ドル円見通し 114円台に抵抗感残る(11/14)

13日夜には英国とEUが離脱交渉で合意案をまとめたと報じられたためにポンドが急伸、ユーロも反発してドル安感が強まったことがドル安円高の背景だったようだ。

ドル円見通し 114円台に抵抗感残る(11/14)

【概況】

11月12日に114.20円の高値をつけて10月26日安値111.37円以降の高値を更新し、10月4日高値114.54円に迫った。米中間選挙が事前予想通りの結果となってドル安要因にならなかったこと、9日未明のFOMC声明を見て12月利上げをほぼ確実視したこと、英国の離脱問題やイタリア財政赤字問題でのユーロ売り、米中貿易戦争問題への懸念による人民元安等を背景にドル高が進んだためだ。
11月12日にNYダウが602ドル安と大幅下落、13日午前の日経平均も一時は700円を超える大幅下落となったために株安不安から13日午前安値で113.58円まで下げた。その段階では10月26日安値と11月7日安値を結んだ下値支持線ギリギリのところとなり、さらに続落なら支持線割れにより調整安のレベルが拡大する可能性があった。

13日昼に香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト電子版が中国副首相の劉氏が近く訪米する見通しと報じたことがきっかけで米中協議の進展期待で全般的なリスクオンとなり上海株が反発、ユーロドルが上昇、日経平均も下げ幅を縮小、ドル円も反騰したが、夕刻の114.14円で上げ止まってその後は失速した。
13日夜には英国とEUが離脱交渉で合意案をまとめたと報じられたためにポンドが急伸、ユーロも反発してドル安感が強まったことがドル安円高の背景だったようだ。

【英国離脱問題合意へ、米中閣僚級協議への期待】

英国とEUは13日の事務レベル協議で離脱協定の内容を暫定合意したと英政府が発表した。14日に英側は臨時閣議、EU側も臨時会議を開いて合意案を協議し、双方で承諾されれば共同記者会見を開いて合意を宣言する見通しという。 合意の共同宣言が出れば離脱問題への懸念によるユーロ売りが一服、リバウンドに入る可能性もあるが、イタリア財政赤字問題はまだ片付いていない。仮に合意できないということになると大混乱が増す。これも続報待ちだが、市場は共同宣言へかなり楽観的なスタンスで見始めているようだ。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル電子版は米中双方が閣僚級の事前調整を始めたと報じたが具体的な提案など大きな進展は見られていないとした。11月1日に米中首脳が電話会談、9日にはムニューシン米財務長官と中国の劉鶴副首相が電話会談している。サウスチャイナ・モーニング・ポストは劉鶴副首相が訪米予定としたが、具体的内容については触れていない。米中問題については双方が合意へ向けてかなり前向きだという楽観的な続報等が出てくれば株高円安要因となってくると思われる。

【原油安にも注目】

NY原油が供給過剰懸念で暴落しており、12日連続下落で13日は前日比7%安となった。1年ぶり安値となった。9月末まではイラン制裁による供給不足懸念から大幅上昇してきたが、イラン制裁での8カ国への同国産原油輸入禁止の留保や米国の増産、トランプ大統領の原油は高すぎるとのOPEC批判がサウジ人記者殺害事件とも絡んで供給過剰問題に転じている。
原油暴落は石油関連株安による株安への影響、ドル高=原油安、ドル安=原油高という相関からは原油安によるドル高感が強まるのでドルストレートでのドル高要因になりやすいと観られている。NY原油とドル指数は2018年1月へのドル安期に原油が上昇、2月から7月まではドル高で原油高と逆相関せず、10月からの原油安とドル高は逆相関に戻っているが、日々の反応はまちまちだ。

日本にとっては原油輸入コスト低下とその波及による企業へのプラス効果で円高になりやすいという反面、原油安効果で株高なら円安という図式もあるため複雑だ。ただ、コモディティも株も為替もどこかで投機マネーが深手を負うと他市場へ負の連鎖を引き起こしやすい。
NY原油とNYダウにも相関がみられ、2月暴落及び10月暴落は原油安も伴っており、原油の底打ち反騰もダウと概ね相関している。今回のNYダウ暴落では10月末からダウが反発したものの原油は続落し、11月9日から再び揃っての下落となっており、相関性が高い状況が続いている。ドル円への直接的影響というよりも投機市場全般への影響という意味で原油安にも注目しておきたいところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

