ドル円見通し 日足は4日連続の陰線(10/10)

ドル円は9日未明安値112.82円まで急落した。その後は下げ一服で113.39円まで戻すも113.50円にはとどかず、9日夜には再び113円割れまで下げている。

ドル円見通し 日足は4日連続の陰線(10/10)

【概況】

9月27日への上昇で7月19日高値113.15円を超えて10月1日には114円台に到達、10月4日には114.54円の高値を付けたが、その後は高値警戒感と日米株の反落により114円台を維持できずに先週を終えた。5日夜の米雇用統計はさほどのインパクトがなかったものの、週明けは大型連休明けの中国市場で上海総合株価指数が大幅下落、ドル人民元も8月15日高値に迫るところまでドル高元安となり、イタリア問題や英国のEU離脱問題等への懸念でユーロやポンドが下落したためにリスク回避感が先行する展開となり、ドル円は9日未明安値112.82円まで急落した。その後は下げ一服で113.39円まで戻すも113.50円にはとどかず、9日夜には再び113円割れまで下げている。

10月2日に1月天井を超えた日経平均は高値警戒感と米国株下落により10月3日から5日までの3日間を続落してきたが、連休明けの8日は314.33円安と大幅続落した。1月天井を超えた時には青天井での上昇継続説も飛び交ったがさすがに米国株高や円安による他力本願的な上昇だったために高値警戒感も強まったようだ。
8日に連休前比3.72%安と暴落した上海総合株価指数は下げ渋り前日比若干のプラスで終了した。ドル人民元も前日高値を超えずドル高元安に若干ブレーキがかかった。中国人民銀行が預金準備率を引き下げ中国国務院が輸出企業の付加価値税還付政策を示したことで貿易戦争による負荷軽減政策期待が背景だが、上海株も人民元も下げ渋り程度にとどまっている。

米長期金利では米10年債利回りが一時2011年5月以来の高水準となる3.261%へ上昇、その後は3.204%まで下げて上昇一服感も出ているが8月後半からの上昇基調が続いている。米30年債利回りも終盤失速したものの一時は2014年7月以来となる3.446%へ上昇した。米長期金利上昇は日米長期金利差拡大によりドル円にとってはプラスだが、それ以外のリスク回避要因で円高感が勝ればドル円の上昇を支え切れない。

9日はトランプ米大統領が米中貿易戦争問題に関して「中国はまだ対米貿易協議に合意する準備ができておらず過去数回の協議はキャンセルされた」として今後も強硬姿勢を継続する姿勢を示した。これまでに500億ドル規模、追加で2000憶ドル規模の中国製品への関税強化を実施してきたが、さらに2670億ドル相当の中国製品へ対象を拡大して中国からの年間輸入額すべてが関税引き上げ対象とする姿勢も示してきた。今のところは新たな拡大には至っておらず、2000億ドル規模の発動でも年内の税率が低めに抑えられたために市場も新たな進展がみられるまでは様子見となっている。
トランプ米大統領はまた「中央銀行は利上げを急ぐべきではない」と米連銀の利上げ姿勢を再び批判している。

