ドル円見通し 114円台、昨年来の壁到達(11月第2週)

日経平均もNYダウも11月8日まで続伸してきたが9日は反落で終了、ドル円も11月9日未明高値114.08円まで続伸してきたが、

ドル円見通し 114円台、昨年来の壁到達(11月第2週)

ドル円見通し 114円台、昨年来の壁到達

【概況】

10月4日高値114.54円から10月26日安値111.37円まで下落したが、そこからの切り返しで11月9日には114.08円まで戻した。10月4日から26日への下落は世界連鎖株安によるリスク回避的な円買いによるものだった。10月2日に日経平均、10月3日にNYダウが当面の天井を付けて急落した。日米の株安は2月の急落時に近いレベルのものだったが、日経平均は10月26日安値から反騰、NYダウも10月29日安値から反騰に入り、ドル円も概ね同調して上昇してきた。日経平均もNYダウも11月8日まで続伸してきたが9日は反落で終了、ドル円も11月9日未明高値114.08円まで続伸してきたが、9日の日中と夜は日米株の小反落で伸び悩みとなった。

10月26日から31日へ3連騰してから1日、2日午前へ小調整を入れ、2日の米雇用統計が強かったことで上昇再開。7日午前は米中間選挙の開票速報での一喜一憂で113.81円まで戻り高値を更新してから7日夜には112.93円まで下げたが、選挙情勢が落ち着いて材料消化として上昇再開。9日未明には米連銀のFOMC声明が従前からの姿勢を継続して12月利上げの確率がより高まったとしてドル高感が強まって114円に到達した。この間、31日高値113.38円、7日高値113.81円、9日未明高値114.08円と高値を切り上げ、26日安値から11月2日安値112.54円、7日夜安値112.93円と底上げしてきている。9日未明から上げ渋っているものの113円台後半を維持しているため、まだ10月26日からの上昇トレンド、底上げパターン継続の範囲内にあるが、10月4日以来の114円台到達により高値警戒感もかなり強まる水準に来ているという印象もある。

【3月底からの上昇トレンド内にあるが既に上昇8か月目】

10月4日から10月26日への下落は下げ幅が3.17円でその後の反騰幅は11月9日未明高値までで2.71円である。5月21日高値から5月29日安値へ3.27円の下落で104日移動平均を踏んで切り返したところでは、6月15日高値まで2.79円の上昇後に6月26日まで1.53円の調整安を入れた。7月19日高値から8月21日へ3.38円の下落から出直った時は8月29日まで2.05円の上昇後に9月7日安値まで1.44円の調整安を入れた。いずれも2週間の範囲での調整に止まってその後の高値更新から一段高へ進んだ。

今回も今のところは前2回の調整安から一段高へ進んだ時の状況に近い。株高とともに上昇してきているので週末に小反落した日米株が上昇再開なら9日未明高値を超えてゆく可能性もあるが、10月26日以降は1円を超える調整安を入れずに推移してきたので、週明け序盤を日米株安、あるいは中国株安等をきっかけに下落する場合は前2例のように直前高値から1.50円前後規模の下落を入れる可能性があると注意する。また1.50円前後の調整安レベルなら前2例と同様、その後の上昇で高値更新へ進む期待感を持てると思うが、1.50円前後の規模に収まらないような下落発生の場合は前2例の調整レベルではなく、本格的な下落期に入る端緒となる可能性ありと警戒すべきだろう。

【日経平均との相関では2月末反発との類似性が気になる点】

3月26日から10月4日までのドル円上昇は3月26日から10月2日までの日経平均上昇期と概ね同調したものだった。日経平均は10月2日から10月26日まで3477円安、その後の反騰で11月8日まで1612円高となっているが、今回と同規模の急落だった2月暴落時には1月23日高値から2月14日まで3179円安してから2月27日まで1552円高の反騰を入れ、その後にもう一段安して3月26日にようやく底を付けている。
日経平均の2月暴落はドル円がすでに前年末から下落期に入っていた中での株安だったためにドル円にとっては状況が異なるという見方もあるが、株安が落ち着かないことにはドル円も底を付けられなかったことをドル円の市場心理としても引きずるため、10月26日からの日経平均反騰が2月27日への反騰並みで終わらないことがドル円上昇継続には必要条件になってくるのではないかと思われる。

日米株の反騰継続への支障としては米中貿易戦争問題の再焦点化がある。
中国国家統計局が9日に発表した10月の生産者物価指数は前年比3.3%となり9月の3.6%から鈍化したが、これで4か月連続の鈍化であり米中貿易戦争問題で中国景気が圧迫されてきている印象を深めた。上海総合株価指数は9日に前日比1.39%安だったが、11月5日から5日間の続落で終わっている。またドル人民元は10月31日からいったん反落していたが11月2日から上昇再開となり9日までドル高元安が続いている。11月末にはG20首脳会議の中で米中首脳会談が予定されているものの9日には対中強硬派のナバロ米大統領補佐官の中国批判が報じられて首脳会談不調による米国による対中関税強化懸念が強まっている。上海株がさらに崩れ、ドル人民元が高値更新=元安加速となる場合には日米株の反騰心理を挫くことが懸念される。

