年初来高値も視界内、ドル続伸の期待が高い(11月2週)

先週のドル/円相場は、ドルが続伸。週のザラ場ベースでは10月5日以来となる一時114円台を記録する局面も観測されていた。

年初来高値も視界内、ドル続伸の期待が高い(11月2週)

年初来高値も視界内、ドル続伸の期待が高い

先週のドル/円相場は、ドルが続伸。週のザラ場ベースでは10月5日以来となる一時114円台を記録する局面も観測されていた。

前週末にカドロー米NEC委員長が、ブルームバーグによる「対中貿易協定案の策定指示報道」を否定したうえ、トランプ米大統領から「中国に追加関税かける可能性もある」との発言が聞かれたものの、為替相場への影響は限定的。ドル/円は、前週末のNYクローズと大差ない113.10-15円で寄り付いた。
その後、ドルは底堅いものの上値も重く113円を中心とした値動きをたどるなかレンジを上抜け。週末にかけ、週間高値である114.09円を示現している。高値示現後はやや小緩むも、依然として下値は堅く下げ渋り。結局、週末NYは113.80円前後で取引を終え、越週している。

一方、週間を通して注目された材料は、「各種の米国ファクター」と「英国情勢」について。
前者については、前述したような「米中貿易問題」や、「トランプ政権による対イラン経済制裁の全面再開執行」などといった要因もあったが、最重要事項はやはり6日に実施された「米中間選挙」。ちなみに、選挙結果は政権与党の共和党が上院を制したものの、下院は民主党が過半数を獲得、いわゆる「捻じれ」が発生する事態となった。これが一時嫌気されたが、影響は限定的で一巡後は再びドルが買い進まれている。
対して後者は、引き続き英国のEU離脱交渉について様々なニュースが報じられ、状況が二転三転、参加者はそれらに右往左往する展開となった。一例を挙げると、英紙タイムズが「EUが国境問題で英に妥協案提案へ」と報じた反面、英紙サンは「英閣僚、アイルランド問題で譲歩は不要と主張へ」と正反対とも言える内容を報じ物議を醸す局面も観測されている。

<< 今週の見通し >>

定着は出来なかったが、週のザラ場ベースで一時114円台を記録するなど、ドルは続伸の様相をみせた。ポジションの偏りは気掛かりだが、リスクがドル高方向に高いことで間違いはなさそう。前回高値114.55円を起点としたフィボナッチで見た場合、一連のドル高進行でドルの戻りのメドをすべて超えてきており、次なるターゲットは100%戻し(114.55円)か。それも超えれば、いよいよ115円レベルが視界内に捉えられそうだ。
材料面で見た場合、中間選挙を受けたトランプ氏の政権運営方法に依然として関心が高い。なかでも、とくに関心の高いのは貿易面で、米中あるいは日米との交渉が注視されている。そうしたなか先週末の9日、米中の閣僚による「外交・安全保障対話」が開催されたものの、進展は乏しかった。今週も引き続き、米中や日米の貿易問題を中心とした動静には要注意だ。また、英国情勢が依然として気掛かりなうえ、ユーロ圏財務相がイタリアに対して予算案の修正を求めた期限が13日に期限切れを迎えることなども波乱要因か。欧州関連のニュースにも注意を払いたい。

テクニカルに見た場合、先で指摘したように、前回高値114.55円を起点としたフィボナッチで見た場合、76.4%戻し(113.80円レベル)も上抜けており、次なるターゲットは100%戻し(114.55円)となるだろう。ドルの続伸が期待されている。
ただ、日足と移動平均200日線の関係からすると、現在乖離率は4%に近く、これは危険ゾーンを意味する。実際、前回10月にドルが高値114.55円を記録した際も、乖離率4%超でピークアウトし、ドルは軟落に転じてきた。そうした意味では、大きな流れは変化ないにしろ、一時的に上値が重くなったり、あるいは調整が先行したりする可能性もないではない。

一方、材料的に見た場合、週末にかけて11月のNY連銀製造業景況指数や10月の鉱工業生産指数といった米経済指標の発表が相次ぐほか、米地区連銀総裁による講演も連日のように実施される見込みだ。また、12-13日に来日するペンス米副大統領が13日に安倍首相と会談を実施、14-15日にはクオールズFRB副議長による議会証言も予定されている。それらも一応要注意。
さらには、前述したように、英国やイタリアを中心とした欧州情勢も波乱含みで予断は許さない気がしている。

そんな今週のドル/円予想レンジは、112.80-114.80円。ドル高・円安については、先週高値の114.09円が最初の抵抗。抜ければ年初来高値の114.55円がターゲットで、それを抜ければいよいよ115円台がみえてくる。
対するドル安・円高方向は、先週のドル安値圏かつ、時間足など短期的には何度かトライするも割り込めなかった112.95円レベルの攻防に注視。ただ、仮に下回ってもドルは底堅そうで、テクニカルサポートも多い112円台では下げ止まりそうだ。(了)

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