【日足は4日連続陰線】

9月7日から10月4日までは1円強の上昇後に0.50円前後の調整安を入れてはまた一段高へ進むという上昇トレンドを形成してきた。しかし10月4日からは9日未明まで丸3日間で1.72円の円高ドル安となり、9日午後の戻り高値113.39円までは0.57円の上昇にとどまり、10月4日まで上昇トレンド中の展開とは逆の流れになっている。
日足は10月4日から4日連続の陰線であり、3本連続の黒三兵からさらに陰線を伸ばした状況となった。3本連続の黒三兵は7月19日高値からの下落時、5月21日高値からの下落時にも見られる。7月高値からの下落は6本連続まで伸びた。また今年1月の大幅下落も1月9日からの6本連続陰線で始まっている。9日移動平均や一目均衡表の9日転換線等が短期的な支持線となるが、今回の下落で両線を割り込んでいる。またトレンドフォロー型のテクニカルも総じて弱気転換を示唆している。
112.50円前後までの下落から切り返し、この間の下げ幅の半値以上を解消する上昇を見せれば上昇再開感も出てくると思われるが、113円割れの状況が続く場合は3月底からの上昇一巡による中勢レベルでの調整期入りという印象が徐々に強まる可能性が懸念される姿だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは10月3日午前安値を前回のサイクルボトム、10月4日午前高値を同サイクルトップとして弱気サイクル入りした。9日未明安値からはやや戻し、底割れ回避で1日を経過していること、前回ボトムから4日を経過しているため9日未明安値で直近のサイクルボトムを付けていったん強気サイクル入りしたと思われるが、底割れには余裕がないため底割れからの新たな弱気サイクル入りが警戒される。9日未明安値割れ回避のうちは10日の日中から11日午前にかけての間へ戻り高値を試す可能性があるが、9日未明安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして12日未明から16日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落した。9日未明安値の後は下げ渋りのため遅行スパンは実線と交錯しつつ、10日午前は悪化状態となっている。このため先行スパンを抵抗帯とし、遅行スパン悪化中は安値試し優先とみる。強気転換は両スパンそろって好転するところからとみる。

60分足の相対力指数は9日未明の下落で20ポイント割れまで低下してかなりの売られ過ぎ状態となったが、その後は50ポイントをいったん超えるところまで戻した。10日午前は40ポイント前後で中立となっている。9日未明安値を割り込まないうちは50ポイント台後半へ上昇しやすいが、底割れから一段安に入る場合は再び20ポイント台への低下が警戒される。その際に9日未明安値形成時に対して指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられるかどうか注目される。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9日未明安値112.82円を支持線、9日午後高値113.39円を抵抗線とみておく。
(2)113.39円超えへ進めないうちは一段安警戒とし、安値更新の場合は112円試しへ向かうとみる。112円前後は反騰注意とするが、113円以下での推移中は安値試しを続けやすいとみる。
(3)113.39円超えの場合は113.50円から113.70円にかけてのゾーンを試す上昇を想定するが、そこは戻り売りにつかまりやすいとみる。いったん113.39円を超えた後に113円割れとなる場合は下げ再開警戒とみる。

【当面の主な予定】

10/10(水)
朝鮮労働党創立記念日
休 場 (台) 建国記念日
11:15 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演(バリ島)
12:35 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、ワルジヨ・インドネシア中銀総裁、記者会見
17:30 (英) 8月 貿易収支 (7月 -99.73億ポンド、予想
17:30 (英) 8月 鉱工業生産指数 前月比 (7月 0.1%、予想 0.1%)
17:30 (英) 8月 製造業生産指数 前月比 (7月 -0.2%、予想 0.1%)
21:30 (米) 9月 生産者物価指数 前月比 (8月 -0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 生産者物価指数 前年同月比 (8月 2.8%、予想 2.6%)
21:30 (米) 9月 生産者物価コア指数 前月比 (8月 -0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 生産者物価コア指数 前年同月比 (8月 2.3%、予想 2.6%)
23:00 (米) 8月 卸売売上高 前月比 (7月 0.0%)
23:00 (米) 8月 卸売在庫 前月比 (7月 0.6%、予想 0.8%)
25:15 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演

10/11(木)
G20財務相・中央銀行総裁会議(インドネシア・バリ島、12日まで
豊洲市場開場日
07:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
08:50 (日) 9月 国内企業物価指数 前月比 (8月 0.0%、予想 0.2%)
08:50 (日) 9月 国内企業物価指数 前年同月比 (8月 3.0%、予想 2.9%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.7万件、予想 20.8万件)
21:30 (米) 9月 消費者物価指数 前月比 (8月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 2.7%、予想 2.4%)
21:30 (米) 9月 消費者物価コア指数 前月比 (8月 0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 消費者物価コア指数 前年同月比 (8月 2.2%、予想 2.3%)
27:00 (米) 9月 月次財政収支 (8月 -2141億ドル)

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