ドル円見通し FOMC後もドル高基調継続(11/9)

8日夜はユーロ安を中心にドル高感が拡大する中で7日昼高値を突破、9日未明のFOMC声明発表後も続伸して114円台に到達した。

ドル円見通し FOMC後もドル高基調継続(11/9)

【概況】

11月7日は米中間選挙速報で午前中は乱高下しつつ昼には113.81円をつけて10月26日深夜安値111.37円以降の高値を更新した。7日夜には一旦材料消化的に112.93円まで下げたが7日夜の米国市場時間からドル高感が強まって8日午後には7日昼高値に迫っていた。
8日夜はユーロ安を中心にドル高感が拡大する中で7日昼高値を突破、9日未明のFOMC声明発表後も続伸して114円台に到達した。

【FOMC反応】

米連銀(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)は7日から8日にかけての会合で政策金利等を現状維持としたが、声明文で「フェデラルファンド(FF)金利誘導目標のさらなる緩やかな引き上げが持続的な景気拡大、力強い労働市場、中期的にFOMCが対称的な物価目標としている2%近辺のインフレ率と整合性があると予想している。景気見通しのリスクは概ね均衡しているとみられる。」とした。10月序盤の世界連鎖株安、米中貿易戦争等による世界景気への懸念、さらに米中間選挙結果等を踏まえても特段の政策姿勢変更はなかった。昨年12月会合で2018年の年4回利上げ姿勢を示したが、既に9月までに3回の利上げを実施し、12月会合で今年4回目の利上げを実施する可能性もかなり高いと市場は受け止めてきたが、今回の声明文により12月利上げの確率はさらに高まった印象だ。また10月序盤の世界連鎖株安は今年2月の同様の世界連鎖株安と同じような規模だったが、この程度の株安発生では連銀の姿勢も変わらないという事が再認識された。

FOMC声明発表からドル円は高値を更新、ユーロドルはその前から下落していたがさらに一段安となり為替市場は概ねドル高反応となった。債券市場では2年債と5年債利回りが10年ぶりの水準に上昇した。10年債利回りは3.234%へ上昇したが10月に付けた7年半ぶり高値の3.261%には届かず。株式市場はまちまちでNYダウは前日比10.92ドル高、ナスダック総合指数は39.86ポイント安だったが、いずれも前日に大幅上昇しており、10月序盤の暴落一巡から揺れ返しの上昇に入りつつある印象となっている。

米長期債利回り上昇は日米金利差拡大としてドル高円安要因になるが、10月序盤の世界連鎖株安が米長期債利回りの急伸を警戒したNYダウの急落から始まったように、米長期債利回り上昇が欧州等の長期債利回りの同調的な上昇も発生させると再び株高への抑圧要因になりかねない。今のところは株高再開への楽観が優勢のためにリスク回避的な円高圧力は鈍いが、現状以上の米長期債利回り上昇には注意が要るかもしれない。

【10月26日深夜から三段目の上昇】

10月31日高値を7日昼に超え、さらに8日夜、9日朝と続伸したことで10月26日深夜を起点とした現在のドル円上昇波動は31日夜までを一段目、11月7日昼までを二段目とし、7日夜安値からは三段目に入っている。
一段目上昇後の調整安となった11月2日への下げ幅(0.84円)の倍返しでV=114.22円、一段目と同値幅の上昇としてN=114.55円等が上値計算値として意識されるところだが、7日昼高値から7日夜への下げ幅の倍返しとすれば新たなV計算値は114.69円となり、114円台中後半への上昇継続性も出てきた印象だ。
10月4日から10月26日への下落幅は3.17円で8月21日や5月29日への下落時並だが、それらは104日移動平均まで下げたところからの反騰で26日移動平均を超え、さらに高値更新するところから上昇が本格化した経緯がある。今回も104日移動平均まで下げてからの切り返しで26日移動平均を超えて続伸に入っているため、当面は10月4日高値を目指す流れと思われる。そこでダブル天井形成で終わるか、天井破りで一段高へ進むのかどうかが試されてゆく。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月7日昼への高値更新と7日夜の反落、その後の反騰という展開を踏まえて8日朝時点では10月31日深夜高値から4日半となる7日昼高値でサイクルトップをつけ、11月2日朝安値から3日半となる11月7日夜安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクルに入ったと想定した。また今回の高値形成期を12日から14日にかけての間と想定した。11月7日昼高値を超えているためサイクルトップ形成への上昇中とし、9日夜、週明けにかけてはまだ高値を試しやすい時間帯とみる。弱気転換は113.50円割れから続落するような反落発生からとする。

60分足の一目均衡表では8日未明への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜き返し、その後も両スパン好転を維持している。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、遅行スパン悪化からは弱気転換注意として先行スパン帯を試す下落を想定する。先行スパンから転落してさらに続落の場合は上昇一巡による下落再開となる可能性に注意する。

60分足の相対力指数は7日昼と夜の安値形成時で小規模の強気逆行を示して上昇した。9日未明から朝にかけては小規模の弱気逆行型が見られるが、50ポイント台を維持する内はまだ上昇継続性ありとし、50ポイント割れからは下げ再開注意とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、113.70円を支持線、114.20円を抵抗線とみておく。
(2)113.70円を上回る内は高値試し継続とし、114.20円超えからは114.50円台、9日夜へ続伸の場合は114.70円前後へ向かう可能性ありとみる。114.50円以上は反落警戒圏とするが、113.70円以上を維持して週を終える場合は週明けも高値を試しやすいとみる。
(3)113.70円割れから続落の場合は弱気転換注意とするが、113.50円前後ではいったん買い戻しも入るとみる。113.50円割れを切り返せなくなる場合は113円台序盤への下落、あるいは7日夜安値112.93円試しへ向かう可能性に注意する。

【当面の主な予定】

11/9(金)
10:30 (中) 10月 生産者物価指数 前年同月比 (9月 3.6%、予想 3.3%)
10:30 (中) 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 2.5%、予想 2.5%)
18:30 (英) 9月 貿易収支 (8月 -111.95億ポンド、予想 -113.00億ポンド)
18:30 (英) 9月 鉱工業生産指数 前月比 (8月 0.2%、予想 -0.1%)
18:30 (英) 9月 製造業生産指数 前月比 (8月 -0.2%、予想 -0.2%)
18:30 (英) 7-9月期GDP、速報値 前期比 (前期 0.4%、予想 0.5%)
18:30 (英) 7-9月期GDP、速報値 前年同期比 (前期 1.2%、予想 1.4%)

22:30 (米) 10月 生産者物価指数 前月比 (9月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 生産者物価指数 前年同月比 (9月 2.6%、予想 2.7%)
22:30 (米) 10月 生産者物価コア指数 前月比 (9月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 生産者物価コア指数 前年同月比 (9月 2.5%、予想 2.5%)
22:30 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
22:45 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
23:00 (米) クオールズFRB副議長、講演
24:00 (米) 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数 (10月 98.6、予想 97.7)
24:00 (米) 9月 卸売売上高 前月比 (8月 0.8%、予想 
24:00 (米) 9月 卸売在庫 前月比 (8月 1.0%、予想 0.3%)

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