米国株急落、ドル円日足は5日連続陰線(10/11)

10日夜、NYダウが寄付から急落し、深夜には暴落的な下げとなった。

米国株急落、ドル円日足は5日連続陰線(10/11)

ドル円見通し 米国株急落、ドル円日足は5日連続陰線

【概況】

10月4日に114.54円まで上昇して昨年11月6日天井114.72円へ迫っていたが、4日当日から日足は3本連続陰線=三羽烏(黒三兵)で下落、9日も続落で4本連続と延びていたが10日の米国市場でNYダウ等が暴落的な下げとなり、リスク回避感からドル円も続落して日足の陰線連続は5本となった。

9月7日から10月4日までは1円強の上昇後に0.50円安前後の調整を入れては一段高を繰り返してきたが、4日高値からの下落はこれまでの上昇トレンド内の動きを超えて10月9日未明安値112.82円までは1.72円の円高ドル安となった。その後の戻りも113.39円までの0.57円にとどまった。
8日の円高ドル安は国慶節の大型連休明けの中国市場で上海株と人民元が大幅下落したことがきっかけだったが、10日の日中は上海市場も日経平均も落ち着いていた為ドル円も113円割れを切り返しつつ113円台序盤を中心とした持ち合いの範囲で推移していたが、10日夜の米国株暴落により持ち合いを下放れ、112円試しまで一段安している。

10月4日からの下落規模、角度は7月19日高値からの下落時、5月21日高値からの下落時等に近いが、それらはいずれも52日移動平均まで下げている。5月末の下落は同線までの下げから切り返したが、7月高値からの下落は同線でいったん下げ渋ったものの8月21日まで二段目の下げへと進んだ。いずれも中勢レベルの上昇基調の範囲内であったが、昨年へ遡れば昨年11月からの下落時、昨年7月や5月からの下落開始当初にも近い。このため52日移動平均で下値支持が働かずに今年1月から3月への下落時並み、昨年7月から9月8日への下落時並み等へと発展する可能性も警戒すべきだろう。週間見通しで示したように概ね1年周期で天井を付けてきたサイクルにおける天井となった可能性も警戒される状況と思われる。

【株暴落の影響】

10日夜、NYダウが寄付から急落し、深夜には暴落的な下げとなった。S&P500指数が前日比3.3%安、NYダウが831.83ドル(3.2%)安の25598.74ドル、ナスダック総合指数も4.1%安と暴落した。新たな売り材料や下落のトリガーとなる報道があったわけではなく、この日発表された米生産者物価指数も予想に近い数字だったが、米中貿易戦争の先行き不透明感や米連銀の2020年までの利上げ継続姿勢等の圧迫要因を抱えたまま上昇してきたため、買いの回転が効かなくなると高値をつかんだ買い方の損切売りの連鎖=投げ売りを発生させやすくなっていたといえる。

NYダウは楽観的な先高期待で買いが買いを呼び込む展開で10月3日には26951.81ドルの史上最高値を付けて1月天井を超えた。しかし10月3日の上ヒゲ陰線から3日連続陰線=三羽烏となり、8日は下げ一服していたが10日の下落でこの間の安値を更新したところから売りの連鎖に陥った。ナスダック総合指数は8月30日に史上最高値を更新してからは高値更新へ進めずに、その後に高値を更新していったNYダウとはズレが生じていた。10月4日から3日連続の下落となり、この日は下げ一服時の9日安値を割り込んでからダウと呼応して売りの連鎖となった。
NYダウの下落規模は1月高値から急落した時に近い印象であるが、トランプラリーも凡そ2年続いてきたのでいつ大天井となっても不思議のない状況にある中での暴落であり、今後の金融市場全般への影響も懸念される。

米国株暴落により米国長期債には逃避買いが入って長期金利は低下した。長期金利の指標である10年物米国債利回りは9日に一時2011年5月以来の3.261%へ上昇していたが10日は前日比0.04%低下の3.17%となった。30年債利回りも9日には2014年7月以来となる3.446%まで上昇していたが、この日は0.02%低下の3.35%となった。

10月10日夜には9月の米生産者物価指数が発表されたが、全体では前月比0.2%上昇(8月-0.1%、予想0.2%)、前年同月比は2.6%上昇(8月2.8%、予想2.8%)となり、コア指数も前月比が0.2%上昇(8月-0.1%、予想0.2%)、前年同期比が2.5%(8月2.3%、予想2.5%)となった。発表当初は米連銀の利上げペースに影響を与えないと受け止められたが、株暴落により米連銀の判断にも影響が出るかもしれない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは10月3日午前安値を前回のサイクルボトム、10月4日午前高値を同サイクルトップとして弱気サイクル入りしていたが、10月3日安値から4日目となる9日未明安値で直近のサイクルボトムを付けて下げ渋り持ち合いとなっていた。10日夜からの下落で持ち合いから下放れて一段安したため、底割れにより新たな弱気サイクル入りとして
次の安値形成期となる12日未明から16日未明にかけての間への下落を想定する。新たな強気サイクル入りには9日の戻り高値を超える反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では4日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落したが、10日夜の一段安で両スパン悪化がさらに拡大している。このため遅行スパンは悪化中は安値試し優先とみる。強気転換は両スパンそろって好転するところからとみる。

60分足の相対力指数は9日未明の下落で20ポイント割れまで低下したが、10日夜からの下落で再び20ポイント割れまで急降下した。水準的には売られ過ぎ警戒圏だが、下げ渋り程度の時間調整からさらに一段安に入る可能性も警戒されるので40ポイント台回復維持へと戻せないか、強気逆行型が見られないうちは一段安警戒とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、112.00円から111.90円までを支持線、112.50円を抵抗線とみておく。
(2)112.50円を超えないか一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒とし、111.90円割れからは111円台序盤試しへ向かいやすいとみる。112.50円以下での推移中は11日夜、12日にかけても下落基調を継続しやすいとみる。
(3)112.50円を超え、さらに続伸の場合は113円手前を試す可能性ありとみるが、112.70円以上は反落警戒とする。(了)<9:35>

【当面の主な予定】

10/11(木)
G20財務相・中央銀行総裁会議(インドネシア・バリ島、12日まで
豊洲市場開場日
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.7万件、予想 20.8万件)
21:30 (米) 9月 消費者物価指数 前月比 (8月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 2.7%、予想 2.4%)
21:30 (米) 9月 消費者物価コア指数 前月比 (8月 0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 消費者物価コア指数 前年同月比 (8月 2.2%、予想 2.3%)
27:00 (米) 9月 月次財政収支 (8月 -2141億ドル)

10/12(金)
休 場 (伯) 聖母の日
未 定 (ト) トルコで軟禁中の米国人牧師の審理
未 定 (中) 9月 貿易収支 米ドル (8月 278.9億ドル、予想 245.5億ドル)
未 定 (中) 9月 貿易収支 人民元 (8月 1797.5億元)
08:50 (日) 9月 マネーストックM2 前年同月比 (8月 2.9%、予想 2.9%)
09:30 (豪) 8月 住宅ローン件数 前月比 (7月 0.4%、予想 -1.0%)
13:30 (日) 8月 第三次産業活動指数 前月比 (7月 0.1%、予想 0.3%)
15:00 (独) 9月 消費者物価指数 改定値 前月比 (速報 0.4%、予想 0.4%)
18:00 (欧) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -0.8%、予想 0.4%)
21:30 (米) 9月 輸入物価指数 前月比 (8月 -0.6%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 輸出物価指数 前月比 (8月 -0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、討論会参加
23:00 (米) 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数 速報 (9月 100.1、予想 100.6)
25:30 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演

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