ドル円見通し 持ち合い下放れも踏ん張り感(11/16)

米FRBは現在の金融政策の枠組みを来年再検証すると発表したパウエル議長は声明で政策目標の雇用最大化、インフレ率2%がほぼ達成されているとし、

ドル円見通し 持ち合い下放れも踏ん張り感(11/16)

ドル円見通し 持ち合い下放れも踏ん張り感

【概況】

10月26日安値111.37円から11月12日高値114.20円まで上昇してきたが、13日高値は114.14円に止まったため12日高値を中心として9日高値と13日高値を両肩とする三尊型を形成した。また14日夜にかけては114円を抵抗としたレンジ縮小型の三角持ち合いの様相となっていた。
15日未明にかけてNYダウが急落したことに反応して113.29円まで下落、三角持ち合いを下放れ、13日安値を割り込んだために60分足レベルの三尊天井型形成からの下落となった。15日序盤は113.50円を挟んでの小動きだったが15日夜にかけては英国のEU離脱協定に対する閣議決定を不満として閣僚辞任が相次いで英ポンドが急落、NYダウも中盤まで下落したことで15日深夜には113.09円まで安値を更新した。しかし深夜以降はNYダウが反騰に転じ、米中通商問題での協議進展への期待を煽る報道もあって113.70円までいったん戻している。

14日には英国とEUが離脱問題で両者が協定案に合意したと報じられたことでポンド、ユーロが上昇していたが、15日には離脱協定案をメイ政権が閣議決定で承認したもののこれに反対するラーブEU離脱担当相ら複数閣僚が辞任、英国議会での離脱協定が可決されるのかどうか、メイ政権が窮地に追い込まれるのではないかとの懸念からポンドが急落した。しかしユーロドルは夕刻にポンド安と同調して下落したもののその後は反発して16日未明には戻り高値を切り上げており、ドル全般へのドル高感を助長するほどではなかった。

15日夜の米経済指標はまちまちだった。
米労働省が発表した週間新規失業保険申請は季節調整済みで21万6000件と前週2000件増加して市場予想の21万2000件を上回った。
NY連銀が発表した11月のNY製造業景況指数は23.3と10月の21.1から上昇し市場予想の20.0を上回った。
米フィラデルフィア連銀の11月製造業景況指数は12.9となり前月の22.2から低下し市場予想の20.0を下回った。

NYダウは11月9日から14日まで4日間続落し、12日には602ドル安の大幅下落もあったが、15日は中盤まで下げたものの終値では208.77ドル高と反騰、安値からは500ドルを超える上昇幅となった。ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が対中貿易制裁のさらなる措置について「既に保留にしたと企業幹部らに語った」と英フィナンシャル・タイムズ紙が報じたことで米中通商協議への進展期待が広がったこともダウ反騰のきっかけとなったようだ。同記事は匿名関係筋の話とされ、USTRの報道官はこの報道を否定している。ドル円にとっては16日未明へのダウ反騰が113円割れ回避からの反発のきっかけとなった。

【FRBの金融政策、来年6月見直し】

米FRBは現在の金融政策の枠組みを来年再検証すると発表したパウエル議長は声明で政策目標の雇用最大化、インフレ率2%がほぼ達成されているとし、金融政策の策定、実施、情報発信を再評価する好都合の時だとして来年6月4日から5日に専門家会合を開催して外部の意見も踏まえて報告書をまとめるとした。金融政策的にインフレを加速させる「物価水準目標」や量的金融緩和策終了の着地点、今後の金利水準等についての政策スタンスを再構築することになる。トランプ大統領によるFRB批判に対してオープンな政策会合により姿勢を示すことで独立性を維持しようということかもしれない。
当面は四半期毎の利上げ姿勢を維持しつつ、来年6月からはそれ以降のスタンスが改めて示されるということと思われ、これが直ちにドルの強弱を決めることにはならないと思うが、12月FOMCでの利上げ及び声明・議長会見により来年6月会合へ向けたスタンスや、それまでの利上げペースが現在よりも明確になってゆくと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

11月15日未明への下落及び15日深夜への続落により、10月26日以降の上昇トレンドから転落した。また11月2日、7日、13日と底上げしてきた強気パターンがひとまず崩れた。15日深夜安値から反発しているが、13日高値114.14円を超えずに反落して15日深夜安値を割り込む場合はこれまでと逆に戻り高値を切り下げてその後に一段安する弱気パターンが形成される。13日高値を超えてくれば12日からの調整安は一巡、12日高値超えからの一段高へ進む可能性も高まると思われる。そのためにはまず114円台を回復する必要がある。


概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは11月13日午前安値を直近のサイクルボトムとして上昇していたが、13日安値を割り込んだために13日夕高値をサイクルトップとした弱気サイクルに入った。今回の安値形成期は13日午前安値を基準として16日午前から20日にかけての間と想定される。15日深夜安値ではやや日柄が浅いため、113.50円以上を維持できずに失速する場合はサイクルボトム形成への下落継続として16日午後、夜から週明けにかけては一段安しやすい状況と考える。114円台回復からは新たな強気サイクル入りの可能性を優先して13日高値試しとし、高値更新からは強気サイクル入りとして16日夕から20日にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では15日未明への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。15日深夜からの反発で遅行スパンは好転しやすい位置にあり、113.70円超えから続伸なら先行スパンも突破してくるため、両スパンそろって好転するところからは上昇再開へ進みやすくなるとみるが、いったん好転しても13日高値超えへ進めないうちはその後の両スパン悪化から下げ再開へ進みやすいとみる。

60分足の相対力指数は15日未明安値と15日深夜安値との間では指数がほぼフラットではあるが若干ボトムが切り下がっているため強気逆行とまでは言えない。40ポイント割れからは下げ再開を警戒、60ポイントを超えてその後も50ポイント台を維持する場合は上昇再開の可能性を優先というところか。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、113.40円、次いで11月15日深夜安値113.09円を支持線、113.70円、次いで114.00円を抵抗線とみておく。
(2)113.70円以下での推移中は113.40円割れから下げ再開と仮定して15日深夜安値試しとし、底割れからは112.70円台、夜間続落の場合は112.50円前後試しへの下落を想定する。113.20円以下で終了なら週明けも安値試しを続ける可能性ありとみる。
(3)113.70円超えからは114円試しとするが、114円では戻り売りにつかまりやすいとみる。114円超えから続伸に入る場合は13日高値114.14円試しとし、さらに超えれば強気サイクル入りとして114.50円を目指す上昇期に入ると考える。114円超えの後も113.70円以上を維持して終了なら週明けもは高値試しへ向かいやすいとみる。(了)<8:30執筆>

【当面の主な予定】

11/16(金)
17:30 ドラギECB総裁とワイトマン独連銀総裁、講演
19:00 (欧) 10月 消費者物価指数・HICP、改定値 前年同月比 (速報 2.2%、予想 2.2%)
23:15 (米) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 0.3%、予想 0.2%)
23:15 (米) 10月 設備稼働率 (9月 78.1%、予想 78.2%)
25:30 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演

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