【中勢の強弱分岐目安】

【中勢の強弱分岐目安】

(1)既に10月4日からの下げ幅の半値以上を切り返して10月4日以来の114円台に到達しているので、9日未明高値更新の場合は10月4日高値のとのダブルトップ形成とその後の反落注意と考える。114円台は昨年も5月、7月、11月と戻り天井を付けてきた鉄板的な抵抗帯でもある。
(2)ただし、10月4日高値超えから115円に到達するような上昇が発生する場合は鉄板的な抵抗帯を破ったとして116円、117円まで一挙に上値目途を切り上げる強気相場に発展する可能性が出てくるかもしれない。その場合は8月21日から10月4日への上昇幅並としてN=116.14円を上値目処とする。

(3)11月9日高値ないしは直前高値から1.50円前後規模の調整安を入れてもその後にしっかりなら、5月末や8月底からの出直り当初の上昇一服と同様として、直前の下落幅の半値以上を解消する反発から上昇再開の可能性を優先する。
(4)高値から1.50円前後規模の下げにとどまらない下落規模、例えば直前高値から2円を超える下落発生の場合は3月26日からの上昇一巡による下落が本格化すると仮定し、第一に10月26日安値111.37円試し、底割れからは8月21日安値109.77円試しへ向かう可能性が高まると考える。(了)<11日20:45執筆>

【当面の主な予定】

11/12(月)
休 場 (米) ベテランズデー 政府・為替・債券休場、株式・商品通常取引
休 場 (加) 戦没者追悼日 株式通常取引、商品休場、銀行休業
08:50 (日) 10月 国内企業物価指数・前月比 (9月 0.3%、予想 0.1%)
08:50 (日) 10月 国内企業物価指数・前年同月比 (9月 3.0%、予想 2.7%)
28:30 デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、講演

11/13(火)
09:30 (豪) 10月 NAB企業景況感指数 (9月 15)
16:00 (独) 10月 消費者物価指数・改定値 前月比 (9月 0.2%、予想 0.2%)
18:30 (英) 9月 失業率・ILO方式 (8月 4.0%、予想 4.0%)
19:00 (独) 11月 ZEW景況指数・期待 (10月 -24.7、予想 -25.0)
28:00 (米) 10月 月次財政収支 (9月 1191億ドル、予想 -1165億ドル)
24:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演
24:00 (米) ブレイナードFRB理事、講演
28:20 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、フィンテック関連討論会

11/14(水)
07:00 (米) デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、大学での講義
08:50 (日) 7-9月期GDP、速報値 前期比 (前期 0.7%、予想 -0.3%)
08:50 (日) 7-9月期GDP、速報値 年率換算 (前期 3.0%、予想 -0.9%)
11:00 (中) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 9.2%、予想 9.2%)
11:00 (中) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 5.8%、予想 5.8%)
13:30 (日) 9月 鉱工業生産・確報値 前月比 (8月 -1.1%)
13:30 (日) 9月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (8月 -2.9%)
16:00 (独) 7-9月期GDP、速報値 前期比 (前期 0.5%、予想 -0.1%)
16:00 (独) 7-9月期GDP、速報値 前年同期比 (前期 2.3%、予想 1.2%)

18:30 (英) 10月 消費者物価指数 前月比 (9月 0.1%、予想 0.2%)
18:30 (英) 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 2.4%、予想 2.5%)
18:30 (英) 10月 小売物価指数 前月比 (9月 0.0%、予想 %)
18:30 (英) 10月 小売物価指数 前年同月比 (9月 3.3%、予想 3.4%)
18:30 (英) 10月 生産者物価コア指数 前年同月比 (9月 2.4%、予想 2.4%)
19:00 (欧) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 1.0%、予想 -0.4%)
19:00 (欧) 7-9月期GDP、改定値 前期比 (速報 0.2%、予想 0.2%)
19:00 (欧) 7-9月期GDP、改定値 前年同期比 (速報 1.7%、予想 1.7%)
22:30 (米) 10月 消費者物価指数 前月比 (9月 0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 2.3%、予想 2.5%)
22:30 (米) 10月 消費者物価コア指数 前月比 (9月 0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 消費者物価コア指数 前年同月比 (9月 2.2%、予想 2.2%)
24:00 (米) クオールズ米FRB副議長、下院金融委員会証言

11/15(木)
08:05 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、発言
09:30 (豪) 10月 新規雇用者数 (9月 0.56万人、予想 2.00万人)
09:30 (豪) 10月 失業率 (9月 5.0%、予想 5.1%)
18:30 (英) 10月 小売売上高 前月比 (9月 -0.8%、予想 0.6%)
19:00 (欧) 9月 貿易収支 (8月 117億ユーロ)

22:30 (米) 10月 小売売上高 前月比 (9月 0.1%、予想 0.5%)
22:30 (米) 10月 小売売上高・除自動車 前月比 (9月 -0.1%、予想 0.5%)
22:30 (米) 11月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (10月 21.1、予想 19.0%)
22:30 (米) 11月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (10月 22.2、予想 20.6)
22:30 (米) 10月 輸入物価指数 前月比 (9月 0.5%、予想 0.1%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.4万件、予想 21.5万件)
24:00 (米) 9月 企業在庫 前月比 (8月 0.5%、予想 0.3%)
24:00 (米) クオールズ米FRB副議長、上院銀行委員会証言
27:15 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会(マドリード)
28:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 7.75%、予想 8.00%)
29:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演

11/16(金)
17:30 ドラギECB総裁とワイトマン独連銀総裁、講演
19:00 (欧) 10月 消費者物価指数・HICP、改定値 前年同月比 (速報 2.2%、予想 2.2%)
23:15 (米) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 0.3%、予想 0.2%)
23:15 (米) 10月 設備稼働率 (9月 78.1%、予想 78.2%)
25:30 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演

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