<< 東京市場の動き >>
16日の東京市場は、ドルが小幅安。値幅そのものは40ポイント程度と、決して大きくなかったが「寄り付き高・大引け安」で、見た目以上にドルの弱さが目に付いた。
ドル/円相場は、寄り付いた113.60円前後を日中高値にじり安推移。夕方には113.20円台まで緩やかに値を下げた。前日の米株が大幅高をたどったこともあり、連れ高が期待された日経平均株価だったが、クローズベースでは123円安。マイナス圏で大引けたことなどが嫌気されていたという。16時時点では、日中最安値圏である113.25-30円で推移し、欧米時間を迎えていた。
なお、仮想通貨は全体としてみれば底堅く推移したものの、ビットコインキャッシュは本日も続落。終盤にかけて360ドル前後まで値を下げ、年初来高値を再び更新している。
一方、材料的に注視されていたものは、「米中貿易問題」と「英国情勢」について。
前者は、英紙FTが「米、新たな対中関税措置発動を保留」と報じ、問題解決に向けた動きが好感されたものの、その後「米通商代表部報道官、対中関税保留発言報道を否定」との報道や、「米政府当局者が中国の提案、米中首脳会談での貿易問題打開につながらずと発言」とされるなど、思惑に水を差す動きが相次ぎ、ドル買いも限定的だった。
対して後者は、前日の欧米時間から「英、EU離脱草案に反発し閣僚ら4人が辞任」、「独産業連盟、企業は引き続き無秩序な英離脱に備えを」、「S&P、英のEU離脱が『無秩序』なら格下げリスク」−−などといったネガティブな報道が相次ぎポンド安要因に。東京時間はやや方向性が定まらなかったが、このあと欧州時間以降の変動には要注意だ。
<< 欧米市場の見通し >>
「短期はともかく、長い目で見た場合のリスクは、まだドル高方向にバイアスがかかる」−−とレポートしてきたが、様相の変化が垣間見えることは気掛かり。昨日も指摘したように、113円レベルをクリアに下回ると、単なる調整ではなく基調の変化、再びドル安方向へのリスクを注視する必要があるかもしれない。ちなみに、113円前後を下回った場合のターゲットは112.80-85円に位置する一目均衡表の先行帯の雲の上限、そして今月安値の112.55円などとなる。
材料面で見た場合、発表される米経済指標をみてもなかなか良好。ファンダメンタルズは好調を維持しているうえ、年末をにらんだ需給要因もややドルタイトと推測されており、ドルの支援要因に。しかし、対中貿易問題を中心に、国内・外ともに米国ファクターへの懸念は強く、それがドル買いをとどまらせている面も否めない。
テクニカルに見た場合、12日高値114.23円を起点に、足もとまで一時1円を超える下落をたどっており、単なる調整にとどまらない可能性も出てきた。昨日のほか、今月7日も下げ止まった113円前後をめぐる攻防に要注意。しっかり下回るようだと、今月安値112.55円を目指した続落も否定出来ない。
逆に、113円前後で下げ止まった場合には、その後113.00-114.30円といったレンジ取引になる可能性も。しばらくのあいだ方向性の乏しい値動きをたどりそうだ。
一方、材料的に見た場合、10月の鉱工業生産・設備稼働率や11月のカンザスシティ連銀製造業活動指数といった米経済指標が発表されるほか、欧州ではドラギECB総裁とワイトマン独連銀総裁、米国ではエバンス・シカゴ連銀総裁による講演が実施される見込みだ。それら要因には一応要注意。
また、混迷を深める英国ファクターや、原油市場をめぐる各国の駆け引きなどにも引き続き注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、112.80-113.80円。ドル高・円安方向は、昨日高値である113.71円の攻防にまず注視。抜けた場合には、114円前後そして114.15-25円が次のターゲットに。
対するドル安・円高方向は、昨日安値を含めた113円前後はなかなか強いサポート。割り込んでも、112.80-85円には一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置しているなど底堅そうなイメージだ。大崩れは予想しにくいかもしれない。(了)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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