111円台を試すような動き、こちらを可能性が低そうなサブシナリオとして、ここでは若干後者のイメージも混ぜつつ考えられるレンジとして112.75レベルをサポートに113.90レベルをレジスタンスとする週を見ておこうと思います。
ドル円(日足)
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
12月17日(月)
08:50 本邦11月貿易収支
**:** 日銀会合(〜18日)
16:00 トルコ9月失業率
19:00 ユーロ圏11月CPI
19:00 ユーロ圏10月貿易収支
22:30 米国12月NY連銀製造業景況指数
24:00 米国12月NAHB住宅市場指数
12月18日(火)
09:00 NZ12月企業信頼感
09:30 豪中銀理事会
**:** 日銀会合結果発表
15:30 黒田日銀総裁会見
18:00 ドイツ12月ifo企業景況感
22:30 米国11月住宅着工・許可件数
**:** FOMC(〜19日)
12月19日(水)
06:45 NZ7〜9月期経常収支
16:00 ドイツ11月PPI
18:30 英国11月CPI・PPI
19:00 ユーロ圏10月建設支出
22:30 米国7〜9月期経常収支
24:00 米国11月中古住宅販売件数
24:30 週間原油在庫統計
28:00 FOMC結果発表
28:40 パウエルFRB議長会見
12月20日(木)
06:45 NZ11月貿易収支
06:45 NZ7〜9月期GDP
09:30 豪州11月失業率
18:00 ユーロ圏10月経常収支
21:00 英中銀MPC結果公表
22:30 米国新規失業保険申請件数
22:30 米国12月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
24:00 米国11月景気先行指数
12月21日(金)
08:30 本邦11月CPI
16:00 ドイツ1月GFK消費者信頼感
16:45 フランス12月企業景況感
16:45 フランス11月PPI
16:45 フランス7〜9月期GDP確報値
18:30 英国7〜9月期GDP改定値
22:30 米国7〜9月期GDP確報値
22:30 米国11月耐久財受注
24:00 米国11月個人所得・消費支出
24:00 米国12月ミシガン大消費者信頼感確報値
前週の主要レート(週間レンジ)
上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
前週の概況
12月10日(月)
週末NY後場の流れを受け日経平均も上値が重たい中、週明けは円買いが先行しました。昼前には112.24レベルまで水準を下げましたが先週安値をトライしきれず、円高の動きもそこまで。東京後場以降はドル買い戻し、欧州市場以降はポンド売り、ユーロ売りの動きがドル円にも波及し全般的なドル買いの動きとなりました。NY市場では一時的にダウが急落する場面でも為替市場は材料視せず、ストップオーダーも巻き込みながら113円台前半での引けとなりました。
12月11日(火)
ポンド、ユーロを中心に欧州通貨主導の一日となりました。東京市場から欧州市場前場まではユーロ買い・ドル売りとなり、ドル円もじり安の展開を辿りましたが、欧州市場後場以降は欧州の悪材料からユーロが反転急落、それに沿ってドル円も上昇、NY市場では113.47レベルの高値をつけ、そのまま高値圏でのクローズとなりました。
12月12日(水)
ドル円は前日に続いて株価の影響も受けずNY市場まで高値圏でもみあいながらも上値の重たい流れが続きました。NY市場ではユーロ高の動きに引っ張られてドルがじり安となりましたが、一日の値幅はわずか37銭と動意薄のまま引けました。
12月13日(木)
東京市場のドル円は堅調な株価に支えられじり高の動きでスタートしましたが、前日の高値圏では売りも見られたことでNY市場までは高値もみあいが続きました。NY市場ではドラギECB総裁会見後のユーロの下げと強い米国経済指標の動きが重なり前日の高値を上抜け113.71レベルまで高値を切り上げましたが、1日としてのレンジは狭いままでドル円は蚊帳の外状態が続きました。
12月14日(金)
東京市場のドル円は株価の下げの割にはリスクオフの動きも少なく、後場以降は底堅めをする中、欧州市場序盤にはユーロドルが下げたことをきっかけに反転上昇する動きとなりました。NY市場前場には113.67レベルまで上昇したものの前日高値は超えられず、引けにかけてはじり安の動きとなりました。
ディスクレーマー
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