11月13日高値114.14円から失速したため、12日高値114.20円を中心に9日高値114.08円と13日高値を両肩として660分足レベルの三尊天井型を形成する可能性がある。その完成は13日安値113.58円割れからとなるので、13日安値を割り込まない内は12日高値を起点とした三角持合い型に止まり、持ち合い上放れから一段高へ進む可能性を残している。
11月13日安値を割り込む場合、上記の三尊天井型が完成するために、三尊間の値幅の二倍値で112.96円(7日安値は112.93円)前後への下落へ進みやすくなるため、10月26日からの上昇トレンドからの転落として112円台半ばを試しにかかる下落入りが警戒される。
11月13日安値割れ回避の内は持合いに止まって上放れへ進み、13日への下げ幅の倍返しで114.82円、7日から12日への上昇幅並として114.85円等、114円台後半を目指して10月4日高値114.54円を超えてくる可能性もあると思う。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは11月7日昼高値から3日目となる12日午後高値で直近のサイクルトップをつけて下落期に入ったとし、7日夜安値を基準として12日夜から14日夜にかけての間への下落を想定したが、既に前回ボトムから3日を経過していたために114円超えからは新たな強気サイクル入りの可能性が高まるとした。
13日午前安値からの反発で114円をいったん超えたため13日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。新たなトップ形成期を15日から19日にかけての間と想定するが、12日高値を超えないうちは三尊型ないしはダブルトップ型形成からの弱気転換となる可能性が残ると注意する。13日午前安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして16日から20日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では9日以降が114円台序盤から113円台後半での往来となっているので遅行スパンも実線と交錯を繰り返している。また先行スパンを挟んでの上下となっている。このため12日高値超えからは遅行スパン好転中の高値試し優先とし、13日安値割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13日安値113.58円を支持線、12日高値114.20円を抵抗線とみておく。
(2)114円台回復からは12日高値試しとし、高値更新からは10月4日高値114.54円試し、さらに続伸なら週末にかけて114.80円台への上昇へ進む可能性ありとみるが、114.50円以上は反落警戒圏とし、114円割れからは下げ再開警戒とする。
(3)113.58円割れからは三尊型ないしはダブルトップ型からの下落期入りとして113円前後試しを想定する。113円割れではいったん買い戻しも入りやすいとみるが、113.50円以下での推移が続く内は15日、16日へ続落しやすいとみる。

【当面の主な予定】

11/14(水)
11:00 (中) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 9.2%、予想 9.2%)
11:00 (中) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 5.8%、予想 5.8%)
13:30 (日) 9月 鉱工業生産・確報値 前月比 (8月 -1.1%)
13:30 (日) 9月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (8月 -2.9%)
16:00 (独) 7-9月期GDP、速報値 前期比 (前期 0.5%、予想 -0.1%)
16:00 (独) 7-9月期GDP、速報値 前年同期比 (前期 2.3%、予想 1.2%)
18:30 (英) 10月 消費者物価指数 前月比 (9月 0.1%、予想 0.2%)
18:30 (英) 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 2.4%、予想 2.5%)
18:30 (英) 10月 生産者物価コア指数 前年同月比 (9月 2.4%、予想 2.4%)

19:00 (欧) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 1.0%、予想 -0.4%)
19:00 (欧) 7-9月期GDP、改定値 前期比 (速報 0.2%、予想 0.2%)
19:00 (欧) 7-9月期GDP、改定値 前年同期比 (速報 1.7%、予想 1.7%)
22:30 (米) 10月 消費者物価指数 前月比 (9月 0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 2.3%、予想 2.5%)
22:30 (米) 10月 消費者物価コア指数 前月比 (9月 0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 消費者物価コア指数 前年同月比 (9月 2.2%、予想 2.2%)
24:00 (米) クオールズ米FRB副議長、下院金融委員会証言

11/15(木)
08:05 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、発言
09:30 (豪) 10月 新規雇用者数 (9月 0.56万人、予想 2.00万人)
09:30 (豪) 10月 失業率 (9月 5.0%、予想 5.1%)
18:30 (英) 10月 小売売上高 前月比 (9月 -0.8%、予想 0.6%)
19:00 (欧) 9月 貿易収支 (8月 117億ユーロ)

22:30 (米) 10月 小売売上高 前月比 (9月 0.1%、予想 0.5%)
22:30 (米) 10月 小売売上高・除自動車 前月比 (9月 -0.1%、予想 0.5%)
22:30 (米) 11月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (10月 21.1、予想 19.0%)
22:30 (米) 11月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (10月 22.2、予想 20.6)
22:30 (米) 10月 輸入物価指数 前月比 (9月 0.5%、予想 0.1%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.4万件、予想 21.5万件)
24:00 (米) 9月 企業在庫 前月比 (8月 0.5%、予想 0.3%)
24:00 (米) クオールズ米FRB副議長、上院銀行委員会証言
27:15 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会(マドリード)
28:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 7.75%、予想 8.00%)
29:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演

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